「フィナンシャル・タイムズ」紙の電子版は28日、「全方位外交」と呼ばれる日本の中立外交が転換点を迎えつつあると主張する記事を掲載した。
同記事は、イスラム過激派組織「イスラム国」によるとみられる日本人人質事件について触れた後で、安倍政権が「積極的平和主義」の一環として、これまでに同盟国への武器輸出から尖閣諸島周辺での警備の強化などを正当化してきたと紹介。また安倍首相は戦争を放棄することを定めた日本国憲法の第9条を改正することを望んでいるが、「非常に平和的な国民」は、ほぼ確実に国民投票で改憲を否決するだろうと述べている。
また同記事は、戦後の日本が「大雑把に言えば、皆の友人である振りをしながら自身の経済的な利益を追求する」ことを意味する「全方位外交」を掲げてきたと説明。現時点では、日本を防衛するという「汚れ仕事」は「米国に外注している」と述べた。一方で、日本の経済的な影響力が弱まり、中国の勃興や米同時多発テロによって悪化した戦略地政学的な問題に直面している現在では、日本の「中立という幻想」をうまく実現することが難しくなってきていると伝えている。
Mon, 02 December 2024