KANPAI LONDON SAKE Brewery & Taproomトム・ウィルソンさん インタビュー
2016年にトム&ルーシー・ウィルソン夫妻によってロンドン南部のペッカムで創業された、日本酒の醸造所兼タップルーム「KANPAI LONDONSAKE Brewery & Taproom」。伝統的な製法で作られる同社の日本酒は、私たちが知っているスタンダードなものから、英国らしい材料を加えたオリジナリティーあふれるものまで、実に多様な味が楽しめる。トムさんにお話を伺い、日本酒の新しい楽しみ方について教えていただいた。
Tom Wilson トム・ウィルソン
クラウドファンディングを通じ2016年にKANPAI LONDON SAKE Brewery & Taproomを創業。グレート・テイスト・アウォーズを数多く受賞するなど、その味は英国に広く認められている。
日本酒の醸造所を始めたきっかけを教えてください。
幼少期、米ニューヨークで多くの時間を過ごしました。私の両親は現地で日本食をとても好んでいたこともあり、すでに日本酒も身近な存在でした。ロンドンに戻ってきてから、妻のルーシーと一緒に日本で醸造所を巡る旅をしました。そこで日本酒を作る工程がビールの醸造に似ていると分かり、帰国後に実験的にお米を発酵させてみたりしました。次第に情熱が高まっていき、その結果、2016年に英国でライセンスを持った初の日本酒醸造所となるKanpaiを立ち上げるに至りました。
醸造するにあたって何かこだわりはありますか。
米、麹菌、酵母は日本から輸入し、全てこの醸造所で作っています。また、最後までベストな状態で楽しめるよう、商品ごとに重要な情報をラベルに記載しています。
伝統的な酒とモダンな酒を同時に作るところに一種の難しさがありますが、ここを選んでくださった方には、伝統的な酒をベースにした上で、日本酒のさらなる可能性や新しい面を発見してもらえたらいいなと思っています。伝統的な醸造法を守りつつ、アレンジを加えてブリティッシュ・スタイルのモダンな日本酒を作っていきたいですね。
お勧めの酒はどれでしょうか。
特別純米のSumiは飲みやすく、肉料理やチーズ、貝類などにも合いますね。熱燗もよく、オールマイティーに楽しめます。Sumiは初めてKanpaiに来てくださった方へまずは1杯、というときに勧めています。また、少しココナッツの味に似たKumoもお勧めです。通常にごり酒は甘めの口当たりのものが多いのですが、Kumoはもっと軽い感じで、風味のある料理に合いますね。立ち上げ当初はこれら2種と、ビール酵母を使ったニュータイプのスパークリングのFizuの3種を作り、酒作りの基本を学びました。その後、新しいフレーバー作りに挑戦していきました。そのような意味で、作った酒をすぐにお客さまに飲んでいただき、その反応が見られるタップルームの存在はかなり重要です。今後どのような酒をどれだけ作ったらいいのかがよく分かります。
「セッション・サケ」と呼んでいる手軽な缶シリーズの酒もあります。こちらはアルコール度数が控えめで、もっとカジュアルに楽しむ酒として考案しました。日本と英国の味をミックスさせたイメージで、ユズ&キューカンバー、ミソ& ハニー、ワサビ&アップルです。38種のフレーバーを組み合わせ、ベストな結果がこの3種でした。こちらは先の日本酒と比べると、もっと「fun」な体験を追求したアロマティックな飲み物という位置付けですね。
左から後味すっきりのSumi(£16)、にごり酒のKUMO(£16)、ドライな口当たりのSORA(£16)、 柚子味の日本酒HANA(£20)ウイスキーのように濃厚な熟成の日本酒 KURA(現在オンライン販売はなし)、 セッション・サケのユズ&キューカンバー、ワサビ&アップル、ミソ&ハニー(各£4)
読者へ向けてメッセージをお願いします。
日本の日本酒を知る人にとっては驚く味があるかもしれませんが、タップから飲めるフレッシュな生酒はまた格別だと思います。まずはリラックスして、気軽に遊びに来てくださいね。
KANPAI LONDONSAKE Brewery & Taproomに行った動画はこちら!
KANPAI LONDON SAKE Brewery & Taproom
48 Druid Street, London SE1 2EZ
水・木 17:00-22:00 金 17:00-22:30
土 12:00-22:30 日 12:00-19:00
https://kanpai.london