第190回
Companies House – 本人確認の義務化について
2025年11月18日より、カンパニーズハウスは、英国企業の個人取締役および重要な影響力を有する人物(PSC: Persons with Significant Control)に対し本人確認(IDV: Identity Verification)を義務付けます。この新たな要件は、英国法Economic Crime and Corporate Transparency Act 2023に基づき導入され、企業の透明性向上と詐欺防止を目的としています。
本人確認が必要な対象者はどのような人ですか。
- 会社取締役(既存および新任)
- PSC
- LLPメンバーおよびGeneral Partner
- 会社やLLPに代わりカンパニーズハウスに申請を行う者(認可を受けた法人に雇用されている場合を除く)
主なスケジュールについて教えてください。
- 任意本人確認開始日: 2025年4月8日
- 義務化開始日: 2025年11月18日
対象者別の締切はいつですか。
- 新任取締役/PSC:就任前に本人確認を完了
- 既存取締役/PSC: 2025年11月18日以降、次回の年次確認書提出前までに本人確認を完了(最長12カ月以内)
- 既存のPSC(同一企業の取締役ではない場合): 上記期限前に本人確認を完了し、該当期限から14日以内に確認コードを提出
どうやって本人確認を行うのですか。
実施方法は下記の二つの選択肢があります。
❶ GOV.UK One Loginを利用した直接本人確認(無料)
推奨対象: 英国居住者で有効なバイオメトリック身分証明書を保有する方、デジタル手続きに慣れている方など
❷ 認可を受けたサービス提供者 (ACSP: Authorised Corporate Service Provider) 経由での対応
推奨対象: 英国非居住者やバイオメトリック付きパスポート非所持者、言語サポートが必要な方、また複数の取締役やPSCを管理する企業、専門家支援を希望する企業など
本人確認完了後の流れはどうなりますか。
本人確認完了後、個人には一意の本人確認コード(Companies House パーソナルコード)が発行されます。このコードは以下の条件で管理されます。
- 当該個人が関与する各企業情報に紐付けられる
- 新規会社設立時や、新任取締役/PSCの就任時に提供される
- 2025年11月18日以降に提出が求められる年次確認書の提出前に、該当企業に紐付けられている必要がある
本人確認要件を期限内に遵守しない場合、違反行為とみなされ罰金などが科される可能性があります。
今回の変更は、英国企業統治上重要な転換点です。本人確認は単なる形式的手続きではなく、透明性の向上、データの完全性確保、詐欺防止に向けた重要なステップとして考えられます。
*この記事は一般的な情報を提供する目的で作成されています。更なる情報をお求めの場合は、別途下記までご相談ください。

ダイレクター 日系企業対象のビジネスディベロップメントの中心役を担う。四大会計事務所での駐在員関連税務や金融リサーチ会社での職務経験あり。クライアントとスタッフ間の調整役も務める。