フィッシュ & チップス
Fish & Chips
日本から友人が初めて英国に訪ねて来てくれたときに、食べてみたいと必ずリクエストされるのが「フィッシュ&チップス」。世界的にも有名なこの食べ物は、英国人のソウルフードともいえるものです。
それを確信した出来事があります。以前、夫の両親とともに日本への旅行をした後、英国の家にたどり着いたときのことでした。13時間にも及ぶ長いフライトを終えて帰国するなり、義両親が最初に食べたいと言ったのが、なんとフィッシュ&チップスだったのです。日本人だったら、海外旅行の後には、そばやうどん、お茶漬けなど、さっぱりしたものが食べたいような気がしませんか。でも、さすがは英国人(!?)。油で揚げた、こってりフィッシュ&チップスを欲するんだな~と感心しました。
クラリッサ・ディクソン・ライトの著書「A History of English Food」によると、1859年に発表されたチャールズ・ディケンズ「二都物語」の中に、「油で揚げたポテトのチップス」という記述があるといいます。その後、それは揚げた魚とコンビになります。その発祥地を「ある人はロンドンが最初だと言い、またある人はランカシャーだと言う。でも、真実は誰にも分からない」と彼女は記しています。
フィッシュ&チップスのビジネスに携わる人たちで構成されている全英フィッシュ・フライヤーズ連盟(The National Federation of Fish Friers)の資料を見てみると、2つの店が「発祥地」を主張しているとのこと。
一つはロンドンのマリン・ファミリー、そしてもう一つはイングランド北西部に位置するモスリーという小さな町のリー・ファミリーの店。どちらにしても1860年ごろの登場だそうです。
ところで、皆さんはフィッシュ&チップスに何をつけて食べますか。「英国人は塩とモルト・ビネガーを山ほどふりかけて食べる」というのが私のイメージ。実際、自分でも塩は別としてビネガーをたくさんかけるのが常でした。
でも、先日、友人夫婦の家でフィッシュ&チップスを食べたときに初めて知ったのが「カレー・ソース」の存在。2人は小さな容器に入ったとろみのある黄色いソースにチップスを浸しながら「マミ、今までカレー・ソースを知らなかったの!?」と仰天していました。
近所のフィッシュ&チップス店で確認すると、確かにソース類のメニューにはマッシー・ピーズやタルタル・ソースに混じってカレー・ソースが。そしてスーパーでは「Curry Sauce for Chips」「Chip Shop Curry Sauce」などの名前でこのソース(の素)がいくつも売られているではありませんか。
十年以上英国に住んでいても全く知らなかった、チップスにつけるカレー・ソース。やはり英国の食は奥深い!と思わされる発見でした。皆さんはご存知でしたか?
カレー・ソースの作り方(2~4人分)
材料
- 玉ねぎ ... 1/4個
- バター ... 20g
- 小麦粉 ... 大さじ1.5
- カレー粉(辛さは好みで) ... 小さじ1
- 塩 ... 小さじ1/4
- 水 ... 100ml
- レモン果汁 ... 小さじ1/4
作り方
- 小なべにバターを入れ、玉ねぎを加えて飴色になるまでよく炒める。
- ❶に小麦粉とカレー粉を入れてよく混ぜ合わせ、水を加えて中火で煮る。
- とろみがついたら味見をして、塩を加える。
- 最後にレモン果汁を加えて出来上がり。
memo
友人夫婦によると、このソースをチップス全体に上からかける人もいれば、ディップにして食べる場合もあるそう。またフィッシュにはつけずにチップスにだけつけるのが正統(?)なのだとか。