英国在住にわかファンのためのラグビーW杯観戦術 ルールからうんちくまでこれだけでOK!
イングランドで開催された2015年のW杯における日本代表のめざましい活躍は、国内ばかりか世界中のラグビー・ファンを魅了した。あの大会をきっかけにラグビーに興味を持ったという在英邦人も少なくないだろう。あれから4年、ラグビーのワールド・カップ(W杯)が、いよいよ9月20日に開幕する。今大会の開催地は日本。アジアで初めてのラグビーW杯となる。ここでは、ラグビー発祥の地イングランドで、英国人と共にテレビで初めて本格的に試合観戦する方々に向けて、簡単なルール説明と関連情報をお伝えしよう。
これだけ知っていれば試合を楽しめる! 付け焼刃ルール解説
世界的な人気スポーツであるにもかかわらず、ラグビーのルールを知らないという人は意外と多い。ここではこれだけ知っていれば観戦を楽しめるという最低限のルールを説明する。
1チームの人数:15人
試合時間:前後半40分ずつ
楕円形のボールを奪い合う
イングランド発祥のスポーツ
ラグビーの基本ルール1 ボールを前に投げたり落としたりしてはいけない
- ボールを手で味方にパスする際に前方に投げたら反則 (スローフォワード)
- ボールを受け取ろうとするもうまく受け取れず、ボールを身体の前に落としてしまった場合は反則(ノックオン)
- ボールを保持している間に相手からタックルを受け、その勢いでボールを身体の前に落とした場合は反則(ノックオン)
ラグビーの基本ルール2 トライするか、ボールが相手のゴールポストを通過すれば得点
- 相手ゴールの後方に設けられたエリア(インゴール)にボールを置く(トライ)ことができたら5点
- トライを決めた後に、相手のゴールに向けてキックをする機会が 与えられる(ゴールキック)。このゴールキックが ゴールポストの間を通過したら2点(コンバージョンゴール)
- 相手チームの反則によって与えられたペナルティーキックが ゴールポストの間を通過したら3点(ペナルティーゴール)
- 通常のプレー中に、ボールを一旦地面に落とした上で 蹴ったボールがゴールポストの間を通過したら3点(ドロップゴール)
ラグビーの基本ルール3 ボールを奪い合うために身体を密着させたり、ぶつけ合ったりするプレーがたくさんある
- ボールを持った相手選手の動きを止めたり倒したりする(タックル)
- ボールを持った選手を中心に両チームの選手1人以上が参加し組み合う(モール)
- 地面上のボールを両チームの選手1人以上が参加し、組み合った状態でボールを奪い合う(ラック)
- 両チームの選手各8名が組み合った状態になり、押し合いながらその中央に投じられたボールを足で後方に運び、最後方にいる選手へと渡す(スクラム)。軽度の反則などで1度中断されたプレーを再開する方法として用いられる
- 選手がタッチラインの外側から投入したボールを奪い合う。その際に味方の選手を担いだりする(ラインアウト)
試合は1チーム15人、前後半40分ずつのハーフ制で行われる。ラグビーにはその他にもたくさんのルールがあるが、以上の3点さえ覚えておけば、試合観戦を楽しむことができるはずだ。
ラグビーのポジション
選手は「フォワード」と「バックス」で構成され、相手からボールを奪うのがフォワード、供給されたボールを生かしてトライを狙うのがバックス。
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フォワード(FW)
2フッカー(HO)
スクラムを組んだ際に最前列中央に位置するポジション。ラインアウトの際にボールを投げ入れる役割になることも多い。 - 13 左右プロップ(PR)
「支柱」という名の通り、スクラム最前列の両側から押し込む選手。体が大きく重量のある選手が適役となる。 - 45左右ロック(LO)
2列目からスクラムを押し込む役割を担う。長身選手が多く、ラインアウトの際にジャンパー(味方に高く持ち上げられる人)になる傾向がある。 - 67左右フランカー(FL)
スクラムに参加しつつ、バックス陣とも連携するかなり運動量の多いポジション。 - 8ナンバーエイト(No.8)
フォワードを統率する司令塔。
バックス(BK)
9スクラムハーフ(SH)
スクラム内にボールを投げ込む、スクラムからボールを取り出して周りにパスを出す役割を担う。小さいながらも敏捷で、頭脳的な選手が多い。- 10フライハーフ(FH)
スタンドオフともいうバックスの司令塔。さらにはチーム全体を指揮する役目を負うことが多い。 - 1213左右センター(CTB)
パス、キック、ランニングをバランス良く兼ね備えた選手。 - 1114左右ウイング(WTB)
ボールを持って両サイドを駆け抜けるのが役目の、俊足の選手にピッタリのポジション。 - 15フルバック(FB)
最終ラインで待ち受ける防御の要。サッカーのゴールキーパーのような役割を持つ。
その他の用語解説
分かりそうで、なんだかよく分からない、観戦中にいちいち人に聞けないその他のラグビー基本用語をピックアップした。
オフサイド
オフサイドラインを越えてプレーすること。ラグビーの場合、プレーの形態ごとにさまざまなオフサイドが発生する。特に多いのはボールがラックやモールから出る前にディフェンス側が前進して相手チームにタックルするケース。この場合のオフサイドラインは、ラックやモールに参加している最後尾のプレーヤーの足の位置。オフサイドの時点でペナルティーとなり、ペナルティーキックが相手チームに与えられる。
ハイタックル
肩の線より上へ危険なタックルをすること。ペナルティーとなる。
シンビン
重大な反則を犯した選手を、10分間限定でレフリーが退場させる罰則措置。
ダイレクトタッチ
自陣22メートルラインより前で蹴ったボールが、バウンドせずに直接タッチラインの外に出ること。ダイレクトタッチと認められた場合は、蹴った地点から最も近いタッチライン上で相手チームによるラインアウトで試合が再開する。
ノーサイド
80分の試合時間が終了したことを意味する。フェアプレー精神を尊重するラグビーにおいては、試合終了後は「敵サイドも味方サイドもない」という思想からこの名が付いた。
ホイール
スクラムが90度以上回転すること。スクラムの組み直しとなる。
ラグビーW杯 1次リーグ試合日程
20の出場国がA~Dの4組(プール)に分かれて1次リーグを戦う。日本代表はA組。各組で総当たり戦を行い、それぞれの上位2チームが準々決勝へと進出する。
英国ではW杯開催期間中の全ての48試合をITV、ITV4で放映。
ITV Hub / STVPlayer でも観戦できる。
https://www.itv.com/rugbyworldcup2019
9/20(金) | 11:45 | 日本 | vs | ロシア |
9/28(土) | 8:15 | 日本 | vs | アイルランド |
10/5(土) | 11:30 | 日本 | vs | サモア |
10/13(日) | 11:45 | 日本 | vs | スコットランド |
9/22(日) | 11:15 | イングランド | vs | トンガ |
9/26(木) | 11:45 | イングランド | vs | アメリカ |
10/5(土) | 9:00 | イングランド | vs | アルゼンチン |
10/12(土) | 9:15 | イングランド | vs | フランス |
9/22(日) | 8:45 | アイルランド | vs | スコットランド |
9/28(土) | 8:15 | アイルランド | vs | 日本 |
10/3(木) | 11:15 | アイルランド | vs | ロシア |
10/12(土) | 11:45 | アイルランド | vs | サモア |
9/23(月) | 11:15 | ウェールズ | vs | ジョージア |
9/29(日) | 8:45 | ウェールズ | vs | オーストラリア |
10/9(水) | 10:45 | ウェールズ | vs | フィジー |
10/13(日) | 9:15 | ウェールズ | vs | ウルグアイ |
9/22(日) | 8:45 | スコットランド | vs | アイルランド |
9/30(月) | 11:15 | スコットランド | vs | サモア |
10/9(水) | 8:15 | スコットランド | vs | ロシア |
10/13(日) | 11:45 | スコットランド | vs | 日本 |
英国人に教えられる、
ラグビーW杯の日本らしい小ネタ
ビール不足にご用心
「タイムズ」紙は5月7日、海外からのサポーターによるビールの消費量激増が予想されるため、ラグビーW杯組織委員会が日本の各競技場や周辺飲食店などに注意を促したと伝えた。過去に開催された大会では地域のビールが品切れになったケースもあり、「2015年のイングランド大会では、スタジアムとファンゾーンだけで190万リットルが飲み尽くされた」と組織委のミック・ライト事務総長代理待遇が念を押したそう。これを知った英国のサポーターたちは「ミックは真のヒーローだ」と称えている。
入れ墨をしているラグビー・ファンに朗報
「ガーディアン」紙は7月8日、日本で入れ墨は暴力団と関連付けられ、長らくネガティブなイメージを持たれてきたとし、そんな理由から入れ墨をしている人々は、これまで温泉やプールなど公共の場で素肌をさらせなかったと説明。しかし9月に開催されるラグビーW杯を前に、日本の温泉の多くが、入れ墨をしている人にも入浴を許可しようと計画していると報道した。これは、選手だけではなく4万人近いとされる海外からのスポーツ・ファンの多くがタトゥーを入れているためだとのこと。