第29回 風景をイメージ通りに演出
~ホワイト・バランスを調整する
デジタル・カメラには「AWB」というモードが付いています。これは「オート・ホワイト・バランス」と呼ばれ、日光、蛍光灯、白熱灯など、どんな光の下で撮影したとしても、白いものは白く写し出されるよう、カメラが自動的に調整してくれる機能です。
通常、フィルムやデジタル・カメラの撮像素子(フィルムに相当する部分)は、日中の太陽光の下での撮影を標準として製造されているため、別の光源下で撮影した場合は、補正をしない限り正確な色が出ません。補正なしで撮影した画像が赤みがかったり青みがかったりするのはこのためです。この現象は、光の色温度(低くなるにつれて赤みを帯び、高くなるにつれて青みを帯びる)に差があるため起こり、同じ太陽光でも、晴天や曇り、朝や夕方などでそれぞれ違ってきます。
デジタル・カメラのメニューの一つ、「ホワイト・バランス」下にある、雲や白熱球、蛍光灯などのイラストは、撮影する状況に合わせてホワイト・バランスを調整するためのものです。「AWB」に合わせているとカメラが自動的に補正をしてくれるので楽ですが、これらの仕組みについて知っていると状況による調整が利き、出来上がりのイメージを随分と変えることが出来ます。
写真1は「AWB」で撮影しました。肉眼で見たときのように、それぞれの色が忠実に写っています。写真2では「太陽光」モードで撮影。街灯の色温度が太陽に比べて低いため、全体的に赤みがかり、温かみが出ています。
撮影場所の光が持つ色温度を生かして撮影するのか、それとも被写体の持つ色を忠実に再現するため補正を行うのかは、撮影者の意図次第です。一度試してみてはいかがでしょうか。
(写真1) 「AWB」モードで撮影。肉眼で見た景色と同じように
それぞれの色が忠実に表現される
(写真2) ホワイト・バランスを「太陽光」モードにして撮影。
街灯の持つ色温度が低いため、全体的に赤みがかって写る
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