【ロンドン時事】政府支援を受け経営再建中の英銀行大手ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は1日、不良債権処理を加速させるため、これら債権を通常の銀行部門から分離して分割管理すると発表した。政府と検討してきた抜本的な経営再建策の一環。ただ当初検討されていた不良債権を切り離す「分社化」は見送る。
これにより、2008年の金融危機で経営が悪化したRBSの再建が本格化する見通し。オズボーン財務相は声明を発表し、「新たな再建策は過去の問題に決着を着けるもので、政府として完全に支持する」と評価した。
具体的には、14年にグループ内に新たに資産管理部門を設立し、RBSや傘下のアルスター銀行などの不良債権380億ポンド(約6兆円)を移管。その上で、これら不良債権の55~70%を2年以内に、3年以内に全てを償却する。これに伴い、今後は個人や中小企業向け融資などに経営資源を集中させる。ただ当面は不良債権処理損が拡大する見通し。
このほか、再建策の一環として検討してきた傘下の米地銀大手シチズンズの売却については、14年下期に一部上場させ、16年末までに完全に売却。中核部門に関する新戦略は来年2月に発表する。
RBSは金融危機後に公的資金で救済されており、現在の政府の株式保有比率は81%。ただ一部国有化以降も再建は進まず、政府は不良債権の分社化による抜本改革を検討していた。分社化を見送った理由について政府は、「追加公的資金が必要になる分社化ではなくグループ内で管理すべきと判断した」と説明している。
Thu, 12 December 2024