早いものでコロナ禍の1年が経ちました。新しい年が始まるとともに、本コラムは今回が最終回になります。毎回読んでくださっている皆さんにお礼を申し上げます。最後ということで、過去の記事を振り返って、要点をまとめました。異文化相互理解のための便利ガイドとしてお使い下さい。
①日本人と英国人は、行動の背景にある文化や思考についてお互いにもっと知らなければなりません。なぜ相手がその行動を取っているかについて話し合い、情報共有する機会を設けることが必要です。
②物事が予定通りに進まないとき、英国人がしがちな少し長い説明は日本人にとって言い訳らしく聞こえます。英国人にそれを伝えつつ、説明に耳を傾ける姿勢が大切です。
③現地スタッフと良い人間関係を築くには、笑顔で挨拶をすると効果的。週末の予定などに関心を示すことも重要です。
④現地スタッフはきっと、日本人駐在員の悩みを意識していませんし、共感できていません。その意識を高めるための機会を設定しましょう。また、英国生活において知りたいことがあれば、英国人の同僚に相談すると、同僚は自分の意見が尊重され、信頼されていると感じます。
⑤部下に何かを頼むとき、また、飲食店で注文するときにplease/thank youを忘れずに。英国人の同僚、顧客とサプライヤーは日本人の行動を見ています。
⑥日本の文化について共有する場を社内で設けましょう。英国人は案外、日本の文化に興味を持っています。
⑦英語を話すときの相づちに注意を払いましょう。頻度が多かったり打ち方が悪いと相手を不快にさせます。英国人の相づちの仕方を観察しましょう。
⑧「会議資料をできるだけ早く提示する」という社内ルールを徹底させましょう。英語資料の熟読は時間を要することを英国人のスタッフに理解してもらいましょう。
⑨日本本社によるマイクロ・マネジメント(過干渉)は嫌われるので、情報提供依頼の目的を説明すると効果的です。
⑩「海外の人々は自分の意見を率直に言うので、負けないよう率直に話さなければ」と思い込むと、逆に英国人から「ぶっきらぼう」と思われる可能性がありますので、要注意です。
⑪日英両国の価値観や働き方を重んじる「ハイブリッド型企業」を築くためには、日系企業の海外拠点に勤めている現地社員に「Japanese-influencedの企業で働いている」という意識を持たせることが必要です。
⑫通訳を使っている場合、日本語のなかでいきなり「イシュー」などの英語表現を入れないように。また、頭文字を使った略語を特にはっきり発音するように心掛けましょう。
15回にわたり、私が気付いた日英ビジネスに関する留意点を取り上げてきました。要点の詳細はオンライン版の英国ニュースダイジェストでバックナンバーをご参照下さい。少しでもお役に立つことを祈ります。日英ビジネスに関わっている同僚やお知り合いと広く共有していただければ幸いです。また、読者の方からメールをいただくと大変うれしいので、コメントやご質問がありましたら、気軽にご連絡下さい。
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