英国の酒場といえばパブ。
友人と集まるならもちろんパブでビール!という人も多いはずだ。
そんなパブに押されて認知度は低めなものの、実はここロンドンには、
世界中からワインを集めたこだわりのワイン・バーがあちらこちらに点在する。
厳選されたワインが頂ける素敵なワイン・バーで、
グラス片手にのんびりと、
いつもと少し違った穏やかな夜を過ごしてみるのはいかが?
1
新しい味への冒険
Vinoteca
観光客や買い物客でごった返すマーブル・アーチ駅の近くにありながら、ゆったりとした時間を過ごせるとして支持を集めるこちら。落ち着いた雰囲気の店内ではスパークリング・ワインをタップから提供したり、ハウス・ワインをボトリング販売したり、また手頃な価格でのボトルのリフィル・サービスがあるなど、ロンドンではあまり見られない冒険心あふれる試みが大きな魅力だ。
年2回ほど替わるリストの中で、昨秋から一押しされているのは英国産ワイン。英国中のワイナリーを回ってリサーチし、ここ数年でクオリティーが上がっていることを実感したオーナーらが、厳選された8種類を用意して客を新しい味へと導く。オープン・キッチンで作られる料理は、基本となる英国料理に丁寧に作り込まれたソースが添えられ、シンプルながら確かなおいしさ。メニューには、それぞれの料理の下にお勧めワインが記されているので、気負わずに身を任せたい。
店名 | Vinoteca |
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住所 | 15 Seymour Place W1H 5BD |
TEL | 020 7724 7288 |
最寄り駅 | Marble Arch駅より徒歩4分 |
オープン | 月〜土12:00-23:00 日12:00-17:00 |
Website | www.vinoteca.co.uk |
Smoked Eel, Beetroot Salad & Horseradish £7.95
Roast Halibut, Green Olives & Almonds £16.95
2009 Sharpham Barrel Fermented,
Sharpham Estate £7.40/Glass
2
歴史の流れを感じる、ロンドン最古のワイン・バー
Gordon’s Wine Bar
すっかり色褪せた打ちっぱなしの壁や床、アーチ型の天井、オーナーであるゴードン氏の敬愛するロイヤル・ファミリーの肖像画。ロンドン最古のワイン・バーの一つと聞いて納得のこちらは、古くは石炭置き場や防空壕、ワインセラーとして使われていたという隠れ家のような空間。ここだけ150年前から時計が進んでいないかのようだ。
ワインのセレクションで特に際立つのは、フォーティファイド・ワイン(酒精強化)と呼ばれるポルト、シェリー、マデイラ酒。とろりとした口当たりの良い甘みと、強いドライフルーツの香りが特徴のポルト酒は、10年、20年、25年と熟成年数の違うものなど7種を取りそろえている。料理は、シェアして楽しめるタパスや、軽めのサラダ・バーなどが主流。厳しい冬を耐えたブドウで作る、きりりと力強い味わいのスペイン産「リオハ」を手に、仲間たちとバラエティー豊かなタパスを囲めば、賑やかな夜が過ごせそう。
店名 | Gordon’s Wine Bar |
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住所 | 47 Villiers Street WC2N 6NE |
TEL | 020 7930 1408 |
最寄り駅 | Embankment駅より徒歩3分 |
オープン | 月〜土11:00-23:00 日12:00-22:00 |
Website | www.gordonswinebar.com |
2003 LBV Port £10.15/Beaker, £47/Bottle
Rioja £12.85/Half Bottle
3
神を求めて南アフリカへ
Vivat Bacchus
限られた人生の中で、どれだけのおいしいワインを飲むことができるだろう。「バッカス(酒神)」との名を持つこのバーは、「Life is too short to drink bad wine」をキャッチフレーズに、南アフリカ産を中心としたラインナップ。「ワインは個人の嗜好によって大きく違う」と、スタッフはお客さんとのコミュニケーションに余念がない。やりとりの中から好みを見つけ出し、これ!という品を探し当てると、南アのワインのおいしさに驚く客も多いという。
ワインセラーはもちろんのこと、60〜80種類のチーズが並ぶチーズ・ルームにはぜひ足を運びたい。温度管理された部屋で、好みのワインやチーズを選んでいく作業は、自分の味覚を開拓するような気分で楽しめるはず。南アの要素を取り入れた料理にも定評があるので、しっかり食事をするのもお勧めだ。おいしいワインを頂けば、「まずいワインなんか飲んでいる暇はない」という押しの強いフレーズにも素直に頷ける。
店名 | Vivat Bacchus |
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住所 | 4 Hays Lane SE1 2HB |
TEL | 020 7234 0891 |
最寄り駅 | London Bridge駅より徒歩1分 |
オープン | 月〜金12:00-深夜 土17:00-深夜 日休 |
Website | www.vivatbacchus.co.uk |
South African Platter £11.75
Seared Kangaroo £13.50
Cheese £3〜/30g
Pinotage 2008, Doolhof £7/Glass
4
ワイン好きを満足させる、充実のリスト
Cork & Bottle Wine Bar
劇場が並ぶ賑やかなレスター・スクエアに位置しながら、昼でもほとんど自然光の入らないバーは、ひっそりと親密な雰囲気が居心地良い。壁には古いワインやポスター。中には、フランスの画家レイモンド・ペイネが描いたシャンパンの王様「ペリエ・ジュエ」のポスターもあり、ワイン通の目を楽しませてくれる。初代経営者のドン・ヒューイトン氏が、70年代にワインの輸入を始めたころからの付き合いである仏各地のワイナリーの商品を筆頭に、世界中のワインがバランス良くセレクトされており、その数は300を超える。
例えば、ロワールの内陸で生産される「サンセ」はミネラルを多く含み、ベリーの香る辛口ワイン。「バカンス先のカフェで、テーブルには軽いサラダとチーズ、バゲット。涼しい風が頬をなでる。そんな情景が浮かぶようなワインだよ」と、マネージャーのバッシュさん。生産者を招いてのトークや、試飲会なども定期的に開催される。
店名 | Cork & Bottle Wine Bar |
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住所 | 44-46 Cranbourn Street WC2H 7AN |
TEL | 020 7734 7807 |
最寄り駅 | Leicester Square駅より徒歩3分 |
オープン | 月〜土10:00-24:00 日11:00-23:00 |
Website | www.thecorkandbottle.co.uk |
Sancerre Blanc 2010 £29.50
Domaine "La Garrigue" Cuvee Romaine
Cotes du Rhone 2010 £22.50
5
良質のワインを日々の生活に
Green & Blue
おしゃれなロンドンっ子に人気のイースト・ダリッジで、小規模生産の自然製法ワインやオーガニック・ワインを取り扱うバー兼ショップ。バーというよりむしろカフェのような雰囲気の店内には、ワイン産地で育ち、ソムリエやバイヤーとして長年ワインにかかわってきたオーナー、ケイトさんのこだわりが表れている。
リストは用意しておらず、バー・エリアの奥にずらりと並んだワインから飲みたいものを選ぶスタイル。各ボトルに貼られたテイスティング・ノートは、産地や品種、味だけでなく、ワイナリーの背景にも触れており、じっくり見ていくと、それぞれのワインが人の手で大切に作られたということが伝わってくる。ケイトさんと相談しながら選べば、その日の気分にぴったりの美酒に出合えるはず。料理は、厳選されたチーズや生ハムなどのおつまみに加え、
サラダや温かい魚料理など。リーズナブルな価格設定なので、普段使いにぜひ。
*このお店は閉店しました
店名 | Green & Blue |
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住所 | 38 Lordship Lane SE22 8HJ |
TEL | 020 8693 9250 |
最寄り駅 | East Dulwich駅より徒歩7分 |
オープン | 月〜土9:00-24:00 日12:00-20:00 |
Website | www.greenandbluewines.com |
Selection of Charcuterie £14
Selection of Seasonal Cheese £10
2010 Chateau de Cambon Gamay "Raisins Gaulois" Beaujolais Bar £21.60/Bottle (Retail £11.60/Bottle)
6
王室御用達デパートで、ワインを訪ねる旅に
1707 @ Fortnum and Mason
王室御用達の老舗デパート「フォートナム & メイソン」。その地階にあるバー「1707」の名は、デパートの創業年を意味する。数々のホテルやバーの設計を手掛けるデービッド・コリンズ氏によるミニマルながら温かみのあるデザインは、伝統を守りつつも常に革新的な姿勢を貫く同デパートの姿に重なる。
「良質のワインの品ぞろえなら英国一」というリストの中からぜひ試してみたいのが、「ワイン・フライツ」のセット・メニュー。地域やスタイルをテーマに選別された3種類のワインを飲み比べながら、ワインの産地を旅するような気分を楽しむことができる。例えば「リスリング・フライト」なら、ドライな口当たりのオーストリア産、甘みの強いドイツ産、ライトでフルーティーなオーストラリア産、それぞれの風土の違いを感じながら味わいたい。チーズ、オイスターやキャビアなど、ワインにぴったりのお勧めメニューが用意されているのもうれしい。
店名 | 1707 @ Fortnum and Mason |
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住所 | 181 Piccadilly W1A 1ER |
TEL | 0845 300 1707 |
最寄り駅 | Piccadilly Circus駅より徒歩5分 |
オープン | 月〜土12:00-22:00 日12:00-17:00 |
Website | www.fortnumandmason.com |
Riesling Flight £17.50 (F&M Mosel Riesling Kabinett, Max Ferd Richter 2008 Gobelsburger Riesling, Weingut Schloss Gobelsburg 2010 Polish Hill Riesling, Grosset 2010)
7
家飲み感覚のカジュアルなワイン・パブ
Wine Wharf
ロンドン随一の食市場バラ・マーケットの程近く、ビクトリアン様式の倉庫群の一角にあるのがこちら。レンガ造りの壁にぽっかり空いた入り口に引き寄せられるようにして入ると、吹き抜けになった開放的なバーと、2フロアにくつろぎの空間が広がっている。
フランス、イタリア、米国、オーストラリアのほか、モロッコやスロバキアなど世界各国、若いものからビンテージものまで幅広くそろうのが特徴。グラス・ワインの種類が豊富なことでも知られており、その数、約150種に上る。注文はバー・カウンターで行うパブ・スタイルというカジュアルさも好評だ。しっかりとしたモダン・ヨーロピアン料理も頂けるが、ワインとおつまみといった楽しみ方が目立つ。「リラックスした雰囲気がいいでしょう」とスタッフが胸を張るように、天井が低めの1階ソファー席に座ると、まるで自宅にいるような気分でワインを楽しめる。形式ばらずに飲みたいときにお勧め。
*このお店は閉店しました
店名 | Wine Wharf |
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住所 | Stoney Street SE1 9AD |
TEL | 020 7940 8335 |
最寄り駅 | London Bridge駅より徒歩3分 |
オープン | 月〜水17:30-23:00 木・金12:00-15:00、17:30-23:00 土12:00-23:00 日休 |
Website | www.winewharf.co.uk |
Wine Wharf Platter £17.95
Domaine Larroque, Merlot Syrah 2009 £6.60/Glass
取材: ①③⑤⑦ Tora Chestnut / ②④⑥ Sayaka Hirakawa
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