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Fri, 22 November 2024

住宅ローン保証スキーム(Mortgage Guarantee Scheme)

政府が不動産購入の援助を行う「Help to Buyスキーム」の第2弾である「Mortgage Guaranteeスキーム」が2013年10月に開始されました。
今回は当スキームの利点・不利な点などを検証してみたいと思います。

Mortgage Guaranteeとはどのようなスキームなのですか。

金融危機の発生後から続く金融機関の貸し渋りにより、ローン返済を行っていくだけの収入があるにも関わらず、十分な頭金を用意できないために不動産購入ができない方がたくさんいるようです。そこで、このような方のために、政府がモーゲージ(住宅ローン)の一部を保証することによりローンを得られるようにするのが「Help to Buy Mortgage Guarantee スキーム」です。不動産価値の5% に相当する頭金しか用意できない場合でも、当スキームを利用することで政府が15% までローンを保証してくれるので、金融機関から95% までのローンを借りることが可能になります。

Mortgage Guarantee スキームを利用した
20万ポンドの物件購入例

Mortgage Guaranteeスキームを利用した20万ポンドの物件購入例

主な利点は何ですか。

たとえ頭金が少なくても、ローンを返せるきちんとした見通しが立つのであれば、ローンを借りて不動産を購入できるということです。言い換えますと、このスキームを利用することにより、十分な頭金が貯まるのを待たずに不動産購入に踏み切ることができます。

このスキームを申し込むための条件はどのようになっていますか。

まず当スキームが適用される不動産の種類ですが、英国内にあり、価値が60万ポンド(約1億円)までであれば、新築・中古ともに適用されます。購入者が住むための不動産のみが対象となり、別荘や投資目的(Buy to Let)には適用されません。またローンは元利均等返済型(Repayment)に限られます。更に、銀行の借り手に対する信用力・ローン返済力審査に合格することなどが条件に挙げられます。尚「Shared Equity or Shared Ownership Purchase」など、そのほかの政府援助スキームを既に利用されている不動産には適用されません。

政府が保証してくれる部分のローンは払わなくていいのですか。

いいえ。当スキーム自体が借り手の返済を肩代わりするわけではありません。政府が保証している部分も含むローン返済すべての責任は借り手にあります。

本スキームを利用した場合のローンの金利はどうなりますか。

2013年11月18日現在、Royal Bank of Scotland(RBS)が2年固定金利4.99%、5年固定金利5.49%、またLloyds Bank は2年固定で5.19%(+995ポンド(約16万円)の手数料)を提示しています。頭金を多く用意した際のローンと比較しますと、金利は高くなるといえます。例えば不動産価格の40% に相当する頭金を用意できれば、金利は2% ほどです。加えて当スキーム以外でも物件価格の95% までローンを借りることができます。それらのローンの金利と比較しても、それほど競争力があるとは言えません。

不動産の購入を検討している人は、頭金を貯めるまで待つか、今すぐに当スキームなどを利用して購入するかを選べるというわけですね。

様々な要因を検討した上でどちらが良いかを判断することになります。まず日々暮らしていくためには貸家にしても家賃を払わなければならないので、住宅を購入した暁には、家賃の支払いの代わりにローンを返済していると考えることはできます。更に重要なのは、購入を待っている間に、不動産価格が上昇してしまう可能性があることです。頭金が多いと有利な金利でローンを組むことが可能ですが、貯めている間に不動産価格が急上昇してしまえば、買いたい物件が買えなくなることもあります。RBS の調査によりますと、20% の頭金を用意するには10年超預金をする必要があるとのことです。

一定の頭金を用意するために必要な平均的な年数

不動産価格に対する頭金の割合 5% 10% 15% 20%
年数 3年 5年 8年 10年

*初めて不動産を購入する人々の平均年収3万4081ポンド、必要とされる頭金の平均額2万7200ポンドを基に計算(2012)| データ: Royal Bank of Scotland

当スキームを利用した際にはどのようなリスクがあるでしょうか。

ローンが返済できるかどうか、特に金利が上昇した場合にはローン返済金額も増えますが、その際に返済できるかどうかです。「歴史的」とも表現されている現在の低金利は今後いつまでも続くことはなく、いつかは上昇してくると思われます。例えば、25年返済での20万ポンドのローンに対する毎月の返済額は金利5% で1123ポンドですが、7% ですと1359ポンドとなります。また金利が上昇 すると不動産価格が下がる傾向にあります。不動産価格が下がりますと、不動産の価値そのものが借りたローンよりも低い「Negative Equity」に陥ってしまうかもしれません。従い、ローンを検討する際は事前に金利が高くなった際のシミュレーションも行い、それでも返済可能かどうかをじっくり検討することが大事です。

日本にいる親が頭金を出してくれると言っているのですが、Help to Buy スキームを利用するよりこうした経済的支援に頼った方が良いのでしょうか。

もし20%程度の頭金を用意できるのであれば、Help to Buy ではなく、市場の中で最も有利な条件のローンを探した方が良いと思われます。

本スキームの申し込み方法を教えてください。

NatWest、RBS、Lloyds Bank、Halifax にて申し込みができます。その後、各銀行がローンの返済能力についての審査を行います。追ってほかの銀行でも本スキームを利用することができるようになる見込みです。

英国の不動産価格に関する今後の見込みはどのようになっていますか。

Nationwide Building Society の調査によりますと、英国では全地方において不動産価格が上昇傾向にあり、2013年10月の平均価格は前年同月比5.8%上昇しました。将来を予想するのは無論不可能ですが、Help to Buy スキームを含め頭金が少なくても利用可能なローンが増えてくるので、今後数カ月は不動産価格が上昇するとの見方が多勢です。Help to Buy スキームの導入によって不動産価格が引き上げられており、個人の債務増加につながり、不動産バブルが再来すると批判している専門家も多くいます。

上昇し続ける英国の不動産価格

上昇し続ける英国の不動産価格

英国の不動産価格に関する今後の見込みはどのようになっていますか。

Nationwide Building Society の調査によりますと、英国では全地方において不動産価格が上昇傾向にあり、2013年10月の平均価格は前年同月比5.8%上昇しました。将来を予想するのは無論不可能ですが、Help to Buy スキームを含め頭金が少なくても利用可能なローンが増えてくるので、今後数カ月は不動産価格が上昇するとの見方が多勢です。Help to Buy スキームの導入によって不動産価格が引き上げられており、個人の債務増加につながり、不動産バブルが再来すると批判している専門家も多くいます。

*住宅ローン検討に際しては、返済が長期間滞りますと、 担保物件を
銀行に差し押さえられることもあることを念頭に置いてください。

 

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