第24回 難しい選択
9月も半ばを過ぎ、新学年度を迎えた子供たちも、ようやく学校生活のリズムに慣れてきたころでしょうか。この秋にイヤー10(14~15歳)に進級した子供たちは、イヤー11の学年末に受ける英国の義務教育修了試験GCSEに向けての授業が本格的にスタートしたことと思います。
このGCSEの結果は、子供の将来を大きく左右します。日本で言えば、16歳で受ける全国統一試験の成績が、高校に進学できるか否かの判断材料とされ、大学進学、更に就職活動に欠かせない履歴書にまで記載を求められる場合もあるのです。GCSEは、今年から評価方法とグレードの表示方法が変更され、当事者たちがその対応に追われていることがニュースでも流れていました。現場は相当、大変だったと思いますが、試験を受ける子供や親にとっての最初の関門は、受験する年ではなく、イヤー9のときに行わねばならないGCSEの選択科目の決定です。この選択教科が、のちに進学できる大学の学部や、就ける職種にさえも影響を及ぼすことがあります。少々大げさですが、将来の人生設計の最初の決断を、わずか14歳のときに下す必要があるわけです。親も子供も慎重に対応しなければなりません。
ついつい「もう中学生なのだから」と、子供のことを学校と本人任せにしていると、後々、取り返しのつかないことになる可能性があります。次にお話するのは、当時、息子が選択科目を決めるうえで起こった出来事です。
GCSE選択科目には、いわゆる主要教科に当たる必須教科と、そうではない選択教科に分かれます。将来、大学進学などを目指す場合は、この選択教科も目指す大学や学部に有利なものをあらかじめ選ばなければなりません。
息子の場合は主要教科の「英語」とともに、映画やドラマの脚本などを学習するための英語が選択されていました。本来、大学進学などを念頭に置いている場合は、同じ英語系の教科であれば、「英語」と「英文学」の2教科を選択しなくては不利になります。息子の場合は「ネイティブでない生徒に英語と英文学の2科目は大変でしょう」という、英語教師の判断ということが分かりました。こうした場合は、本人の意志を確認したうえで、学校側に選択科目の変更を強く求める必要があります。
英国の公立校の場合は、大学進学を目指さない子供も多く、学校の方も個々の生徒の負担にならないような「楽な」科目の選択を勧めることが多々あります。GCSEの選択科目決定段階から、英国流の本格的な大学受験への道が始まりますので、親も気を引き締めていかねばなりません。
GCSEグレードの新旧対応表
GCSEのグレードはこれまでA*を最高レベルとし、A、B、C……とアルファベットで表記されていましたが、 9、8、7……と数字で表されることになりました。上記は教科によって今後変更される場合もあるため、 右記サイトでご確認ください。www.gov.uk/government/organisations/ofqual