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Tue, 19 November 2024

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第19回 浮き上がってくる背景
~夜景をバックに人物を撮影する(1)

街のイルミネーションや夜景スポットなど、旅行などに出掛けると夜間に撮影する機会も多くなります。しかし、「夜景をバックに人物を撮影しても、どうもうまく写らない」という声をよく聞きます。そこで今回は、夜間の人物撮影についてお話ししたいと思います。

写真1、2、3は、どれも「プログラム・モード」で日没後に撮影しています。プログラム・モードとは、カメラが撮影時の明るさを判断し、適正なシャッター・スピードと絞り(f値)を決めてくれる機能です。

写真1は、背景が随分と暗くなっていることから、人物が背景に馴染まず浮き上がった雰囲気になっています。これは、感度(ISO)が100に設定されており十分な量の光が取り入れられないことで(本コラム第5回参照)、カメラが足りない分の光を自動的にフラッシュで補おうとしたからです。しかし、フラッシュの光は目の前の人物には届いても、背景にまでは届きません。このため、人物と背景の明るさが極端に違う写真になってしまっているのです。写真2では、ISOを800に上げて撮影しています。背景は写真1に比べて明るく、細部まで良く写っています。感度を上げることにより、同じ明るさでも背景の出方がこんなに違ってくるのです。夜の人物撮影は、感度を上げた上でフラッシュを焚いて撮影すると良いでしょう。

しかし完全に暗くなってしまうと、いくら感度を上げても、光を十分に補うためには相当な時間の露出が必要になり、結果として手ブレを誘発します。また、感度を必要以上に上げての撮影は写真の画質を落とすことにもなりますので(写真3参照)、夜間撮影を目的に出掛けられる際は、三脚の持参をお勧めします。


(写真1) ISO100/プログラム・モードで撮影
人物には光が当たり明るいが、背景は暗く沈んでしまう


(写真2) ISO 800/プログラム・モードで撮影
感度を上げると、低感度時より背景のディテールが写り込んでくる


(写真3) ISO1600/プログラム・モードで撮影
さらに暗くなった状況でISOを1600に上げて撮影。
建物と人物の光のバランスはいいが、低感度時に比べ
画質が落ちるのが難点


 

前川 紀子: 滋賀県出身、1998年よりフリーランスに。以後フード専門カメラマンとして食の専門誌やレシピ本を中心に仕事をする。2007年に渡英、08年よりロンドン在住。
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