#58男たちのグルーミング文化を支えた整髪料
赤いポット型の容器に白いクリームが入った、シンプルながらどこか懐かしい香りのヘア・クリーム。ブリルクリームは、1928年に英中部バーミンガムのカウンティ・ケミカルズ社が生み出した、英国発のグルーミング・ブランドだ。商品名は、当時流行していたポマード状のヘア・オイル「ブリリアンティン」と「クリーム」を組み合わせた造語。水やミネラル・オイル、蜜ろうを乳化させたクリームは、べたつかずに髪にツヤと程よいホールド感を与える。たんぱく質を含むため髪や地肌に優しいとされ、ワックスのようなスタイリング剤とヘアケア商品のいいとこ取りをした存在といえる。当初は理髪店専用の業務用として販売されていたが、たちまち一般男性にも広まった。
第2次世界大戦中には、英国空軍(RAF)のパイロットが広告塔になったほか、実際に空軍の兵士たちが愛用したことからよく知られるようになり、きっちり整えられた髪型の兵士たちは「ブリルクリーム・ボーイズ」と呼ばれた。1950年代にはテディ・ボーイ文化の流行とともに売り上げがピークを迎えたが、ビートルズがけん引した1960年代以降の自然なロングヘアの台頭で需要は急落する。だがその後、1997年に当時サッカー選手として人気絶頂だったデービッド・ベッカムがブランドの顔を務めたことで、若い世代にも再び注目された。
現在はユニリーヴァを経てRCPLがブランド権を保有しているが、赤いポットのデザインと処方は今も健在。ブーツやスーパードラッグなど街の薬局チェーンで手軽に手に入る。近年はクラシックな装いを好むバーバー文化の復権とともに、ひげやタトゥーをスタイルとして取り入れる若い男性たちのあいだで、ブリルクリームのようなクラシックな整髪料が再評価されている。広告やパッケージから漂う少し武骨でレトロな魅力は、1920年代から続く英国の粋を今日まで伝え続けている。
なお、オリジナルの赤いポット型には150ミリリットルと250ミリリットルのサイズが用意されているほか、チューブ式のジェルやワックスなどの姉妹品も展開されている。



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