子どもたちの未来を照らす
イングランドの幼児教育から中等教育まで
早い段階から個性を尊重し、遊びや探究を通して学びを育む英国の教育は、子どもたちの中に自発性と柔軟な思考を育てていく。英国で子どもを育てる家庭にとって、制度や進学のしくみは日本とは大きく異なり、将来の帰国や進路を考えるうえで戸惑う場面も少なくないだろう。この特集では、英国、特にイングランドの幼児教育から中等教育までの全体像をたどりながら、その根底にある考え方や近年の制度改革、そして実際の学校生活に光を当てる。(文: 英国ニュースダイジェスト)
参考: www.gov.uk、www.britishcouncil.jp、https://classroomsecrets.co.uk、https://minervatutors.co.ukほか
社会に出る前の大切な準備期間初等・中等教育の大きな特徴
一定の年齢を迎えると「学科試験によって評価される」という日本と同じ制度のほかに、学びの方向性や多様な考え方に対応した教育制度が存在する。
授業であらゆる人間関係について学ぶ
公立校のカリキュラムには、日本と同じようにプライマリー、セカンダリー・スクールで学ぶ、政府制定の学習プログラムを含む「ナショナル・カリキュラム」があり、科目は英語、数学、理科、歴史、アートとデザイン、音楽、体育、市民権、コンピューティングなど多岐にわたる。それに加え、イングランドでは2020年から個人・社会・健康・経済教育(Personal, social, health and economic education=PSHE)の一部が必修化された。人間関係、性と教育が含まれているのが特徴で、多文化社会である英国ならではのカリキュラムといえる。
人間関係の教育は、まずプライマリー・スクールで友情や家族関係など、人間関係を築くための根幹部分を学び、続くセカンダリー・スクールで人間関係と性教育 (Relationships and Sex Education、RSE)という踏み込んだ内容に変化する。結婚や長期的なパートナーシップなど、互いに責任と尊重をもって築く関係について学び、健全な人間関係が精神的な健康にもつながることを理解する。また、自分の体を大切にし、尊重する意識を育むとともに、安全な性交渉に関する科学的知識や、セクシュアリティーに関する事実、関連する法律についても学ぶ。
宗教教育(RE)は、子どもたちが宗教や世界観についての基礎知識を身につけ、その理解を深めるためのカリキュラムの一つ。多様な人種や文化が共生する英国社会において、自分自身の信念や価値観に自信を持ちつつ、他者の宗教的、文化的な違いを尊重する姿勢を育むことを目的としている。
またPSHEとも連携し、年間を通じて多様性や共生を学ぶ特別授業やイベントを開催。LGBTQ+のプライド月間、ブラック・ヒストリー月間、自閉症や学習障害への理解を深める啓発月間などに関連する活動や、世界各地の宗教行事を紹介する催しが学校生活の中で実施されている。こうした取り組みは、他者の権利や自分の権利を理解し、違いを尊重し合う姿勢を育むことにもつながっている。
大学に行く前に将来を決める生徒たち
イングランドの学校では、日本の高校生にあたる年齢から進路を見据えたプログラムに専念するための環境が整えられている。代表的なものはカレッジというシステムで、GCSE修了後に通う16〜18歳の生徒向けの教育機関を指す。セカンダリー・スクール内に、シックス・フォームの体制が整っていれば、GCSE後も大学進学のためのAレベルを引き続きそこで学ぶことができ、校内にシックス・フォームがない場合は、独立したカレッジに行くことになる。カレッジでは理論的な学習に焦点を当て、通常3教科を学ぶAレベル以外にも、調理、アート、ファッション、ビジネス、音楽など、より専門的な分野に特化したコースが提供されている。その代表が実践的で職業的な学習に重点を置いたBTEC(Business and Technology Education Council) である。例えば、BTECエクステンデッド・ディプロマ(Extended Diploma)はAレベル3科目分に相当し、BTECディプロマ(Diploma)はAレベル2科目分に相当する。生徒の進みたい分野によっては、BTECのほうが実践的で近道となる場合もある。
BTECを通じて大学に進学することも可能であり、実際にBTECとAレベルを組み合わせて受講する生徒も少なくない。このように、16歳の時点で、アカデミックな進路を目指すのか、それとも専門的な職業訓練に軸足を置くのかを選択することになる。
イングランドの初等・中等教育における外国語教育
学校の種類や教育段階によって大きく異なるものの、2014年からプライマリー・スクールの7~11歳における外国語教育が必修化された。ただし、どの言語を教えるかは学校側に委ねられており、フランス語、スペイン語、ドイツ語など欧州の主要言語が選ばれることが多い。教師の専門性や教材の入手しやすさ、近隣の学校との連携などが判断材料となるため、児童が言語を選ぶことは基本的にない。とはいうものの、外国語教育の質や頻度は学校間でばらつきがあり、小学校では週1回20~30分程度の授業にとどまる例も少なくない。
セカンダリー・スクールでは、11~14歳時に外国語が全国カリキュラムの一部とされており、多くの学校で1~2言語の履修が求められる。GCSEでは外国語の履修は必須ではないが、英バカロレア(EBacc)と呼ばれる評価指標に含まれるため、多くの学校が奨励している。また、私立校ではさらに幅広い選択肢が用意されており、中国語、日本語、ロシア語、アラビア語なども選択科目として提供されることがある。
ドロップアウトしたらどうなる?
セカンダリー・スクールの生徒は、16歳になれば学校を卒業することができるが、18歳の誕生日までは何らかの形で教育または職業訓練を受けなければならない。また、カレッジの過程で中退したとしても、18歳まではフルタイムの職業に就くことは法律で禁止されている。ただし、学習障害がある、いじめにあった、などの大きな理由でどうしても学習の継続が難しい場合は、学校のキャリア・アドバイザーに相談したり、場合によっては転校という形も認められているので、一概に悪いことだとはされていない。
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