ポリッジ
Porridge
「ポリッジ」と言えば、「三びきのくま」や「秘密の花園」など、英国の児童書にもよく登場する、お粥のような食べ物。オーツ麦を水やミルクで煮て、熱々どろどろになったところをいただきます。
英国中で古くから貴重なエネルギー源として食されてきましたが、特にスコットランドでは「国民食」とまで呼ばれ、最も一般的な朝食とされてきたと言います。
それならばと、スコティッシュの義父にポリッジについてインタビューしてみました。
義父によれば、子供時代はほぼ毎朝、ポリッジを食べていたそうです。また、友人家庭でも同様だったと。
現在では、シロップやハチミツをかけたり、ナッツやフルーツなどをトッピングする人もいますが、当時のスコットランドではひとつまみの塩を入れる、というのが常識でした。今でも「水と塩で煮たものこそまっとうなポリッジだ」と主張するスコットランド人も多いとか。
「子供のころは、ポリッジの上にほんのひとさじの砂糖をかけてもらってた。父には甘やかしすぎだと思われていたけれど」と義父。当時、スコットランドで食べていたポリッジ・オーツは「Scott's Porage Oats」というブランドのもので、これ以外は見たことがなかったそうです。ちなみにこの商品の「Porage」という表記ですが、ポリッジの古い綴り方の一つなのだとか。また、フランス語で野菜などをスープやシチューにしたものを指す「potage」ともかけ合わせて、他社ブランドとの差別化を図ってつけられました。1914年以来、同社のみで使用されている登録商標です。
ところで、私がポリッジを口にしたのはこれまでに2度。どちらも完食には至らず。そこで今回は、Scott's Porage Oatsの「Old fashioned」という箱を買って再挑戦してみました。最初は牛乳で煮てゴールデン・シロップをかけたのですが、どうもいけません。本誌1475号でご紹介した市販のライス・プディングを思い出します。つまり、おじやのようなのにミルク味というのが、喉元でブレーキをかけるのです。
そこで、スコティッシュ風に潔く水で煮込むことに。出来上がりを4つのボウルに分けて、砂糖、塩、醤油、ゴールデン・シロップをそれぞれかけてみました。
塩味のものは、まるで玄米のお粥。砂糖のものは、おはぎのような味わい。醤油はまさにおじやそのもの! それならばと、土なべにポリッジと茅乃舎のだし、塩と醤油少々、卵を入れて本格的におじやを作ってみました。結果は確かに悪くない。でも、食べ終えてみれば、わざわざポリッジでおじやを作る必要もないかな~、という結論に。
結局、他ブランドのものを含めリサーチ用に買った2.5キロのポリッジ・オーツは、フラップ・ジャックとグラノーラに化けそうな予感がしています。
ポリッジの作り方(1人分)
材料
- ポリッジ用オーツ麦 ... 40g
- 水または牛乳 ... 200~300ml(好みの量で)
- 砂糖、塩、ゴールデン・シロップ、 ハチミツなど、好みのトッピング
作り方
- 小なべにオーツ麦と水または牛乳を入れ、オーツ麦が柔らかくなるまで煮立てる。水、牛乳の水分量は好みで調整してください。
- 好みのトッピングをして出来上がり。手軽に作るには電子レンジ使用も可(調理時間はメーカー毎のガイドに従ってください)。
memo
ヘルシーということに加え、体を温めるという利点もあるポリッジ。最近では高級ホテルの朝食メニューにも登場するなど、人気が復活しています。また、お洒落なトッピングをしたポリッジはインスタ映え(Instagrammable)するとも言われているようですよ。