第196回
英国の課税年度と日本人駐在員向けの節税投資
なぜ英国の課税年度は4月5日に終了するのですか。
日本を含むほとんどの国では、税務上の年度末を12月31日としているため、初めて英国に来る人は英国では4月5日であることに驚きます。その理由は1752年にさかのぼります。英国がユリウス暦からグレゴリオ暦へ移行した際に、欧州との整合を図るため11日分を削除し、それまで3月25日に終了していた課税年度の日付を4月5日に変更したのです。これは税収の減少を避けるためでしたが、それ以来この日付は変わっていません。
日本人駐在員は、英国の節税投資を検討すべきですか。
日本人駐在員の多くは英国の投資控除を利用していません。通常2~3年と駐在期間が短いため、あるいは以前のノンドミサイル(非定住者)制度では、英国での課税回避の目的で英国送金を抑えようとしていたためです。しかし、2025/26課税年度から導入された、外国所得・利益制度(FIG)により、新たな赴任者が可処分所得を英国で投資する際には、柔軟性が高まる可能性があります。
英国で利用できる税制優遇措置には、どのような選択肢 がありますか。
目的や駐在期間によりますが、以下のスキームが魅力 的でしょう。
1. 英国年金への拠出
- 英国居住者は、課税年度につき最大6万ポンドまで拠出できる(所得やその他の制限が適用される)
- 拠出金は所得税控除の対象となるため、年金は最も効率的な貯蓄手段の一つ
- 英国で雇用契約をしている場合に特に重要な点として、赴任中に日本の雇用主の年金制度への拠出が減額または停止される可能性がある
2. 個人貯蓄口座(ISA)
- 課税年度につき最大2万ポンドまで投資できる
- 現金ISA(利付き預金)と株式・投資信託ISAに拠出を配分できる
- ISA内の全所得・利益は英国居住者には完全に非課税
- 英国の金利が日本に比べて相対的に高く、リスクへの許容度が低い場合には、現金ISAが依然として魅力的
3. ベンチャー・キャピタル制度
- 企業投資制度(EIS)、シードEIS、ベンチャー・キャピタル信託などがある
- 所得税控除など大幅な税制優遇が受けられるが、非上場で高リスクな企業への投資が含まれる
- 主に、英国に長期駐在して投資を行う意向のある、経験豊富な投資家に適している
投資以外で英国での課税を減らす方法はありますか。
ギフト・エイド(Gift Aid)制度に基づく英国の登録慈善団体への寄付は、税制上のメリットがあります。
日本人駐在員が注意すべき点は何ですか。
- 日本での課税対象の可能性
駐在中も日本の税法上居住者である場合、または日本に帰国後、英国資産が日本税制上で影響を受ける可能性有り。(例: 英国の年金引き出しは、日本のルールに基づき一般的には課税対象となる) - 雇用主のタックス・イコライゼーション/ネットペイ方式
雇用主がタックス・イコイライゼーション(税負担調整制度)を適用している、または手取り保障方式を提供している場合、個人投資による税制上のメリットが、会社ポリシーに基づき、個人本人に帰属するのか、それとも雇用主に帰属するのかを確認する必要性あり
必要に応じ税務・財務専門家からの助言をお勧めします。
*この記事は一般的な情報を提供する目的で作成されています。更なる情報をお求めの場合は、別途下記までご相談ください。
トム・アダムス グローバルモビリティパートナー 英国勅許会計士協会公認会計士。税務、年金、従業員福利厚生の分野で20年近い経験を積む。世界中の企業・個人クライアントへ、クロスボーダー人事・税務支援を提供。ケンブリッジ大学日本語学科卒。



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