いよいよ2006年も残すところあとわずか。そこで今回は政界、サッカー界、芸能界、カップルと、各界ごとに2006年、英国中を騒がせてくれた人々を一挙ご紹介。各界のご意見番とも言えるお馴染みの方々から、コメントもいただきました。英国編集部の独断と偏見で選んだ各界ベスト5、とくとご覧あれ。(英国編集部、スミス京子、猫山はるこ、長田拓也)
猫山はるこ: 三度の飯より政治が好きという、英国政治を語らせたら右に出るものはいない政治ライター。1070号「次期首相レースを占う」特集はご記憶にも新しいはず。厳しいながらも温かみのあるコメントに、各政治家への愛が感じられる!? 「辞めろ」コールが頂点に達し、ついに「辞めます」と言わされたブレア首相。今年は全然いいことなかったね。まずは5月の地方選でボロ負け。「責任取れ」の声が響く中、速攻で内閣大改造を実施、世間の目をくらましてたっけ。でも、謀反が起きても造反議員の要求に逆らって辞任時期を明確にしなかったのには首相歴9年半の意地を見た気がしたな(ブラウン財相の項も参照)。シェリー夫人は、ブラウン財相が党大会の演説で「過去最も成功した労働党党首・首相と仕事できて光栄」と言ったのを耳にして「嘘つき」とポロリ、期せずしてトップ・ニュースに。「言ってないわよ!」って反論してたけど、まあ夫は立場上、「ゴードンの馬鹿」とか言えないしね。 党首1年生の今年は、受け狙いのギミックばかり目立った印象。「地球温暖化の実態を見る」とやらでノルウェーの氷河に行ったかと思えば、トーク・ショー出演や米国人ラッパーとの会談(?)、「ビデオ・ブログ」の発信と、「クールでヒップで地球に優しい」新生保守党を売り込もうとあの手この手。肝心の政策はアレ?ってな感じで、ブレア路線を真似し過ぎの「ブラメロン(Blameron)」なんて言われる始末だからしょうがない。党内右派からは非難轟々だってさ。 公私で幸不幸入り混じった1年。9月に若手議員数人がブレア首相の辞任を要求して政務次官職などを辞任、首相が「1年以内に辞める」と言う羽目になったのは記憶に新しいけど、これ噂によるとブラウン財相の企みによるクーデター。長年の夢、首相の座がいよいよ近付いてしてやったり……と思いきや、実は7月に生まれた二男が遺伝性の病気「嚢胞性繊維症のうほうせいせんしょう」を発症してた。これで首相への野望がついえるってことはないだろうけど。来年こそは要注目か!?
長田拓也: スポーツ全般に熱い情熱を傾ける若きスポーツ・ライター。イングランドのプレミア・リーグの動向は日々欠かさずチェックし、日本のスポーツ紙に細かなリポートを提出する毎日を送っている。ラグビーにも強い。 2006年はベッカムにとって大きな転機の年だった。W杯で負傷退場しベンチで顔を紅潮させ、勝敗が決する前から涙する姿は雄弁だった。ベッカムはサッカー人生の集大成が終わったことを知っていた。もともとスタミナがある選手とはいえ高齢化による体力の衰えは隠せない。デッド・ボールでは依然、右に出る者はいないが、セット・プレーという極めて限定された分野に人員を割くほど、サッカーは優雅ではない。90分戦い抜く力のない者は容赦なく切り捨てられる。今後は米国のサッカー・リーグに移籍しハリウッド・デビューする話もある。そもそも、甘いマスクとセレブ妻というピッチ外の要素で大ブレークした選手だけに、これからが貴公子の本領発揮といったところか。 大会直前に骨折するも奇跡的にW杯に間に合ったルーニーだが、準々決勝で一発退場、1998年W杯でのベッカム同様の非国民に。その後も素行は悪化するばかりで、パブで婚約者を中傷したブラックバーンの選手を殴打。激しい闘争本能を持つが、一瞬にして頭が沸騰する危険もはらむ。能力には非の打ち所がなく、どのポジションでも超一流。その怪童の唯一の弱点に相手がつけこむのは当然。もう大人なのだから、自己分析をして自制心を身に付けて欲しい。 ルーニーより酷かった。W杯中、厳粛な生活を送る選手たちと反対に、日中は衝動買いツアー、夜はドンちゃん騒ぎ。誰が主役なのかまったくわきまえておらず、それを追っかけるメディアも節操がない。ベッカム夫人ビクトリアは士気高揚のためと称し、毎晩酒宴を開催。泥酔した歌手シェリル・トゥイーディは深夜就寝中のアシュリー・コールに電話する規律違反を犯す始末。マクラーレン新監督が今後のWAG出入り禁止の方針を打ち出したのも当然だ。
スミス京子: ご存知「セレブの部屋」執筆者、スミス京子。芸能界はもとより、英国内で起こるありとあらゆる出来事に、常にアンテナを張り巡らせている芸能ライター。「整形するならケイト・モス」と公言している彼女が今回、当人を斬ることに! 10月にマドンナ夫婦がマラウイの孤児院を訪れて以来、メディアはハチの巣をつついた状態だったけど、デービッド君の養子縁組に関して賛3否7くらいの割合かしら。印象に残ったのは、BBC「ニューズナイト」のインタビュー。あちこちにろうそくが灯されたNYのスタジオに、黒いドレスの厚化粧マドンナが鎮座。ピリピリした空気が伝わってきて、やっぱり映像のインパクトは大きかった。「飢えや病気で死んでいる子供たちを無視できる?」、「何をしても物議を醸すのは承知の上。今後養子に関する議論がされるのは大いに結構」って、高飛車よね。すでにカバラの赤い糸を腕にしたデービッド君だけど、この先独裁ママに何から何まで縛られそうで、とっても不憫。 前のブロスナンが男前だっただけに、この38歳の丸顔丸鼻に44年続く「007」6代目ボンド役が決まった時、世間の評判はイマイチで、「craignotbond.com」なるサイトもできたほど。でも、蓋を開ければ「007/カジノ・ロワイヤル」は超ヒット。これでジュード・ロウを完抜きしたわね。長すぎる鼻の下が妙に気になるけど、鍛え抜かれた超マッチョな身体は歴代ボンドの中で一番セクシー。かつてはシエナ・ミラーやケイト・モスと噂になったけど、今の彼女は日本人ハーフの模様。 11月の「ワールド・ミュージック・アワード」に、アルバム売上げ1億枚以上の功績を讃えられて出演し、英国では約10年ぶりのパフォーマンスを見せたけど、結果は散々。「ウィ・アー・ザ・ワールド」で歌が聞こえたのはわずか2小節、しかも高音部が出ず。当のマイケルはNOBUで食事後、Topshopで深夜のお買い物。翌日「メリー・ポピンズ」の観劇に出掛け、押し寄せるファンにマスカラ流して感涙。その顔はまるで「スリラー」だったわ。
高値堅調を更新しているカップルね。ケイトはますます売れっ子だし、ピートはライブはいつも完売、BBC2ドキュメンタリー「アリーナ」の常連(2年で3回)で、「ガーディアン」紙など高級紙からの評価も高い。チャブからインディー、インテリ層まで幅広くアピールできるのが彼らの強みでしょう。偽巨根芸人、R・ブランドとの浮気や劇場版「リトル・ブリテン」のゲスト出演、ピートの数度にわたる薬物所持逮捕・出頭、リハビリ、カメラマン暴行、浮気と相変わらずネタにも尽きなかったし。次の山は結婚・妊娠・出産の三寿。ただ、ビクトリア& デービッド、ジュード& シエナのように、誰でも必ず凪が来る。ヤク中ロッカーの厄年27歳を無事終え、薬絶ちで太ったピートにもうその兆候が出ているわ。 5月の破局公表後、それぞれチャールズ皇太子と故ダイアナ元妃の離婚弁護士を雇って戦いの火蓋が切られたけど、序盤でここまで激闘になるとは。ポール側の銀行口座凍結、家の鍵換え、洗剤3本を持ち出した抗議文、ヘザーのポルノ・モデルの過去、高級娼婦疑惑、ポールの暴力行為を綴った陳述書の草稿スクープ、前妻故リンダの心中告白テープの存在発覚って、まだ訴訟始まってませんけど。結婚4年で慰謝料の最高額が450億円とは、オノ・ヨーコ以来の悪女伝説誕生だわ。 7回続く「ビッグ・ブラザー」でもインパクト一番だったピート。トゥレット症候群のパンクスってそういないでしょ。病気の認知度も全国区になって、誰ももう「トイレット? ああトゥレット」とは言わない。相方ニッキーは10代の大半を拒食症で入院、強迫神経症でかんしゃく持ちの精神年齢5歳。キャラ的に日本のバラドルと大差なく、衝撃度は中。数週間でピートが振ったというが、ヤラセか打算ね。既に過去の人々で、本当、テレビのスピードって怖い。 |
Fri, 20 December 2024
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