ロンドンで開催中の荒木経惟写真展
There is an underlying sensitivity
厚かましさの裏にある繊細さ
「ウォールペーパー」誌 5月2日付
保守的なことでは悪名高い日本において、荒木経惟氏は「女性嫌い」「性倒錯者」「ポルノ製作者」「怪物」などと形容されてきた。そんな彼が撮影したものの中で最も刺激的な「緊縛」の作品群が、ロンドンのマイケル・ホッペン・ギャラリーでの個展の中心を成している。性的な隷属行為から名を取ったこの写真集は、1950年代の日本でカルト的な人気を博した。あまり知られていないが、緊縛は歌舞伎や指圧さらには生け花といった芸術形態からの影響を受けたものだ。そして、彼の厚かましさの裏には繊細さと技術へのこだわりがある。
Photography art or porn?
写真芸術かそれともポルノか
「ガーディアン」紙 5月8日付
荒木氏は「公的と私的」または「上品さとみすぼらしさ」といった日本文化の断層線で活動する。西洋では刺激的であることで評判を呼ぶ彼の作品は、日本においてはその正直さで評価されている。テート美術館の関係者は、表面上は非常に礼儀正しくかしこまった社会でありながら、裏には性が隠れている日本という国の二重基準を同氏が扱っていると述べる。彼が撮る写真は芸術なのかそれともポルノか。荒木氏にとって両者の違いはほとんどない。結局のところ、彼のテーマとは、感動的でありながらも不穏でもある日常なのだから。