ロンドンで見直す、戦後の日本住宅建築
日本住宅建築展
The Japanese House Architecture and Life after 1945
戦後日本の住宅に特化した大規模な展覧会が、ロンドンのバービカン・センターで開催される。第二次大戦後、焼け野原から目覚ましい復興を遂げ、経済大国に上り詰めた日本は、文化も住宅事情もドラマチックに変化、多様化を遂げた。
この展覧会では、変わり続ける日本の住宅環境にそのユニークなアイデアで大きな影響を与えた建築家たちの作品が展示されるが、ここでは特に人気の高い5人を紹介しよう。(文: 宮田さち)
The Japanese House
Architecture and Life after 1945
3月23日(木)~ 6月25日(日)
土~水 10:00-18:00 / 木&金 10:00-21:00
料金: £14.50
Barbican Art Gallery, Barbican Centre
Silk Street, London EC2Y 8DS
Tel: 020 7638 8891
Barbican/Moorgate駅
www.barbican.org.uk
藤本 壮介
Sou Fujimoto
1971年、北海道生まれ。2013年のサーペンタイン・ パビリオンの設計者として英国ではなじみがあるかもしれない。建築をする際に彼が大事にしているのは、文化の違いを超えた人間の本質。そのうえで空間と人間の関係を新たに捉え直そうと試みるのだとか。写真の「House NA」は箱を重ねたような全面ガラス張りで、シンプルだけど斬新な個人宅。
中山 英之
Hideyuki Nakayama
1972年、福岡県生まれ。2006年、床を50センチ地面から離し、宙に浮かんだようなユニークなデザインに仕上げた個人宅「2004」で、建築家の登竜門と呼ばれる新人賞、吉岡賞
などを受賞。以来、オフィスや個人住宅を専門に活動する若手建築家の一人として注目を浴びている。写真の「O邸」は優雅なカーブを描いた外観で目を引く個人宅。
手塚 アーキテクツ
Tezuka Architects
手塚貴晴(1962年、東京都生まれ)と妻の由比(1969年、神奈川県生まれ)が1994年に設立。新潟県の科学館キョロロや、立川市のふじようちえんが有名だが、多くの住宅設計も手掛けている。写真は、屋根の上で過ごすのが好きな一家の理想を基にした「屋根の家」。空に触れることができそうな、開放的な屋根の上で家族が集まる暮らしを実現させた。
西沢 立衛
Ryue Nishizawa
1966年、神奈川県生まれ。2012年に開館したルーブル美術館ランス別館の設計には、西沢が妹島和世と共同で主宰している設計事務所、SANNAの一員として参加。写真の「森山邸」は、オーナー宅とワンルームの住居が一つの敷地の中に積み木を散らしたように点在する集合住宅。大きさや高さの違う個々の建物がスペース内にユニークに配置されている。
藤森 照信
Terunobu Fujimori
1946年、長野県生まれ。カブトムシのように黒くて小さい、長い脚のついた宙に浮く茶室「ビートルズ・ハウス」がビクトリア & アルバート博物館に展示されたのは2009年のこと。屋根からニラが生えた「ニラハウス」(写真)や、「タンポポハウス」のように、自然素材を大胆に取り入れた、遊び心をくすぐるデザインにファンも多い。