これからもずっと日英の懸け橋に
鈴木ナオミさん
インタビュー
歌手・女優・司会者・プロデューサーとしてロンドンを中心にマルチな活躍する鈴木ナオミさん。東日本大震災以降、数々の復興支援ソングや支援CDを発表し、「音楽で生きる力を!」をテーマに活動を続ける鈴木さんに、今回ご自身がプロデュースされているオリンピックに向けたイベント「Bridge Together Project」と、それにまつわるお話を伺った。
─ 常に英国と日本の懸け橋となるような活動をされておられますが、今回の企画のタイトルはまさしく「Bridge Together Project」ですね。
もともと、東日本大震災以降、すぐに日本に帰れない英国在住の方々の被災地に対する思いと、被災地の皆さんからの「ありがとう」の気持ちをなんとかつなげたいと、「架け橋プロジェクト」を企画し、英国国会議事堂などさまざまな場所で復興支援コンサートを開催してきました。
実はその頃、私は余命宣告を受けていたのですが、音楽を通じて得た「人と人との絆」に感動し、被災地の皆さんに励まされ病気を克服しました。ですから私の活動は、私自身が生きるためでもあります。そして自分にしかできないこと、英国に住んでいるからこそできる日本のためになることは何か、模索しながら活動を続けて行くうちに、内閣官房オリンピック・パラリンピック推進本部事務局の方から、日本の文化発信をするプロジェクトのお話をいただきました。それが「Bridge Together Project」です。
─ 今回のイベントを通し、英国人、または英国に在住している人たちに、日本のどんな部分を知ってもらいたいですか。
アニメ、漫画、コスプレ、アイドルなどのクール・ジャパンとしての文化や、日本酒や寿司などの食文化はずいぶんと広まってきましたが、まだ知られていない日本文化にも触れていただきたいと思います。それが、今回ご紹介する昭和歌謡であり、ユネスコ世界記憶遺産の山本作兵衛炭坑画です。
昭和歌謡については、J−POPの原形である60年代の日本の歌謡曲は欧米の音楽、特にファンクに影響を受けていると思い、英ジャズ・ファンクのトップ・ミュージシャンに60年代の歌謡曲の演奏を依頼しました。ぜひJ−POPの始まりを体感してほしいと思います。
また、山本作兵衛の炭坑画については、日本初のユネスコ世界記憶遺産だというのにあまり知られていないことが残念で、「炭坑」という日本との共通項を持った英国での展示開催に向け、3年がかりで取り組んできました。産業革命から発展した英国の近代は石炭があったからこそのもので、当時の生活や日本との類似点などを紹介できたらと思います。
─ 今回の企画で苦労されたところは何でしょう。
完全ボランティアですので、資金調達は企業を回り協賛をお願いしましたが、「どうしてそこまでするのか」「お金にならないのに、なんの意味があるのか」と、この大きな企画を利益を度外視して実行するということが、なかなか理解していただけけず大変でした。また、今回6カ所の会場でツアーをしますが、会場とのコンタクトには非常に時間がかかりました。会場とのやり取り、資金集めまで全て自分1人でやっていたので本当に大変でした。
─ 今後の抱負をお聞かせください。
来年のオリンピックまで続く今回の企画を成し遂げることで、再び「自分の生きている意味」を見つけ、それを自分の力に変えられたらと思います。これからも、命のある限り日本文化の発信を続けていきます。
UK-JAPAN Bridge Together
歌謡曲+太神楽+JAZZ FUNK
「世界はまだ昭和歌謡の凄さを知らない!!」
プロデュース: 鈴木ナオミ
スペシャル・ゲスト: 夏木マリ
演奏: James Taylor Quartet
太神楽: 鏡味味千代
オープニング・アクト: 小谷ゆりこ
10月1日(火)19:00(18:30開場)
£30
Cadogan Hall
5 Sloane Terrace London SW1X 9DQ S
loane Square駅
https://cadoganhall.com/whats-on/james-taylor-quartet-naomi-suzuki/
Yama - The mining art of Sakubei Yamamoto
山本作兵衛炭坑画展
2020年9月30日まで
ビッグ・ピット国立石炭博物館(ウェールズ)
Big Pit National Coal Museum
https://museum.wales/bigpit
(その後ロンドンを含む英国各地を巡回予定)