雑誌の新ステータス
歌手クリスティーナ・アギレラが、雑誌「マリ・クレール」1月号で妊娠ヌードを披露した。表紙ではミニ丈の革ジャンで胸元を隠し、せり出したお腹を強調。特集では、アクセサリーとサンダル以外は全裸で(ここでも手で胸を覆っている)、あの有名な「ベッドに横たわるモンロー・ポーズ」を取っている。
昨年、タレントのマイリーン・クラスがUK版「グラマー」で、一昨年は、黒髪のブリトニー・スピアーズが「ハーパース・バザー」誌で、また、伊女優モニカ・ベルッチも「バニティ・フェア」誌の表紙で妊娠ヌードを飾ったが、ファッション誌による「セレブの妊娠ヌード」は、雑誌とスターの双方にとって一種のステータスとなっているようだ。
まず、めったやたらにスターが妊娠しない。懐妊したとしてもヌードを公表するには覚悟がいる。なにより、一線のセレブでないと価値がない。この幾重ものハードルを乗り越えて表紙を飾るに至るプロセスが、希少価値を生み、話題性を呼び、広告収入と売上げアップや、格好つけて言うところの雑誌哲学に繋がる。女優や歌手に比べるとインパクトに欠けるが、エル・マクファーソン、エバ・ヘルツィゴバ、シンディ・クロフォードら何人かのスーパーモデルも妊娠ヌードで表紙に登場している。これはこれで、服を着せて見せるモデル本来の目的に反していて面白い。
1991年8月号「バニティ・フェア」誌に掲載されたデミ・ムーアの臨月ヌードから始まったセレブの妊娠ヌード史。ちなみに、この号は米雑誌編集者協会が選ぶ雑誌の表紙ベスト2に選ばれているが、少子化による母体崇拝が要因なのだろうか。日本じゃ、ただ一人武田久美子が孤軍奮闘していたな。