チャイナ・タウンに行けば本国さながらの本格的な味が楽しめる。
数多いロンドンの中華レストランの中から、今回取り上げるのは飲茶に強い8店。
数種類の点心を、お茶とともにちょっとずつ気軽に頂けるとあって、
飲茶をランチ代わりにする人も増えているとか。
「いろいろ試したい」「待たずに食べたい」「カフェっぽいとうれしい」など、
わがままな客の望みをくみ取り、モダンに進化しているロンドン各地の
飲茶レストランを、気になるメニューとともにご紹介する。
1
食べて歌って盛り上がる気軽な飲茶
Yum Cha Silks & Spice
優雅に寝そべるブッダの涅槃像が迎えてくれるこの店は、常に観光客や買い物客でにぎわうステイブルス・マーケットのちょうど目の前。天気が良ければ、大通り沿いにテーブルが並び、おいしそうな匂いが道行く人を魅了する。月〜水の夜は60種以上ある豊富な飲茶メニューがすべて半額になるという驚きのサービスで、カムデン通(つう)の間では「おいしくて手頃な中華が食べたければヤム・チャへ」が常識。お勧めは特製チリ・ソースとピーナッツの甘みがクセになる四川餃子や、柔らかくローストした豚肉をフワフワのパンに閉じ込めたチャーシューまん。新鮮なチャイニーズ・ブロッコリーや、小ダコのマリネは特に女性に人気だが、スペアリブやチキン・フィートなど、がっつり食べたい人向けのメニューも充実している。店内には個室のカラオケ・ルームが4部屋あり、J-Popもしっかりアップデートされているので、家族や友達と飲茶でカラオケ・パーティーというのも楽しそう。
このお店は閉店しました。
店名 | Yum Cha Silks & Spice |
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住所 | 27-28 Chalk Farm Road NW1 8AG |
TEL | 020 7482 2228 |
最寄り駅 | Camden Town / Chalk Farm駅より 徒歩4分 |
オープン | 月〜木12:00–23:00 金・土12:00–24:00 日12:00–22:30 予約可能 |
Website | www.yumchasilksandspice.co.uk |
2
彩り良く、目にも美しい創作飲茶
Dim Sum House
昨年6月にリニューアル・オープンし、紫と茶を基調にしたモダンなインテリアに生まれ変わった「ディム・サム・ハウス」。中華料理店らしからぬスタイリッシュな空間だが、気負いのない雰囲気で心地良い。ここでぜひ試してみたいのが、6種の餃子とシュウマイの盛り合わせ「ディム・サム・バスケット」。ニンジンを練り込んだオレンジ色の皮で包んだ野菜風味、ほうれん草で着色した帆立味、そして白黒のコントラストが美しいイカスミ入りなどが色鮮やかに並び、食べてしまうのがもったいない程だ。女性に大人気のカラフルでかわいいプレゼンテーションは、香港出身の女性オーナーが取り仕切る店ならでは。お店の一押しは、やさしい甘味が特徴の中華大根(ムーリー)を使った「ムーリー・クロワッサン」や、「ムーリーとXO醤の炒め物」。ロンドン北部のこのエリアはアジア食材店が軒を連ねているので、食材ショッピングをした後に飲茶で締めくくるのはいかが?
店名 | Dim Sum House |
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住所 | 63 Golders Green Road NW11 8EL |
TEL | 020 8455 0704 |
最寄り駅 | Golders Green駅より徒歩10分 |
オープン | 毎日12:00-23:00 予約可能 |
Website | www.dimsumhouse.co.uk |
3
クリエイティブな点心が楽しめる
Pearl Liang
パディントン駅から運河沿いをのんびり歩いていると、オフィスやレストランが集まる一角「パディントンセントラル」へ突き当たる。その中心である開放的な円形広場に面した広東料理の店がこちら。ゴシックな雰囲気のバーと、伝統的な中華の要素を残しつつスタイリッシュにデザインされたダイニング・エリアから成る店内は、お手頃価格でバラエティー豊かな点心が楽しめるとあって大にぎわいを見せている。一番人気は何といっても、たっぷりの肉汁に心が躍る「シャンハイ・ショーロンポー」。噛むと飛び出してくる濃厚で熱々のスープに、熟練シェフの確かな腕前が感じられる。この店のオリジナルという、ほんのりとワサビを効かせたエビ餃子は、新鮮なエビとアクセントになるワサビのさわやかさが口いっぱいに広がる驚きのおいしさ。なお、人気メニューの腸粉(チョンファン)は夕方5時以降はサーブされないので、早めに来店して特製のオイスター・ソースで楽しんで。
店名 | Pearl Liang |
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住所 | 8 Sheldon Square W2 6EZ |
TEL | 020 7289 7000 |
最寄り駅 | Paddington駅より徒歩10分 |
オープン | 毎日12:00–23:00 飲茶17:00まで 予約: 週末は必須 |
Website | www.pearlliang.co.uk |
4
ミシュランお墨付きの優雅で繊細な味わいを
Hakkasan
「ワガママ」などのレストラン・チェーンを手掛け、ロンドンにアジア料理旋風を巻き起こしたカリスマ仕掛人、アラン・ヤウ氏が2001年にオープン、ミシュラン星を獲得した高級中華料理店。フランス人建築家クリスチャン・リアグレによる、ダーク・ウッドの格子が印象的に使われた内装が幻想的な空間を創り出している。黒と金を基調にしたダイニング・エリアは、しっとりと落ち着いた雰囲気で特別なデートにぴったり。レストランからは青いガラスを通して厨房が見渡せる演出も心憎い。一見、定番に見える飲茶メニューは、高級食材を加えるなど工夫が凝らされ、計算された仕上がりが見事だ。エビ餃子はぷりぷりのエビに筍を加えて食感を高め、帆立シュウマイには彩りも美しいトビコを。また通常はチャーシューを具材に使うところをフレーバー豊かな鹿肉に変えたパフなども興味深い。人気の大吟醸清酒をブレンドしたこだわりのカクテルとともに贅沢なひとときを。
店名 | Hakkasan | |
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住所 | 8 Hanway Place W1T 1HD | |
TEL | 020 7927 7000 | |
最寄り駅 | Tottenham Court Road駅より徒歩2分 | |
オープン | ランチ | 月〜金 12:00-15:15 土・日 12:00-16:15 予約可 |
ディナー | 日~水 18:00-23:15 木~土 12:00-00:15 予約可 |
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Website | www.hakkasan.com |
5
素朴な味わい、ほっこり飲茶
Leong's Legend Ⅰ
中華街の一角にある、古い民家を模したこの店に入るには、まずは入り口の扉を強くノックしよう。迎えられた店内には、少し暗めで簾張りの天井の、どこか懐かしさを感じさせるアジアン・レトロな空間が広がる。台湾料理を得意とするこの店でぜひオーダーしたいのは、カニのショーロンポー。ほおばった瞬間、ベースであるスペアリブと鶏肉のうまみがギュっと詰まったスープがじんわり溢れ出し、スープとカニの風味とが相まって、ちょっとした感動を与えてくれる一品だ。店の中心に据えられた大きなセイロの中ではスープが温められている。なかでも、鶏肉と野菜を時間をかけてじっくり煮込み、塩で調えただけというシンプルなスープは、素材の持ち味が余すところなく溶け出していて、「セイロで蒸すとまたひと味違う」と話すスタッフの言葉にも納得できる独特の風味。その家庭的で素朴な味わいは、ほっこりとした時間を過ごしたいときにお勧め。
店名 | Leong's Legend Ⅰ |
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住所 | 4 Macclesfield Street, W1D 6AX (Lisle Streetに2号店あり) |
TEL | 020 7287 0288 |
最寄り駅 | Piccadilly Circus駅より徒歩5分 |
オープン | 月〜木 / 日 12:00-23:00 金・土12:00-23:30 飲茶 17:00まで 予約不可 |
Website | www.restaurantprivilege.com |
6
テムズ河を見ながら贅沢な時間を
Royal China
飲茶の老舗として知られ、ロンドン市内に6店舗を構える人気店の一つ。テムズ河沿いという好立地から、テラス席に座ってゆったりした飲茶ができると評判の店だ。人気の点心は、皮の薄さが絶妙なエビとニラのダンプリング。「毎朝、材料を正確に量って生地を作り、一つずつ丁寧に包む。これがベストな薄さ!」とスタッフが強調するその皮は、ニラの色味が美しく透けて食欲をそそる。口に含むと、しゃきっとした歯触りで噛み応えもあり、柔らかなニラの香りが広がって美味! また、エビを米粉の麺で巻いたエビ腸粉は、つるっとした皮がぷりぷりのエビと相まって、飽きのこない食感だ。テラス席はもちろん、ゴールドをアクセントにした気品のある店内にも足を運びたい。テムズ河に向かってガラス張りになった開放的で落ち着いた雰囲気の中、店内に静かに流れる弦楽器の音楽を聴きながらの飲茶で、優雅な時間を過ごせそうだ。
店名 | Royal China |
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住所 | 30 Westferry Circus, Canary Riverside E14 8RR |
TEL | 020 7719 0888 |
最寄り駅 | Westferry駅より徒歩5分 |
オープン | 月〜木 12:00-23:00 金、土 12:00-23:30 日 11:00-22:00 飲茶17:00まで 予約可(土日のランチは予約不可) |
Website | www2.royalchinagroup.biz |
7
中国茶のリストが手渡されるモダンな人気店
Yauatcha
前出ハッカサン系列のこちらは、2004年にオープンし、翌年にはミシュラン一つ星を獲得した飲茶の名店。ラグジュアリー系ホテルなどのインテリアを手掛けるクリスチャン・リアグレによるスタイリッシュなデザインで、店内はほの暗い水族館のような幻想的な雰囲気。それに加え、伝統を踏襲しながらもモダンで独創的な点心が、ランチタイムのみでなく一日中頂けるとあって、オープン以来人気を博している。セイロを開けた瞬間にふわっと磯の香りが漂う帆立のシュウマイのほか、カボチャと松の実を使った「クリスタル・プローン・ダンプリング」はトライしよう。カボチャの甘みとコリアンダーの香りが見事に調和した個性的な味だ。飲茶の影の主役とも言えるお茶の品ぞろえも豊富で、お勧めを尋ねると、香ばしいものがいいか、まろやかなものがいいかなどと、まるでワインを選ぶかのような質問に、この店のお茶に対する自信の程がうかがえる。40種類近くあるお茶のセレクトも楽しんでみて。
店名 | Yauatcha |
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住所 | 15-17 Broadwick Street W1F 0DL |
TEL | 020 7494 8888 |
最寄り駅 | Piccadilly Circus駅より徒歩8分 |
オープン | 月〜土 12:00-23:45 日 12:00-22:30 飲茶 終日 予約可 |
Website | www.yauatcha.com |
8
本格派の点心を水上に浮かぶレストランで
The Lotus Chinese Floating Restaurant
17年前にオープンして以来、中国や香港など、本場の味を知る人々から支持を集めているのがこのお店。テムズ河沿岸の再開発エリア、ドックランズの入り江に浮かぶような姿の店構えは、現代に突然現れた中国の古城のようだ。「その昔、皇帝に様々な料理を一度に楽しんでもらえるよう、一口サイズの品を多く用意したのが飲茶。だから豊富な点心をお手頃な価格で提供したい」とはオーナーのヘレンさんの弁。素材のうまみを生かした日本人好みの薄味で知られる広東料理をベースに、伝統的な点心の多くが2〜3ポンドとリーズナブル。メニューには載っていないが、お茶は常時4種類ほど用意されていて、ブレンドも可能。例えば、消化を助けるというポーレイ(プーアール)茶に、「菊花を浮かべてあげると、香りをさらに楽しめる」とヘレンさん。渋みのある味に、さわやかな香りが広がり、お茶の奥深さが感じられる。大きな円卓にたくさんの点心を並べて、心ゆくまで堪能しては。
店名 | The Lotus Chinese Floating Restaurant |
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住所 | 9 Oakland Quay, Inner Millwall Dock E14 9EA |
TEL | 020 7515 6445 |
最寄り駅 | Crossharbour駅より徒歩2分 |
オープン | 毎日 12:00-22:30 飲茶 12:00-16:30 予約可(日のランチは予約不可) |
Website | www.lotusfloating.co.uk |
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取材: Sayaka Hirakawa ①〜④ / Tora Chestnut ⑤〜⑧
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