ブレイズド・レッド・キャベッジ
Braised Red Cabbage
1月の英国で、職場の同僚や友人との会話で必ずといっていいほど出てくるのが「ドライ・ジャニュアリー」という言葉。12月のホリデー・シーズンに、普段の4~5倍(?)にも上るアルコール消費を果たした胃と体を休めるため、1月中は一切アルコールには口をつけない、というものです。
それに加えて、去年あたりから周りの友人の間では、1月は「ヴィガニュアリー」にしているという人が何人か現れました。聞き慣れないヴィガニュアリーという言葉ですが、一体何のことでしょう?
これは「ヴィーガン」と「1月」(ジャニュアリー)を掛け合わせた言葉で、1月の間はヴィーガン生活を送る、ということなのだそうです。ヴィガニュアリーというチャリティー団体が2014年からキャンペーンを始め、以来、のべ50万人以上の人がヴィガニュアリーに参加しているといいます。
私の1月は完全なヴィガニュアリーではないのですが、影響を受けて、1月中はいつも以上に野菜をたくさん食べるようにしています。そして、季節の野菜を使った献立を考えていたときに思い出したのが「ブレイズド・レッド・キャベッジ」でした。これは紫キャベツ(英国では赤キャベツと呼ばれます)と玉ねぎとリンゴをしんなりと煮た、甘酸っぱい食べ物。スパイスがほんのり香る、英国ではクリスマス・ディナーの付け合わせの定番として数えられるものです。そのため、12月に雑誌やフード・ブロガーの方の記事などで何度も目にしていたため、印象に残っていたのでしょう。
我が家のクリスマス・ディナーには登場しませんでしたが、以前、義母がボクシング・デーの日にこれを作ってくれたことがあります。前日のロースト・ターキーの残りをコールド・ミートとしてランチに食べるとき、玉ねぎの酢漬けやチャツネと一緒にこの赤キャベツの蒸し煮もテーブルに並びました。それだけで食べるとあまり味を感じない冷たいターキーが、これと一緒だと、いつもよりたくさん食べられるような気がしました。
ブレイズド・レッド・キャベッジに似たものに、赤キャベツのピクルスがあります。こちらはスーパーで瓶入りのものが売られているので、手軽にこれを使うという人もいるかもしれません。ブレイズド・レッド・キャベッジの歴史は不明ですが、赤キャベツのピクルスについては、1845年発行のイライザ・アクトンによる料理書にレシピが登場しています。
ほんの少しだけならピクルスでも十分ですが、野菜をたくさん摂取するための副菜としては、ブレイズド・レッド・キャベッジのほうがお勧めです。
ブレイズド・レッド・キャベッジの作り方
(6~8人分)
材料
- 紫キャベツ...1個
- 玉ねぎ...1個
- リンゴ(小ぶりのものを細かく切っておく)...1個
- シナモン・スティック...1本
- ソフト・ブラウン・シュガー...大さじ2
- ナツメグ...小さじ1/4
- クローブ...2〜3個
- サイダー・ビネガー...30ml
- バター(またはオイル)...適量
- 塩...適量
作り方
- バター(またはオイル)を鍋に入れ、細かく切った玉ねぎが透明になるまで炒める。
- 千切りにした紫キャベツを加え、さらに少し炒める(焦げないように)。
- 残りの全ての材料を加え、かき混ぜて鍋の蓋をし、弱火で45分〜1時間ほど煮る。焦げないように途中で様子を見ながらかき混ぜる。味見をして好みで塩を加えて調整。キャベツによく火が通って味が染み込んでいれば出来上がり。
memo
ヴィーガン料理として食べる場合には、バターは植物由来のものを使用してください。余ったものは冷凍庫で保存ができます。チーズ・サンドウィッチにはさんでもおいしいです。