英国と言えばパブ。週末、いつものパブで仲間とワイワイ飲んで騒げば、日頃の鬱憤(うっぷん)もあっという間に飛んでいってしまう。けれどもたまにはしっとりと、カクテル片手に洒落た時間を過ごしてみたい。今回はそんな願いを叶えるため、格別なときを約束してくれるカクテル・ラウンジを、厳選してご紹介。 友人と、恋人と、あるいは一人で。こだわりのカクテルが注がれたグラスを、ゆったり傾けてみるのはいかが?
Bourne & Hollingsworth
ティー・ブレイクならぬカクテル・ブレイクを
オックスフォード・ストリートを挟んだソーホー地区の北、バーやレストランで栄えるノーホー地区にあるこちらは、同業者も立ち寄る、カクテル好きには名の知れたイングリッシュ・バー。小ぢんまりとした部屋に花柄の壁紙、テーブルは白いクロスと花で飾られ、ぱっと見はさながらティー・ハウスだ。メニューを覗くと、「ティー・タイム・カクテル」なる項目が。中から「ガーデナーズ・ティー・ブレイク」というカクテルを頼んでみると、可愛らしいティー・カップに入ったカクテルに、なんと一口サイズのサンドイッチまで付いてきた。ジンをベースに、キュウリ、レモンの果肉、グリーン・ティー・シロップがミックスされ、仕上げにフレッシュ・ミントが飾られた、すっきりとした一品。確かに、庭仕事の合間のリフレッシュに最適だ。時折、手作りのお菓子もバーに並ぶのだとか。週末にはDJが入り多くの客で込み合うので、このバーの良さをじっくり楽しむのなら、平日または週末の早い時間に訪れるのがお勧めだ。
住所 | 28 Rathbone Place W1T 1JF |
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TEL | 020 7636 8228 |
営業時間 | 月〜水 17:00-0:30 木〜土 17:00-1:00 日休 |
アクセス | Tottenham Court Road/Goodge Street駅から徒歩5分 |
ウェブサイト | www.bourneandhollingsworth.com |
取材: Azusa Ogawa
Artesian
ラムで世界旅行を楽しめる贅沢な空間
中国風のモチーフを施したチッペンデール様式のインテリアに、ライラックのアクセント・カラーが効いた「ザ・ランガム・ホテル」併設のバー、「アーティザン」。世界中の銘柄を集めた約50種のラムをベースに使ったカクテルが人気だ。アイコニックな一杯を選ぶとすれば、やはりバーの名前を冠した「アーティザン・パンチ」だろう。2種類のダーク・ラムと、リンゴの蒸留酒カルバドス、洋梨のブランデー、そして搾り立てのパイナップル・ジュースをステアした、香りの良い、さわやかなカクテルだ。仕上げにライムの上に載せた角砂糖に火を点けると、青い炎に包まれた甘いライム・ジュースがゆっくりとグラスの中へと落ちていき、一段と洗練された味を楽しむことができる。メニューにはフレーバー・マップなるものが添付されており、軽いものからリッチなもの、またフルーティーからフル・ボディまで細かく分布されている。カクテル初心者にも、気分に合った一杯を選んでもらおうという気配りだ。
住所 | The Langham London 1c Portland Place, Regent Street W1B 1JA |
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TEL | 020 7636 1000 |
営業時間 | 月〜金 16:00-0:00 土・日 12:00-0:00 |
アクセス | Oxford Circus駅から徒歩3分 |
ウェブサイト | www.artesian-bar.co.uk |
取材: Sayaka Hirakawa
Hawksmoor Seven Dials
ツボを押さえたプレゼンテーションに感激
元々は醸造所だった建物を改装して作られた「ホークスモア」は、高級なステーキ・ハウスであると同時に、歴史のあるクラシック・カクテルを揃えるバーとして人気を誇る。ダーク・ウッドを用いた落ち着いた店内は、科学研究所で使われていたハイ・スツールや、ロンドン地下鉄駅構内で使用されていたタイルで個性的に味付けされている。ビジュアルを楽しむことへのこだわりは、カクテルにも共通する。「マンハッタン」をオーダーしてみると、アンティーク・シルバーのトレイの上に、古ぼけた紅茶の缶でクーラーしたカクテル、オレンジ・ピール、砂糖漬けのチェリーと、思わず歓声を上げてしまいそうな一式が登場。自分の好み通りにカクテルを完成させる楽しさがあり、さらに独特の重量感で手になじむクリスタル・カット・グラスなどの小物が、ラグジュアリーな気分を盛り上げる。フードのオーダーが必須ではあるが、意外にも、バーガーとバーボンの組み合わせが人気なのだそう。
住所 | 11 Langley Street WC2H 9JG |
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TEL | 020 7856 2154 |
営業時間 | Lunch 月〜土 12:00-15:00 日 12:00-16:30 Dinner 月〜土 17:00-22:30 |
アクセス | Covent Garden駅から徒歩3分 |
ウェブサイト | www.thehawksmoor.co.uk |
取材: Sayaka Hirakawa
Lounge Bohemia
粋な大人の夜遊びに
英シェフ、ヘストン・ブルーメンタールの活躍で、ここ数年、にわかに注目され始めた「分子料理法」。料理の質感や風味を科学的に捉え、自由に再構築することで、従来の見た目と味の組み合わせを根底から覆すのをその神髄とする。そんな遊び心にあふれる品を、洒落た空間でカクテルとして楽しめるのが、夜遊びのメッカ、ショーディッチに位置する「ボヘミア」だ。9割がオリジナルというカクテルの中でも特に人気なのは、キューバをイメージした「オールド・カストロ」。グラスにふわりと浮かんだ綿菓子に、葉巻の香りを浸透させたラムを注ぎ、シナモン・スティックでステアする。まろやかな甘みにスパイスと葉巻の風味が絡み合う、大人のための逸品の完成だ。メニューのユニークさもさることながら、その媚びないスタンスにも注目したい。電話予約必須/スーツ着用不可/10人以上のグループお断り。すべては、訪れた客に心ゆくまでくつろいでもらいたいからこそのこだわり。いつもと違う、粋な夜遊びに、ぜひ。
住所 | 1E Great Eastern Street EC2A 3EJ |
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TEL | 07720 707 000(完全予約制) |
営業時間 | 月〜土 18:00-0:00 日 18:00-23:00 |
アクセス | Shoreditch High Street駅から徒歩3分 |
ウェブサイト | www.loungebohemia.com |
取材: Shoko Rudquist
Mark’s Bar at HIX
ナイト・シーンを牽引する伝説のバーテンダーここに
1990年代初頭より、ロンドンのクラブやバーで活躍した伝説のバーテンダー、ニック・ストレンジウェイがコンサルタントを務める「マークス・バー・アット・ヒックス」。「このバーのカクテルは、(併設された)ヒックス・レストランのフードと同じテーマ。英国の味を大切にすること。そして季節の味をふんだんに取り入れること」とは、ストレンジウェイ氏の言葉。今の季節なら、ルバーブのホームメイド・シロップを使ったカクテルを勧めてくれる。「ベルガマイスター」は、今なお、ロンドンで蒸留される「ビフィータ・ジン」がベース。ベルガモット・レモンのシャープな香りを、十分にシェイクされた卵白が程よく和らげる。隠し味はもちろんルバーブだ。クラシカルな絨毯とモダンな家具、そこにさりげなく置かれたダミアン・ハーストやサラ・ルーカスなど、著名なアーティストたちの作品。ソーホーらしい、一分の隙もないスタイリッシュで豪奢な空間は、背伸びをしてでも一度は訪れてみたい。
住所 | 66-70 Brewer Street W1F 9UP |
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TEL | 020 7292 3518 |
営業時間 | 月〜土 12:00-1:00 日 12:00-22:30 |
アクセス | Piccadilly Circus駅から徒歩3分 |
ウェブサイト | www.marksbar.co.uk |
取材: Sayaka Hirakawa
Barts
隠れバーでティー・セットを囲んで
所は、とある集合住宅。バーの看板や表札は見当たらず、ポーターに尋ねると、奥の黒い扉だと教えられる。扉を開けるとスイッチが。恐る恐る押せば、中の人が小さな隙間から訪問者を確認、そして、バーの扉がやっと開かれる──。実はここ、禁酒令が発令された1920年代米国の、「隠れバー」を再現していたのだ。中へ入ればもう安心、ハンチング帽にサスペンダーといった当時のニューヨークの労働者コスチュームを纏ったスタッフが、陽気に対応してくれる。それほど広くはないアットホームな空間に、モナリザの絵やチャップリンの写真、ナンバー・プレートなど、ありとあらゆる物が飾られ、そばに置かれた箱には、誰でも自由に試着できるファンシー・ドレスがいっぱいに詰まっている。お勧めドリンクを頼むと、出てきたのは大きなティー・ポットにカップ & ソーサー。ポットから注がれるのは、ウォッカ・ベースのオリジナル・カクテルだ。ユニークなバーで、秘密の時間を楽しもう。
住所 | Chelsea Cloisters, Sloane Avenue SW3 3DW |
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TEL | 020 7581 3355 |
営業時間 | 月〜木 18:00-0:30 金・土 18:00-1:30 日 18:00-23:00 |
アクセス | South Kensington/Slone Square駅から徒歩10分 |
ウェブサイト | www.barts-london.com |
取材: Azusa Ogawa
The Connaught Bar
特別な夜は最高級を味わう
瀟洒なメイフェア地区の一角にそびえる、優雅な5ツ星ホテル「ザ・コンノート」。かつてはドレス・コードがあり、女性のズボンでの入館は禁止されていたという(現在はスマート・カジュアルであればジーンズの着用もOK)。2008年にリニューアルしたバーは、レザーのシートに大理石の床、シルバー使いのインテリアで、高級感あふれる空間。ヘッド・バーテンダーのアゴスティーノ氏は、「世界チャンピオン」の称号を持つバー・マンだ。「ザ・コンノート・バー」は彼を獲得するために、数年間アプローチをかけたのだとか。こちらのスペシャルはマティーニ。マティーニ専用のトロリーが客席を回り、リクエストに合わせて調合してくれる。ベースとなるお酒と、風味を付けるビターとの組み合わせで、何種類ものオリジナル・マティーニができあがるという。ビターは自家製、氷は通常の10分の1の速さでゆっくりと溶ける特殊なものを使用している。特別な夜に、最高級の時間を過ごしてみたい。
住所 | Carlos Place, Mayfair W1K 2AL |
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TEL | 020 7314 3419 |
営業時間 | 月〜土 16:00-1:00 日休 |
アクセス | Green Park/Bond Street駅から徒歩8分 |
ウェブサイト | www.the-connaught.co.uk |
取材: Azusa Ogawa
Purl
地下室でプライベートなひとときを
賑やかなマリルボーン・ハイ・ストリートから脇道に逸れ、地階に下りてバーの入り口を開けると、古びた地下室が現れる。ピアノやアンティーク小物が飾られ、ろうそくの灯が揺れるひっそりとした空間だ。さらに進んでお店の地下に下りると、洞窟のような穴に、独立したテーブル席。どこに座ってもプライバシーを保てるように配慮されている。立ち飲み禁止で、席が空いていなければ入店できない、というルールがあるので、混み過ぎることなく、いつでもゆったりとした空気が保てる。こちらのオリジナル・カクテルがとてもユニークで、例えば「ハイド氏のボロ家」という名のラム&コークも、ただのラム&コークとは大違い。「ロンサカパ23」という種のラムに、自家製のコーラ、そこにオレンジ・ビターが加わって、深い味わいのカクテルであるのはもちろんのこと、なんとガラスのフラスコに入り、もくもくとあふれ出すドライアイスの煙とともに頂くという洒落た演出付きだ。日曜にはジャズ・ピアノの生演奏も。
住所 | 50-54 Blandford Street, Marylebone, W1U 7HX |
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TEL | 020 7935 0835 |
営業時間 | 月〜木 17:00-23:30 金・土 17:00-0:00 日 17:00-22:30 |
アクセス | Bond Street駅から徒歩8分 |
ウェブサイト | www.purl-london.com |
取材: Azusa Ogawa
Lonsdale
親密な時間の流れる、大人のための隠れ家
お洒落なショップの立ち並ぶ、ウエストボーン・グローブの裏道にひっそりとあるバー。知る人ぞ知る、隠れ家的な存在だ。「カクテルは、結婚に似てハーモニーが大切。バランスが取れていて、お互いの良さが引き出される関係であるべき」とオーナー。その自慢のカクテル・リストは、1831年から続くレシピで作られる「クラシック・パンチ」や、英国で名の知れたバーテンダーであり、かつてはこのバーで働いていたというディック・ブラッドセル氏が考案したオリジナル・カクテルなど、新旧の味を揃えている。「金色の夜明け」という名前の美しいカクテルは、リンゴの蒸留酒カルバドスとアプリコット・ブランデーのほどよい甘さが女性に好評。ビーカーにフレッシュ・フルーツを次々と搾り、ビフィータ・ジンやソーダとステアする「サマー・ジン・パンチ」は、ドライ・ジンとさわやかなフルーツの爽快感が絶妙で、季節を問わず人気がある。ゆったりとしたロマンティックな店内で、恋人たちの時間を過ごすのはいかが。
*このお店は閉店しました
住所 | 48 Lonsdale Road, Notting Hill W11 2DE |
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TEL | 020 7727 4080 |
営業時間 | 火〜木 18:00-0:00 金・土 18:00-1:00 日・月休 |
アクセス | Ladbroke Grove駅から徒歩10分 |
ウェブサイト | www.thelonsdale.co.uk |
取材: Sayaka Hirakawa