エルダーフラワー・コーディアル
Elderflower Cordial
いまだ外出規制が続いている英国とはいえ、散歩やエクササイズ等のための外出については無制限となりました。それを受けて、朝晩、散歩やランニングをしている人もいるのではないでしょうか。私も毎日ジョギングをしています。なかでもここ数日の楽しみは、いつものルートにあるエルダーの花が咲いてくるのを見ることでした。というのも、大好きな「エルダーフラワー・コーディアル」を作るために、花を摘みたいと思っていたからです。
日本では西洋ニワトコと呼ばれるエルダーフラワーは、ちょうど今の時期に咲く、クリーム色がかった小さな花。つぶつぶした花が寄せ集まって房状になっています。庭にこの木を植えている家もよく見かけるほど、英国ではおなじみの植物です。大きなものは樹高が10メートルほどにもなり、古くから薬用ハーブとして利用されてきたといいます。
英国の人々は、この花を摘んでレモンを加え、たっぷりのお砂糖とともにシロップを作ります。そのシロップがエルダーフラワー・コーディアル。水や炭酸水で薄めて飲んだり、カクテルに加えたり、お菓子作りにも利用されています。
2018年に、英国王室のハリー王子とメガン・マークルさんの結婚式がありました。そのときのウェディング・ケーキが、レモンとエルダーフラワー・コーディアルを使ったスポンジ・ケーキだったことから、日本でもエルダーフラワー・コーディアルの存在を知った方が多かったのではないでしょうか。
エルダーフラワー・コーディアルは、スーパーなどでも瓶詰めの市販品が売られているくらいにポピュラー。もちろん買ってきたコーディアルもおいしいのですが、一度手作りしてみると、もう市販品には戻れない、というくらい魅力なのが、その香り。満開のエルダーの木に近づくと、すっきりとして、かつほのかに甘い香水のようです。コーディアルにするには、花の上からたっぷりの砂糖水を注ぐのですが、すると香気が高まり、キッチンで、体いっぱいにアロマセラピーを受けているような気持ちになります。
たいていのコーディアルのレシピには、クエン酸を入れるとなっているのですが、初めて作ったときには、これを入手するのに近所の薬局を3軒ほどはしごしたのを覚えています。ようやくハイ・ストリートの端っこにあった「ブーツ」で購入できたのですが、棚には陳列されていないので、カウンターで注文しなくてはいけません。でも「Citric acid」がうまく発音できなくて、その時は、結局メモを見せて理解してもらいました。最近では、いつもオンラインで購入しています。
エルダーフラワー・コーディアルの作り方
(約800ml)
材料
- エルダーフラワー(太い茎の部分ははずして使用)...10~20個
- 水...600ml
- 砂糖...900g
- クエン酸...30g
- レモン(できればオーガニックかノーワックス)...1個
作り方
- 摘み取ったエルダーフラワーについたゴミや虫を水で軽く洗って取り除く。
- 鍋に入れた水に砂糖を加え、砂糖が溶けるまで煮る。
- ❷にクエン酸を加えて溶かす。
- ボウルに花を入れ、そこに、レモンの皮と輪切りにしたレモンを入れる。
- ❹の上から❸を注ぐ。
- ラップをして半日~1日置く(途中ときどきかき混ぜて様子をみて、香りが十分にシロップに移っていたら出来上がり)。
- ざるの上に手ぬぐいなどをかぶせてシロップを漉す。
- 煮沸消毒した瓶に入れて出来上がり。
memo
レシピにあまりに大量の砂糖が入るのでびっくりするかもしれませんが、英国のエルダーフラワー・コーディアル生産のリーディング・カンパニー「ビーバー」によれば、砂糖をたくさん入れるのは伝統的な手法として、発酵を止め長期保存できるようにするためだとか。わが家ではたいてい1週間以内に飲み切ってしまうので、もしかしたら、もう少し砂糖を少なくしても良いのかもしれません。