ニュースダイジェストのグリーティング・カード
Fri, 22 November 2024

7月4日に実施 混乱を極める 2024年 英国総選挙を追う

2019年以来、5年ぶりの総選挙がいよいよ7月4日に実施される。4期目を狙う与党保守党と、14年ぶりの政権奪回を目指す労働党。労働党の勝利がほぼ確実といわれながらも、あえて早期決戦のギャンブルに出たリシ・スナク首相と保守党の運命やいかに。目が離せない現在の状況を追いながら、2024年総選挙の行方を見ていこう。
(文: 英国ニュースダイジェスト編集部)

参考: BBC、Newsweek、The Guardianほか

突然の日程発表

英国では下院議員の任期である5年に1度総選挙が行われるため、2025年1月末までに総選挙を行う必要がある。そのため、総選挙は与党保守党が減税予算を打ち出して支持率を上げてから、秋ごろに実施されるのではないかと予想されていた。ところが、保守党党首のリシ・スナク首相は5月22日に突然、首相官邸前で雨に打たれながら7月4日に総選挙を実施すると発表。早期実施は各方面に驚きをもって迎えられ、同僚であるはずの保守党員からも憤慨する声が上がり、離党議員が相次いだ。

なぜ今なのか

リズ・トラス前首相の大型減税策が引き起こした市場の混乱や、公共サービスの悪化など、英国が現在抱える問題の多くは保守党政権が生み出したともいえる。支持率が低下している保守党は、世論調査で野党第1党の労働党との差を20ポイント余りつけられており、労総党政権の誕生は間違いないといわれている。そんななかあえて総選挙を早期実施するのはなぜなのか。ロイター通信によると、スナク首相は目玉公約であるインフレ対策や経済政策が一定の成果を挙げたと判断し、前倒し選挙を決めたという。スナク首相が総選挙の日程を告げた日は、英国のインフレ率が低下に転じたことを発表した日でもあった。政府は今秋までにこれ以上良いニュースを出せる可能性がないと判断し、後は悪くなる一方なので「今のうちに」選挙をしたいのではないか、という声すらある。

労働党が14年ぶりの政権獲得か

最近の世論調査では、労働党が保守党を大きくリードしている。5月初めに行われたイングランドの統一地方選挙でも、保守党の獲得議席は労働党の半分以下にとどまった。選挙実施の発表を受け、労働党のキア・スターマー党首は、「英国の可能性を解き放つのはわれわれだ」「未来は国民の手の中にある」と述べ、政権奪取に向け有権者にアピールしている。このままでいくと、14年ぶりの政権奪回が実現する可能性が高い。投票の4週間前の予測では、労働党は1997年のトニー・ブレア政権による圧勝を上回る結果を得て、一方の保守党は1906年以来最悪の敗北となると予想されている。

「初めて」が重なる総選挙

この選挙では、下院のメンバーおよび次の英国政府が決定。今回の選挙は、さまざまな初めて要素が重なっている。①欧州連合(EU)離脱後初めて、②チャールズ国王の治世下で初めて、③固定任期議会法に代わる「2022年議会解散および召集法」*の下で初めて、④有権者の身分証明書が必要となる初めての総選挙、などだ。

*2022年3月24日に閣議決定した法律で、首相が議会を解散する権限が復活した。これにより、首相は適切と判断したときに選挙を呼び掛けることができる

2019年総選挙の結果

タイプ別に見る今どきの英国の有権者

今回の総選挙には六つの異なるタイプの有権者がいるという。「インディペンデント」紙は、国立社会研究センター(NatCen)が一般市民への12の質問に対する回答に基いて分類した、有権者6タイプを紹介している。有権者の価値観、政治や政治家に対する認識はタイプごとに特徴があり、経済や移民などの主要な政治問題についても一致しているという結果が出た。ストラスクライド大学のジョン・カーティス教授は、有権者は「左派と右派だけでなく、リベラル派と権威主義者にも分かれている。その一方で中道派で政治に特に関心がない人も多い」と語る。次で6タイプを詳しく見ていこう。

TYPE 1
中間層の英国人
Middle Britons

中間層の英国人は有権者の4分の1以上(26パーセント)を占め、最大の有権者グループを構成している。政治問題に関して中道的な立場をとることが多く、明確な政治的所属を持たない「典型的な」有権者に最も近い。政治家がこのタイプを味方につけるのは難しく、投票する可能性も低い。

TYPE 2
裕福な伝統主義者
Well-Off Traditionalists

政治に関心が高く、投票する可能性が高い裕福な伝統主義者の多くは、英南東部の田舎に住んでいる。このグループは社会的に保守的な考え方を持っており、保守党の政策と一致することが多い。有権者の12パーセントを占めている。

TYPE 3
非政治的な中道主義者
Apolitical Centrists

政治に最も関心のないグループ。一般的に経済問題に関しては右派だが、社会問題に関しては中道派であることが多い。政治に関心のない中道派は比較的若く、収入も低い。このグループの多くはおそらく投票しないと予想されるが、投票する場合は保守党か労働党を選ぶ。有権者の17パーセントを占める。

TYPE 4
取り残された愛国者たち
Left-Behind Patriots

このグループは欧州連合(EU)離脱で賛成に投票し、自分たちは愛国的だと考えている。経済格差に反対しているが、社会観は保守的。特定の政党に強い忠誠心はないが、ほかのグループよりも右派のリフォームUKを支持する傾向が高い。有権者の15パーセントを占める。

TYPE 5
都市部の進歩派
Urban Progressives

都市進歩派は、大学教育を受け専門職に就いており、経済問題に関しては左派寄り、社会問題に関してはリベラルな傾向がある。このグループは労働党か緑の党を支持する可能性が高く、有権者の16パーセントを占める。投票する可能性も高い。

TYPE 6
ソフト左派リベラル
Soft-Left Liberals

このグループは大学教育を受け、政治に関心があり、社会問題に関してはリベラルだが、経済に関しては中道派である。タイプ5の「都市部の進歩派」より穏健であり、投票する可能性も高く、その場合は、労働党、緑の党、自由民主党を選ぶ傾向がある。有権者の14パーセントを占める。

2019年総選挙の結果

有権者が考える今回の総選挙の争点

前回2019年の総選挙の争点はEU離脱だったが、今回はさまざまな問題が入り乱れている。選挙運動が進行中で各政党が主張を展開するなか、世論調査会社YouGovは、2024年の総選挙で投票するために有権者たち最も重要と考える課題を調査した。ここではその結果を紹介しよう。

*12のカテゴリーから最も重要と思われるものを3個選択

判断理由

1位 生活費 45%

全有権者が最も重要だと考えるのは、日々の家計のやりくり

2位 健康 34%

NHS(国民健康保険)に関する問題を含む

3位 経済全般 32%

4位 移民 26%

難民認定を申請するため英国に不法に入国した人たちを、アフリカのルワンダに強制的に移送する「移民移送法案」(Safety of Rwanda Bill)の是非が問われる

支持政党別の特徴

保守党支持者

投票を決める上で「移民」が最も重要だと答える傾向が強く、45パーセント、次いで「経済全般」が39パーセントとなっている。「生活費」は36パーセントで3番目に過ぎない。

労働党支持者

過半数を超える58パーセントが「生活費」を1位に挙げており、2位の「健康」(44パーセント)や3位の「経済全般」(39パーセント)を大きく上回っている。

リフォームUK支持者

移民問題について保守党支持者よりさらに関心を持っており、82パーセントが最重要課題だと答えている。特にこの問題について政府の対応に不満を持つ。

年齢別の特徴

65歳以上の人たちにとって、移民問題は「最重要」問題として最も多く挙げられており、44パーセントに上る。これは、25~49歳ではわずか16パーセント、18~24歳では14パーセントであるのとは対照的だ。

当然のことながら、65歳以上の人々にとって「年金」はほかの人々と比べて22パーセントと大きな懸念事項である可能性が高く、防衛と安全保障も17パーセントで同様である。

若い有権者にとって、「生活費」は49~53パーセントと、最も大きな問題の一つである可能性が高い。一方、65歳以上の有権者ではわずか31パーセントで、この年代の4位となっている。

若い英国人にとって、住宅問題は気候変動と同様に懸念事項として際立っており、どちらも20パーセントが最重要課題として挙げている。ガザ紛争も18~24歳の14パーセントに影響を与えており、ほかの年齢層の1~6パーセントよりも顕著に多い。

各政党の支持率の変遷

主要政党の主な公約と顔ぶれ

選挙戦も中盤に入り、各政党は政策を有権者にアピールし白熱の戦いを繰り広げている。各党の運命を左右するそれら公約には、どのようなものがあるか振り返りながら、各党党首の横顔を紹介する。

保守党
Conservatives

トーリー(Tory)とも呼ばれる。労働党とともに英国の2大政党の一つである。前回2019年の総選挙で大勝し、2010年以来英国の第一政権党となっている。政治的には右派~中道右派に位置する。保守派、サッチャー主義者、伝統主義保守派など、さまざまなイデオロギーの派閥を包含する。

党首の横顔


Rishi Sunak
(リシ・スナク: 英南西部サウサンプトン出身 44歳)

政治家になる前は投資銀行ゴールドマン・サックスでアナリストとして勤務。ボリス・ジョンソン政権下で2つの閣僚職を歴任。コロナ禍の2020~22年に財務相を務めた後、22年10月25日にリズ・トラスの後を受けて保守党党首および英国首相に就任、英国初のアジア系首相となった。在任中に始まった生活費危機とエネルギー供給危機、さらには労働争議やストライキの中で苦戦中。妻はインドの富豪でビジネスマンのナラヤナ・ムルティの娘、アクシャタ・ムルティ。

リシ・スナク

主な公約


経済
  • 国民保険料の被雇用者の支払い額を2027年4月までに現行の8パーセントから6パーセントに引き下げるほか、自営業者については29年4月までに完全に廃止
  • 国家年金の支給額および年金受給者の非課税限度額について、インフレ率、賃金上昇率、2.5パーセントのうち最も高い数値に合わせて増額する制度「トリプルロック・プラス」を導入し、年金受給者を保護
移民・防衛
  • 2030年までに防衛費をGDPの2.5パーセントに増額。その財源は、公務員の人員整理、NHSの管理職の整理、ビザ申請料の値上げなどによって確保
  • 移民数の上限を毎年徐々に減少
  • 違法移民のルワンダ移送政策を進める。7月以降、毎月移送を実施
  • 今後3年間で8000人の警察官を増加採用。費用はビザ(査証)料金の値上げと、移民向け健康保険料の学生割引の廃止で賄う
社会
  • 若者に成功に必要なスキルと機会を与えるため、12カ月間の兵役または地域社会への参加活動を義務付け
  • 住宅購入支援策「ヘルプ・トゥ・バイ」のリニューアル
  • 喫煙のない世代を生み出すため、2009年1月1日以降に生まれた人へのタバコ製品の販売を禁止する「紙たばこ・電子たばこ法案」を再提出
福祉
  • 国内30都市に計2000万ポンドを支給し、各コミュニティーでの医療ケアを促進する。特定の疾患に対し処方箋なしで治療薬が購入できる制度「ファーマシー・ファースト」を拡大するほか、診療施設を100カ所新設し、150カ所以上の古い施設をリニューアル

労働党
Labour

英国の2大政党の一つ。社会民主党、民主社会主義者、労働組合主義者の連合体とされており、政治的には中道左派に位置するが、現在は政治的中道に近づきつつある。党員数は約58万人で英国内で最大。トニー・ブレア首相(1997〜2007年)は社会民主主義に市場原理主義を取り入れ、この路線は「ニュー・レイバー」とも呼ばれた。

党首の横顔


Keir Starmer
(キア・スターマー: ロンドン出身 61歳)

人権問題の被告人弁護士として実績を積み重ね、勅撰弁護士を経て検察局長に。2015年の総選挙で労働党議員候補として立候補し当選。コービン前党首の影の内閣では内相および離脱担当相を務めた。2020年4月に労働党の党首に選出。労働党における反ユダヤ主義の根絶の重要性を強調してきた。イスラエルとハマスの戦争ではイスラエルを支持。最近のテレビ討論会で、オーディエンスから「政治ロボット」と呼ばれてショックを受ける。妻は元弁護士で、現在はNHSに勤務するヴィクトリア・アレクサンダー。

キア・スターマー

主な公約


経済
  • 海外もしくは非居住の不動産投資家への捜査を開始し、86億ポンドの増税を行う。その資金はNHSの職員や教師の増員に充てる
  • 所得税と付加価値税(VAT)は据え置く
  • 73億ポンドを投じて、投資公社「ナショナル・ウェルス・ファンド」を設立
移民・防衛
  • 防衛費をGDPの2.5パーセントに増額
  • 不法移民対策として、数百人の専門捜査官を擁する新しい国境警備隊を立ち上げ
  • ルワンダへの移民移送法案を廃止
  • 難民申請者をホテルに収容するシステムを廃止
環境
  • ガソリン車とディーゼル車の新車販売禁止措置を2030年までに達成
  • クリーンエネルギー政策の一環として電力公社「グレート・ブリティッシュ・エナジー」を創設
  • 2030年までに、より安価で炭素排出量ゼロの電力で電気料金を削減
社会
  • 労働者の権利向上のため、勤務時間外の連絡を拒否できる権利を法制化
  • 私立学校への減税を廃止して、主要科目に6500人の新しい教師を採用
  • 英国全土の港湾の改修とサプライチェーンの構築に18億ポンドを投入
  • 2030年までに5Gを完全なギガビット・ブロードバンドで全国に提供
  • 鉄道のほぼ全線を再国有化
福祉
  • NHSの待ち時間を短縮するため、夜間や週末の毎週の予約を4万件増やす
  • メンタルヘルス・スタッフを8500人増員
  • 地域に根差した薬剤師処方サービスを設立、一般医(GP)の負担を軽減

リフォームUK
Reform UK

移民問題を主軸にする右派ポピュリスト政党。2018年11月に合意なきEU離脱を主張する「ブレグジット党」としてナイジェル・ファラージ氏により結成され、21年1月「リフォームUK」に改名。24年6月3日、名誉会長に退いていたファラージ氏がリチャード・タイス氏に代わり党首に就任したことで、保守党支持者の一部を引き付けている。「ガーディアン」紙によると、同党は保守党に30議席以上の議席喪失をもたらす可能性がある。

党首の横顔


Nigel Farage
(ナイジェル・ファラージ: 英南東部ケント出身 60歳)

1990年代初頭から欧州連合離脱運動を展開する欧州懐疑論者で、元英国独立党(UKIP)党首。99年の欧州議会選挙でイングランド南東の欧州議会議員に選出。思い切った言動で政界を混乱させることが多い。

*ファラージ氏についての詳細は、「英国メディアを読み解く」でも紹介

ナイジェル・ファラージ

主な公約


  • 所得税の課税対象となる所得額を1万2570ポンドから2万ポンドに引き上げ、経済成長を促進
  • 外国人従業員1人当たりの国民保険料を20パーセントに引き上げ、移民税として雇用主に支払いを義務付け
  • 内務省を廃止し新しい移民省に置き換え
  • 欧州の住民の人権を守る「欧州人権条約」(ECHR)を離脱し、「1人入国したら1人出国」の移民割当制度を導入
  • 5年のうちに4万人の警察官を新たに採用する

自由民主党
Liberal Democrats

保守党、労働党に次ぐ第3位の政党。方向性は労働党と通じるところが多く、支持層も重なる部分がある。労働党が労働組合などの支持基盤を持っているのに対して、自民党は富裕層や無党派層などの支持層が支える。イラク戦争にはいち早く反対を表明し、労働党の一部を巻き込んで国論を二分する論争に発展した。2010年の総選挙では、保守党との連立政権に合意し初の政権入り。24年の地方選挙では522議席を獲得した。

党首の横顔


Ed Davey
(エド・デーヴィー: 英北部ノッティンガムシャー出身 58歳)

保守党との連立政権では、2010~12年に雇用関係・消費者・郵便問題担当国務相、12~15年にエネルギー・気候変動相を務めた。下院議員に選出される前は、経済研究者および金融アナリスト。

エド・デーヴィー

主な公約


  • イングランドの医療・社会福祉への支出を2028年までに90億ポンド以上増やす。その財源は大手銀行、水道会社、化石燃料会社への増税で賄う
  • イングランドに一般開業医を8000人増員
  • ルワンダへの移民移送法案を廃止し、亡命希望者に安全で合法的なルートを提供
  • 銀行への課税引き上げ、キャピタルゲイン税を改革
  • 欧州単一市場に再参加
  • 刑務所の過密状態を解消

緑の党
Green Party

正式名称は「イングランドとウェールズの緑の党」。同党の理念は環境保護主義で、市民の自由、動物の権利、LGBTの権利などの社会政策に対し進歩的なアプローチを取る。現在は下院に1名、上院に2名の代表を送っており、地方自治体レベルで800名を超える評議員がいる。

党首の横顔


Carla Denyer(カーラ・デニエル 元ブリストル市議会議員 38歳)とAdrian Ramsay(エイドリアン・ラムゼイ 元ノリッジ市議会議員 43歳)が党の共同党首を務める。デニエルは自身がバイセクシャルであることを公言している。

主な公約


  • 富裕層への新たな課税。資産1000万ポンド以上の人には年間1パーセント、10億ポンド以上の人には年間2パーセントの増税
  • 大学の授業料を廃止
  • 2040年までに、大気中に温室効果ガスを一切排出しない状態「ネットゼロ」を達成
  • 再生可能エネルギーの導入加速
  • 15万戸の新しい公営住宅を建設

スコットランド民族党
SNP

1934年に結成されたスコットランドの独立を求める地域政党。社会民主主義を基本とする。ニコラ・スタージョン党首が昨年3月に退任して以来、初の総選挙を迎える。英議会では48議席を占めるが、労働党の躍進などから今回の選挙で半数以上失う可能性がある。

党首の横顔


John Swinney(ジョン・スウィニー エディンバラ出身 60歳)

23年はスタージョン政権下でスコットランド副首相を務めた。24年4月にハムザ・ユーサフ前党首が辞任を発表した後、2024年のSNP党首選挙で後任に立候補し当選。

主な公約


  • 英国政府に再度の国民投票の交渉を要求
  • スコットランド富裕層の税率引き上げ
  • 住宅ローン利子税控除の再導入
  • スーパーマーケットの食品価格の上限設定
  • イングランドの医療費を150億ポンド増額。それによりバーネット方式と呼ばれる算定式を通じてスコットランド政府に15億ポンドの追加補助金を獲得

プライド・カムリ
Plaid Cymrus

1925年に結成されたウェールズの独立を求める地域政党。政策的にはウェールズ独立・ウェールズ民族主義のほかに民主社会主義や社会民主主義を掲げており、左派寄りの傾向。英議会では5議席と低調だが、ウェールズ議会では大きな力を持つ。

党首の横顔


Rhun ap Iorwerth(ルーン・アプ・イオルウェルト ウェールズ南部出身 51歳)

1994~2013年はBBCウェールズの政治記者。13年に政治の世界に転身し、アングルシーで行われた補欠選挙で圧勝。党内の女性蔑視、嫌がらせ、いじめに関する痛烈な報告書によりアダム・プライス党首が辞任した後、23年6月に党首に就任。

主な公約


  • 英議会からのさらなる権限委譲を求める
  • ウェールズの独立
  • 英国閣僚によるウェールズ政府へのより公平な資金調達を求める
  • 貿易を促進し投資を誘致するため、ウェールズ開発庁を新設

次期政権が決まるまでの歩み

選挙の投票日発表から2024年度の国会が開かれるまでを、時系列で追ってみよう。

2024年5月22日

総選挙日程発表

スナク首相が首相官邸前で総選挙の投票日を7月4日と発表。同首相が大雨のなか傘も使わず濡れたままであったことや、トニー・ブレア率いる労働党が1997年の選挙で頻繁に使用していたイメージ・ソング「Things Can Only Get Better」が政治活動家によって突然流されるなど、メディアが一斉に報道

2024年5月23日

  • スナク首相が「選挙前には亡命希望者のためのルワンダ行き航空便は運行しない」と発表
  • ナイジェル・ファラージ氏は当初、選挙には立候補しないと述べていたが、前言を翻しリフォームUK党党首として出馬宣言

2024年5月24日

ジェレミー・コービン前労働党党首が無所属で出馬宣言。労働党から除名

2024年5月30日

2019年からの議会を解散。これにより選挙運動期間がスタート

2024年6月3日

YouGovの世論調査で、労働党が1997年の圧勝を超え、党史上最大の勝利に向かっていることが明らかに

2024年6月4日

  • ITVで最初のテレビ討論会が放送。スナク首相とスターマー労働党党首の一騎打ちで、スナク首相は労働党は政権を取った後、各世帯に2000ポンドの税金負担をもたらすと主張し、スターマー党首はこれを否定。ITVによると、この討論を550万人が視聴
  • ファラージ党首が英南東部クラクトンを遊説中、有権者の女性からミルクシェイクを投げつけられる。同党首は11日にも南ヨークシャーで市民が投げた液体を被弾した
  • ナイジェル・ファラージ党首11日、南ヨークシャーを2階建てバスで遊説中、有権者から液体を投げつけられたリフォームUK党のナイジェル・ファラージ党首

2024年6月6日

  • スナク首相とスターマー党首が、ノルマンディー上陸作戦80周年の記念式典に出席。スナク首相は、ITVのインタビューを受けるために式典を早めに切り上げたことで、退役軍人を含む多くの人々から激しく批判され謝罪
  • スコットランド保守党のダグラス・ロス党首が、選挙後に党首の座を退くと発表

2024年6月7日

保守党、労働党、自由民主党、スコットランド民族党、リフォームUK、緑の党、プライド・カムリの各党の指導者または上級代表がBBCで放送された直接討論会に参加

テレビ討論会7日にBBCで行われたテレビ討論会

2024年6月12日

スカイニューズでスナク首相とスターマー党首が2度目のテレビ討論

2024年6月13日

保守党、労働党、自由民主党、スコットランド民族党、リフォームUK、緑の党、プライド・カムリの各党の指導者または上級代表がITVの討論会に参加

2024年6月18日

英国内在住者の投票登録の閉め切り

2024年6月20日

BBCでスナク首相、スターマー党首、スウィーニーSNP党首、デーヴィー自由民主党党首がテレビ討論

2024年6月26日

BBCでスナク首相、スターマー党首が選挙前最後のテレビ討論

2024年7月4日 投票日

投票所は午前7時から午後10時までオープン

2024年7月4〜5日

ほとんどまたは全ての選挙区で結果が発表

2024年7月9日

新たな議会が開かれ下院議長が選出

2024年7月17日

国会の開会式と国王の演説

選挙動向を見るためのお勧めポッドキャスト

通常のニュース報道だけでは分からない、選挙を前にした各政党の政策とその策略、今後の予想など、人気ポッドキャストを聴くことで理解が深まる。今回の総選挙だけでなく、時事問題に強くなりたい方にもお勧めだ。

Political Currency

かつて政治の場で激しい戦いを繰り広げた、元財務相ジョージ・オズボーンと影の財務相エド・ボールズが、経済と政治について語り合う。市場の力を前にした権力者がいかに無力かを暴露するスタンス。毎週木曜日更新。
https://podcasts.apple.com/gb/podcast/political-currency/id1706536336

The Rest is Politics

元ダウニング街の広報・戦略部長アラステア・キャンベルと閣僚ロリー・スチュワートが、政界の秘密を明らかにし、政治に対する内部の視点を提供。政治的な垣根を越えて語りつくす。週2回更新。
https://podcasts.apple.com/gb/channel/the-rest-is-politics/id6443145599

The Rest is Money

元BBCの経済記者ロバート・ペストンと、TVパーソナリティーのステフ・マクガヴァンの2人が、経済面から政治を分析する。経済には疎いステフの素朴な問いに、専門家ペストンが答えていくスタイル。毎週木曜日更新。
https://podcasts.apple.com/gb/podcast/the-rest-is-money/id1703785141

Newscast

ブレグジットの際のポッドキャストから派生した番組。BBCの記者を中心に、新旧の政治部長や経済部長が参加する。毎日更新され最新情報が詳しく分かる。仲間内の掛け合いがある一方で、BBCらしく不偏不党な内容。
https://www.bbc.co.uk/sounds/brand/p05299nl

The Today Podcast

BBCラジオ4の政治番組「The Today」の2人のキャスター、ニック・ロビンソンとアモール ·ラジャンが、番組内では解説しきれなかった話題をおしゃべりする。毎週木曜日更新。
https://www.bbc.co.uk/programmes/articles/43RKsbzQg6DgxLnZTmTpfpN/the-today-podcast

 

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