キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書は、企業の損益計算書や貸借対照表と同じように重視すべきです。この計算書は、企業が1会計期間にどれだけの現金および現金同等物を生み出したか、または使ったかを示すもので、企業の財務の健全性を把握するのに役立ちます。
現金同等物とは何ですか。
現金同等物とは、既知の金額で現金に簡単に換金でき、価値の変動リスクが低く、流動性の高い短期的な投資と定義されています。現金同等物と見なされるのは、取得日から通常3カ月以内の短期で期限を迎える投資のみです。
キャッシュ・フロー計算書の構造はどうなっていますか。
英国の財務報告基準FRS102は、キャッシュ・フロー計算書を次の三つに分類して表示しています。
- 営業活動:企業の日常的な収益を生み出す活動であり、顧客からの受け取り、商品やサービスに対するサプライヤーへの支払い、従業員への支払いなどを反映している。税金の納付や還付も、投資や財務のキャッシュ・フローと識別できない限り、営業活動に分類される
- 投資活動:現金同等物以外の長期資産およびその他投資の取得や処分から生じるキャッシュ・フロー。例えば、有形固定資産の処分による収入、新規資産の購入費用、ほかの企業の持分取得に対する支払いなど
- 財務活動:企業の借入や資本の構造に変化をもたらす取引のこと。例としては、新株発行による収入、新たな銀行借入、融資の返済などがある
外貨建てキャッシュ・フローはどのように扱われますか。
外貨建取引から生じるキャッシュ・フローは、適切な為替レートを適用して企業の機能通貨に換算します。
外貨建取引の為替損益は、キャッシュ・フロー計算書に表示しますか。
そのような損益はキャッシュ・フローではありませんが、期首と期末の現金および現金同等物を調整するために、キャッシュ・フロー計算書に表示しなければなりません。こうした未実現損益は、営業活動、投資活動、財務活動とは別にキャッシュ・フロー計算書に表示します。
キャッシュ・フロー計算書の作成でよくある誤りは何ですか。
キャッシュ・フロー計算書でよくある誤りは、キャッシュ・フローを間違って分類することです。通常、企業は一つの取引を損益計算書とキャッシュ・フロー計算書で、別のもとして扱うことはできません。英財務報告審議会(FRC)は、企業の財務諸表の調査により以下のような例を見つけています。
- 事業買収のための支払いが、投資キャッシュ・フローではなく営業キャッシュ・フローとして誤って分類
- 買収後の再編費用を営業活動ではなく投資活動として処理
全ての企業がキャッシュ・フロー計算書を作成する必要がありますか。
006年会社法で定義されている小規模企業は、キャッシュ・フロー計算書を作成する必要はありません。また、グループの一員である非小規模企業で、グループの親会社が公表可能な連結財務諸表を作成し、その企業が連結に含まれている場合も、作成する必要はありません。
この記事は一般的な情報を提供する目的で作成されています。更なる情報をお求めの場合は、別途下記までご相談ください。
イアン・ロウ
監査・会計 パートナー
会計監査部署に所属。25年以上の経験を様々なビジネスにて駆使し、また財務会計に関して企業の立場からアドバイスを提供する姿勢から、多くのクライアントの信用を得ている。