フル・イングリッシュ・ブレックファスト
Full English Breakfast
あけましておめでとうございます。皆さん、新年はどのように迎えられましたか。
さて、英国のお正月は元日に友人たちとパーティーをする程度で、日本のように三が日の間に食べ続け、飲み続け……ということはあまりありません。とはいえ、クリスマスから新年にかけてはアルコール摂取の機会も多く、ずっと二日酔い気味、という人も少なくなさそうです。
そんな二日酔いの朝に英国人たちが好んで食べるのが「フル・イングリッシュ・ブレックファスト」。またの名を「フライ・アップ」。世界に名高い、英国の朝ご飯です。
英国の友人宅でパーティーのあった翌日など、皆、二日酔いだと言いながら、近所のカフェ(グリーシー・スプーン) にこれを食べに行くのがお約束です。英国人いわく「栄養のバランスがとれていて、かつ空腹を満たしてくれる。二日酔いを治すのに完璧な食べ物」なのだとか。
作家ウィリアム・サマセット・モームが「英国でおいしい食事をしたいのなら、1日に3回朝食をとればいい」と言ったという話は、皆さんも聞いたことがあると思います。トマトやマッシュルームといったヘルシーな食材も並ぶ一方で、ベーコン、ソーセージ、卵にベイクド・ビーンズとブラック・プディングなど、全部合わせるとかなり高カロリー。実際には日に2度食べるのですら大変だと思いますが……。
朝食といっても、これを毎朝食べている人はほとんどいません。また、自分の家でこの朝ご飯を作る人も多くはありません。旅行者にとっては、ホテルやB & Bなど宿泊先で食べるもの。そして、英国在住の人々は週末にカフェやパブなどに出掛けて食べる、というのが一般的。平日にカフェでフル・イングリッシュ・ブレックファストを食べているのは、ビルダーやプラマーといった職業の方たちが多いようです。早朝から肉体労働に従事する人々にとっては、一日の仕事を支える大事なエネルギー源なのでしょう。
ただし、「インディペンデント」紙に掲載されたレベッカ・アール教授の説によると、こうしたイメージは最近になって作られたもの。というのも、17世紀には伝統的なフル・イングリッシュ・ブレックファストは上流階級か裕福な中流階級層の食べるものだったそうです。
さらに、ザ・イングリッシュ・ブレックファスト・ソサエティーによれば、その歴史は13世紀初頭までさかのぼると言います。当時、ジェントリと呼ばれた地方の地主(地主貴族層)たちが、友人や親戚、近隣の人々に豪華な朝食を振る舞ったのがそれ。テーブルには、彼らの領地からもたらされた肉や野菜などふんだんな食材が見事に調理され、それを食べてから狩猟などに出掛けたようです。
それにしても、朝食についてのソサエティーが存在するとは、さすが英国。800年にもわたる歴史を誇る英国の伝統食、これからもその人気は続いていくのでしょうね。
フル・イングリッシュ・ブレックファストの作り方
材料
*分量はすべて好みで調整してください。
- ベーコン
- ソーセージ
- 卵
- ブラック・プディング
- マッシュルーム(好みの品種)
- トマト
- ベイクド・ビーンズ(缶入り)
- 食パン
- サラダ油
作り方
- ソーセージにフォークなどで小さな穴を空け、ベーコンは小さな切り目を入れておく。
- ベーコンと、カットしたトマト、マッシュルームをグリルに入れる。
- フライパンにサラダ油をひきソーセージとブラック・プディングを焼く。焼き上がったら温めておいたお皿に載せる。
- フライパンに多めのサラダ油を入れ、目玉焼きを作る。目玉焼きを作っている間に食パンをトーストする(同じフライパンで食パンをカリカリのきつね色になるまで揚げ焼き にすると「フライド・ブレッド」になる)。
- ベイクド・ビーンズを電子レンジで温める。
- すべてをお皿に載せて出来上がり。好みでブラウン・ソースやケチャップを添えてどうぞ。
memo
レシピはザ・イングリッシュ・ブレックファスト・ソサエティー(www.englishbreakfastsociety.com)掲載のものを参考にさせていただきました。ここではグリルとフライパンを使い分けていますが、最近では、すべてを一度に調理できるよう区切りが5つある(!)フライパンも販売されています。