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Sun, 22 December 2024

「本当の英国を感じる地方の旅」マーゲート Margate

英国を堪能するには、地元住民たちの楽しみ方にならってみるのが一番。
とはいうものの、外国人の多いロンドン暮らしではなかなか難しいかもしれない。今回は、イングランド南東部ケント州の海辺の街マーゲートに注目。夏もあまり海外へバカンスに出掛けない英国人たちが、浮き輪やビーチボールを片手にやって来るロンドンから近場のビーチだ。英国の地方ならではの魅力がいっぱい詰まったこの地をめぐる旅を紹介する。

ロンドンからのアクセス
キングス・クロス・セント・パンクラス駅から約1時間30分、ヴィクトリア駅などから列車で約1時間45分

マーゲート夏休みは親子連れでにぎわう

マーゲートってどんな街?

風景画家J・M・W・ターナーからも愛されたマーゲートは、古くからロンドン市民の手近な行楽の場として栄えた海辺の街で、少なくとも250年前からリゾート地として親しまれてきた。1950~60年代にはモッズとロッカーズの対立の舞台となったり、ストーンズやザ・フーなどの人気バンドがこの街で演奏するなど、ユース・カルチャーの一端を担ったこともある。1970年代からはほかの英国の街同様、不況による荒廃化が進んだが、近年、再び脚光を浴びつつあり、第2の「ショーディッチ」あるいは「ダルストン」候補などとさえ呼ばれたこともある。これは美術館ターナー・コンテンポラリーのオープン以降、物価の高いロンドンを嫌う若者やアーティストたちの一部がこの街に移り住み始めたことから。

また、イングランド南東部は一般に英国英語の標準発音で話すと言われているため、外国人用の英語学校などもある。ロンドンのように人種のるつぼではないが、かといって排他的な田舎町でもない、同じ海辺の街ブライトンよりももっとのんびりとした、ボヘミアン的雰囲気を漂わせた街マーゲート。ロンドンからの日帰り旅行はもちろんだが、一泊して、干潮時と満潮時では大きく景色の変化する海の魅力も味わいたい。近郊には、同じく海辺の観光地、ラムズゲートがある。

マーゲート地図 クリックで拡大

コンパクトな街並みを楽しむ街歩き

鉄道駅に着いた途端、カモメの声が聞こえてくる。海は駅の目の前に広がっており、ビーチに下りるまでほんの数分程度。道なりにレトロな遊園地「ドリームランド」が見え、海を背にすればビンテージ やアンティークの個性的なお店が立ち並ぶ旧市街地が広がる。

1

海を見渡せる美術館
Turner Contemporary
ターナー・コンテンポラリー

Turner Contemporary空が映りこむような、光を反射する建物

英国を代表する風景画家J・M・W・ターナーがマーゲイトに滞在する際利用した住居の跡に、2011年に開館した美術館。1750年代から現代までのアートを企画展を通して紹介するとともに、市民を対象としたワークショップを開催する。キューブ状のモダンな建物は、英建築家デービッド・チッパーフィールドによるもの。窓からは、ターナーも見たであろうドラマティックな海岸線が見える。

Rendezvous, Margate, Kent CT9 1HG
Tel: 01843 233 000 火~日10:00-17:00 無料
www.turnercontemporary.org

2

レトロな木造のジェット・コースター
Dreamland
遊園地ドリームランド

Dreamland人気アトラクションのジェット・コースター

英国の海辺にあるレトロな遊園地の中でもひと際大きく、現存する英国最古の遊園地の一つとして知られる。その前身は1860年、海水浴の流行とともに誕生したレストランとダンス・ホール。1920年代にはアールデコ・スタイルのリゾート遊園地として一世を風靡した。以来ドリームランドの目玉アトラクションとなっているのが、木造のジェット・コースターで、世界に8つしかなく重要文化財にも指定されている。

Marine Terrace, Margate, Kent CT9 1XJ
Tel: 01843 295 887
日〜金 11:00-18:00
土 11:00-16:00 (週により営業時間が異なるので詳細はサイトを参照)
入場無料 乗り物はトークン制で1トークン/£3 20トークン/£40 
www.dreamland.co.uk

3

貝殻を張りめぐらせた謎の洞窟
Shell Grotto
シェル・グロット

シェル・グロットグロットの内部。何のために作られたのか

壁一面に貝殻がモザイクのように張りめぐらされた謎の洞窟。誰が何のために作ったのか分からないという。1835年、当時の住人が庭に池を作ろうとして穴を掘っていたところ発見したそうで、以来一般公開されている。住宅街の真ん中にあり、Shell Grotto と大きく書かれた白い建物の中にある。胡散臭さがいっぱいで、展示されているオブジェもどことなく不気味だ。

Grotto Hill, Margate, Kent CT9 2BU
Tel: 01843 220 008
10:00-17:00 (9月3日まで。以降の開館時間はサイトを参照) £4.50
http://shellgrotto.co.uk

4

住宅街に突然現れる古風な館
Tudor House
チューダー・ハウス

シェル・グロット左)街角にいきなり現れるチャーミングな館 右)緑の庭が建物に映える

16世紀前半に建築されたとされる、マーゲートで最も古い建物の一つ。中世から近代への過渡期に作られ、両者の特徴を兼ね備えた様式だ。内部にはこれまでに修復された建物の詳細などを示したパネルが展示され、小さいながらもこの建物が地元で大切にされている様子がうかがえる。クリスマス時期にはチューダー朝のクリスマスを再現したイベントなども開催される。

King Street, Margate, Kent CT9 1QE
Tel: 01843 227 996 
土・日 11:30-14:30(10月~4月は時間が異なる)
£2(マーゲート・ミュージアムとの共通券は£3)
www.margatemuseums.org/about-1
※現在改装中のためクローズ

5

ターナーの作品にそっくりな光と風
Margate Beach
マーゲートの海岸

マーゲート広々とした空の下でのんびりと

この地で最も魅力的なのは、何といっても刻一刻と変化する海辺の様子。干潮時は沖まで歩くことができ、潮が満ちるにつれ太陽の光を反射した青い海が波打ち際に近付いてくる。同時に、空の変化にも注目。沸き上がる雲とその下に広がる海はターナーの絵画そっくり。

掘り出し物を見つけるための買い物歩き

マーゲートの旧市街には至るところにアンティーク・ショップやユニークな店舗がある。
ロンドン市内に乱立する大手デパートやチェーン店では絶対に入手できない、
オンリー・ワンな商品が見つかること請け合いだ。

1

真っ赤な外観が目印
The Old Kent Market
ジ・オールド・ケント・マーケット

The Old Kent Market
小さな建物だが幾つもの店が入る

1911年に建てられた映画館を利用したマーケット。日本を含む世界各国の食のストールが並ぶほか、今どきの独立系コーヒー店や、オーガニックのパンなども売られている。内部には本物のダブルデッカー・バスを利用したカフェもある。天井がドーム状なのは、換気を良くするための昔の建築法なのだとか。

8 Fort Hill, Margate, Kent CT9 1HD
Tel: 01843 296 808  火~日 8:00-20:00(店舗により異なる)
https://oldkentmarket.com

2

ロンドンから来たビンテージ・ショップ
Breuer & Dawson
ブリュワー & ドーソン

Breuer & Dawsonカラフルな商品がギッシリ

ロンドンのポートベローやカムデンで20年近くビンテージ・ショップを開いていた元ミュージシャンのポールさんが、友人のマットさんとキャサリンさんの3人で2012年に開いたお店。米軍放出品からテディ・ボーイズ・スタイルのスーツまで、1940年代から50年代のファッションを中心とした商品がそろう。第二次大戦時に使われたコンディションの良いバッグなどもあり。

7 King Street, Margate, Kent CT9 1DD
Tel: 01843 225 299 火~日 11:00-17:00 
www.breuerdawson.com
閉店しました。

3

古くて新しいセンスにあふれる店
Paraphernalia
パラフェルナーリア

Paraphernalia何個も並べたくなるレトロなデッキ・チェア

「身の回りの品」という意味もある店名を持つこの店は、ディスプレーが素敵なビンテージ・ショップ。家具を中心にしているが、今の時期は海や夏を感じさせる涼しげな商品が店先に並び、道行く人が足を止める。写真のレトロなデッキ・チェアは1つ28ポンド。

8 King Street, Margate, Kent CT9 1DA
Tel: 07534 707 105  木〜日 11:00-17:00 
www.facebook.com/Paraphernalia-Antiques-Vintage-113330055422564 

4

モッズ・スタイルを決めるならココ
Rat Race Margate
ラット・レース・マーゲート

Rat Race Margateおしゃれ男子のための店

英国のユース・カルチャーに欠かせないファッションを一堂に集めた本格的な店。テディ・ボーイズ、モッズ & ロッカーズ、スキンヘッズ、パンク、ブリット・ポップ。単なるリバイバルではない、本格的な品ぞろえが自慢だ。フレッド・ペリー、ベン・シャーマンを始めとした英国ブランドが並ぶ。スタッフたちのスタイルも参考になりそう。

8 Fort Hill, Margate, Kent CT9 1HD
(34-36 High Streetから①The Old Kent Market内に移転しました)
Tel: 07873 348 500 火~日 10:00-16:00
www.ratracemargate.co.uk

5

ナチュラルなライフスタイルを提案
Etc.
エトセトラ

Etc.目に優しい心地良い空間

チューダー・ハウスに行く途中に必ず目に入るショップ。ショーディッチかノッティング・ヒルにでもありそうな、おしゃれな商品が置かれている。オーガニックな石鹸や、北欧からのテキスタイルが並ぶが、ユニークなのは植物を生活雑貨の一つに数えており、サボテンを始めとした小さなプラントなども購入できること。緑が海風に疲れた目にも優しく、ほっとするようなお店。

35 Hawley Street, Margate, Kent CT9 1QA
Tel: 07977 161 915 火・水 10:30-17:00 / 木~土 10:30-18:00 / 日 11:00-17:00
https://etcetera-online.co.uk
閉店しました。

6

元銀行の店舗をブックショップに
The Old Bank Bookshop
ジ・オールド・バンク・ブックショップ

The Old Bank Bookshop 元銀行の面影はほとんどない

その名の通り、元ミッドランド・バンクだった建物を利用した古本の店。アンティークな古書というより、読み終わった本を各自が持ち寄ったような趣きだ。それもそのはず、この店はケント東部のピルグリム・ホスピスを支えるため、ボランティアによって運営されているチャリティー・ショップ。広い館内の2階まで書籍で埋まっている。

17 The Parade, Margate, Kent CT9 1EY
Tel: 01843 220 239 月~土10:00-17:00 / 日11:00-16:00
https://www.pilgrimshospices.org/local-shops/margate-books

マーゲイトの食

1

Turner Contemporary Cafe

Turner Contemporary Cafe

美術館付属のカフェ・レストラン。地産地消をモットーに地元ケント州のフレッシュな食材を使い、季節ごとにメニューが変化する。ベジタリアン用もあり。ケント産のソーセージや山羊のチーズなどにトライしては。一面ガラス張りの明るい店内で、見える景色はもちろん広い海。夕暮れどきは特に美しいので窓際の席がお勧め。

Rendezvous, Margate, Kent CT9 1HG
Tel: 01843 220 253
水~日 10:00-17:00、(温かい食事は15:00まで) 
www.turnercontemporary.org

2

The Mad Hatter, Margate

The Mad Hatter, Margate

土曜日にしかオープンしない、黄色い外観の怪しげなティー・ルーム。近付くとウィンドーには王室一家の写真や切り抜きなどがびっしり貼られている。内装もすべてが過剰でエキセントリックだ。オーナーのピーターさんがシェフ兼ウェイターで飛び回る。彼の作るケーキはグルテン・フリー。シャンパン・アフタヌーン・ティーなどがあり、簡単な食事もできる。

9 Lombard Street, Margate, Kent CT9 1EJ
Tel: 01843 232 626 土 11:30-17:30
www.facebook.com/TheMadHatterMargate
閉店しました。

3

Seaside Cake Parlour

Seaside Cake Parlour

植物ベースのヘルシーなホームメイド・ケーキの専門店。マフィンやクロワッサン、ワッフル、アフタヌーン・ティーもあり。誕生日やウェディングなど特別な日のためのケーキも凝ったデザインで作ってくれる。10年のキャリアを誇り、5カ国でケーキ作りの経験を持つスタッフによるワークショップもある。

24 Hawley Street, Margate, Kent CT9 1QA
Tel: 07311 110 119 木~土 11:00-17:00 / 日11:00-16:00
www.seasidecakeparlour.co.uk

4

The Bull’s Head

The Bull’s Head

外観も内装も客層も、これぞ「英国の庶民派パブ」と呼べそうな趣あるパブ。1960~80年代に活躍した英国のコメディアン、エリック・マーカムが「結婚式の披露宴を開催した場所」というブルー・プラーク(著名な人物がかつて住んだ家、もしくは歴史的な出来事があった場所に付ける青い銘板)を外壁に掲げている。

1 Market Place, Margate, Kent CT9 1ER
Tel: 01843 793 582 水・木 12:00-23:00 / 金・土 12:00-翌0:30 / 日 12:00-22:00
https://thebullsheadmargate.com

 

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*本文および情報欄の情報は、掲載当時の情報です。

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