計画通りに準備してスムーズに引越し
帰国の手引き
学校制度の違いにおける進級時期のずれ

日英の学校で出る年齢や学年のずれ
日英の学校制度には学年の始まりや学年編成の違いがあるため、帰国時には年齢と学年のずれが生じることがよくある。そのため年齢相応の学年に編入できなかったり、受験のタイミングが合わなかったりすることもある。ここでは、具体的なずれとそれに対する対策や注意点をまとめた。
※義務教育は地域ごとに異なり、イングランド、スコットランド、ウェールズが5~16歳、北アイルランドは4~16歳。なお、イングランドでは16歳以降も18歳まで教育または訓練を受ける義務があるが、就学義務ではない。
学年の開始時期
日本: 4月開始、翌年3月終了
英国: 9月開始、翌年8月終了
▶︎ 日英で学年開始時期が異なるため、4~ 8月生まれの生徒は、日本では日本の同学年より一つ下に編入することになる。
義務教育の開始年齢
日本: 6~7歳から小学校1年生
イングランド、スコットランド、ウェールズ: 5~6歳から。イングランドとウェールズは4〜5歳から準備学級レセプション(Reception)があるが、義務ではない。
▶︎ 英国では早い年齢で義務教育が始まるため、4~6歳で帰国する場合は特に年齢と学年のずれが大きくなる。
中等教育の開始と終了
日本: 中学校が12~13歳で開始、14~15歳で終了
一般的な英国の公立校: イングランド、ウェールズの中等教育(Secondary School)は5年間、スコットランドは6年間。11~12歳で開始、15~16歳で終了、中等教育一般修了資格試験GCSEを受ける
▶︎ 中等教育の区切りが異なるため、中学入学、高校入学の時期にずれが生じる。例えば、日本の高校の帰国子女募集要項では、学校教育におけるYear10(14~ 15歳)の課程を修了、またはその見込みであることが出願資格とされるが、日本の中学修了時期である3月にYear10を修了できない。
対策と注意点
学年の調整
帰国前に帰国先の日本の学校、あるいは各都道府県の教育委員会に問い合わせたり、帰国子女を受け入れる塾などと学年調整について相談したりして、帰国生に合った学年編成や適応のための支援の可否を検討する。一部の私立学校やインターナショナル・スクールなどでは年齢に合わせた学年調整や編入が可能なところもある。
帰国後に備えた学習
現地校に通い、英語環境により多く身を置いている場合は、日本の教科書や学習内容を事前に確認し、帰国後に備えて予習や復習を行う。帰国生向けの学習塾なども活用する。帰国性がまだ幼い場合は、英語力をキープしながら、日本語での学習にも慣れるために、帰国前から家庭での日本語のサポートが重要になる。
入試に向けた準備
日本の大学や高校での帰国生入試を利用するため、募集要項やスケジュールの違いを調べておく。特に現在、帰国生大学入試は早稲田・慶應の一部学部が帰国生枠を変更中なので注意が必要。一方、多くの大学で、Aレベル取得者は日本の大学への 出願資格が認められる。ただし、入学には必要な科目や成績(グレード)を満たすことが条件となる。つまりA Levelを取得することで日本の高校卒業資格がなくても、多くの場合、国内大学進学、海外大学進学の両方の選択肢が得られるので、早めに進路の計画を。中学や高校の場合は編入学試験を受け9月から編入学することも可能。
帰国前後にすべき準備・注意点
帰国の2年前
日本の学年確認
日本の進級時期(4月)と英国の学年制度の違いを確認。生年月日により1学年上または下になるケースもあるため、希望校の判断基準を早めに確認。
学校選びの情報収集
公立/私立/インターナショナル/帰国子女枠を比較。帰国子女枠や帰国生向け塾や予備校の利用も検討。出願条件や時期を確認。
帰国の半年前〜1年前
成績・在学証明の準備
現地校・日本語補習校の成績表、在学証明書、学習内容を英語・日本語両方で用意。学校によっては推薦書や作文が必要。
試験・面接対策(帰国子女枠)
私立や国公立の帰国子女枠入試はおおむね11月〜翌年3月に実施されることが多い。国語、英語、算数などの出題傾向を早めに調べ、現地での準備を始める。
帰国/受験の1〜2か月前
日本の教育環境に慣れる準備
教科書(日本の学年に合わせたもの)を取り寄せ、算数や国語を中心に復習。特に漢字と文章読解に慣れておくとスムーズ。
健康・予防接種
日本の学校では接種記録の提出を求められることもある。英国の接種スケジュールとの違いを確認し、母子手帳や英語の接種証明を準備。
心理的準備
子どもが友人や学校環境の変化に不安を感じやすいため、日本での生活を具体的に話しておく。
帰国直後〜編入時
編入・転入手続き
住民登録後、教育委員会(公立)または学校(私立)に連絡。
必要書類は成績証明、在学証明、戸籍謄本、予防接種記録など。
学年調整の相談
日本の学年とのずれがある場合、保護者の意向を含め学校と相談可能。学校によっては柔軟に対応。
学力ギャップ対応
英語、算数、理科、社会などで進度差が生じることが多い。個別指導や通信教材を活用して段階的に調整。
新学期以降(慣れるまでの期間)
英語力の維持
英語を急に使わなくなると低下が早いため、英語教室やオンライン学習などで継続。
日本語・文化への再適応
日本語表現や集団行動のルールに慣れるまで時間を要する。学校や自治体の「帰国児童生徒支援制度」を活用。
保護者のサポート
子どもがストレスを抱えやすい時期。成績や適応だけでなく、情緒面のケアも大切。



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