ニュースダイジェストの制作業務
Wed, 03 July 2024
イギリス・ロンドンのイベント紹介

Exhibition at The National Gallery 2024-25 ナショナル・ギャラリーで開催の
エキシビション

記念すべき設立200年となる2024~25年にナショナル・ギャラリーで開催される大小のエキシビションの中から7つを紹介する。一つの作品をじっくり掘り下げる展示にも足を運んではいかがだろうか。

Information The National Gallery 10:00-18:00(金曜は19:00まで)
入場無料
(Van Gogh: Poets and LoversとSiena: The Rise of Painting 1300-1350はのぞく) 有料エキシビションのチケット価格はウェブサイトで確認を

Trafalgar Square, London WC2N 5DN
Tel: 020 7747 2885
Charing Cross/Leicester Square
www.nationalgallery.org.uk

The Last Caravaggio
2024年7月21日(日)まで

The Last CaravaggioMichelangelo Merisi da Caravaggio, The Martyrdom of Saint, Ursula, 1610 Oil on canvas , 143 x 180 cm, Intesa Sanpaolo Collection , Gallerie d’Italia - Napoli © Archivio Patrimonio Artistico Intesa Sanpaolo / foto Luciano Pedicini, Napoli, x5173

展示室46で観ることのできる「聖ウルスラの殉教」(The Martyrdom of Saint Ursula、1610年)は、バロック時代の天才画家、カラヴァッジオ(Michelangelo Merisi da Caravaggio、1571〜1610年)の最後の作品といわれており、今回、伊ナポリのザヴァロス・スティリアーノ宮から貸し出された。

13世紀の逸話「黄金物語」を主題に、フン族の王(画像左)からの結婚の申し込みを断ったため、至近距離から胸に矢を受けた初期キリスト教徒の英王女ウルスラ(同右)の姿が描かれている。怒り、暴力、死、罪、後悔、受容といったさまざまな感情が、大掛かりな背景なしに1枚の作品の中に込められており、あたかも舞台劇の1シーンのようだ。ウルスラの後ろにカラヴァッジオ自身の姿もひっそりと描かれていて、これがカラヴァッジオ最後の自画像ともなった。

The Triumphs of Caesar
2025年9月ごろまで

The Triumphs of CaesarL1323, RCIN 403958, Andrea Mantegna, about 1431-1506 The Triumphs of Caesar I: The Trumpeters, mid 1480s before 1506 Egg tempera on canvas, 270.3 × 280.7 cm. Royal Collection Trust / © His Majesty King Charles III 2023 The image may only be used for press and publicity purposes relating to the loan and only until the end of the loan.

展示室14で開催されるこのエキシビションは、イタリア・ルネサンスの画家アンドレア・マンテーニャ(Andrea Mantegna、1431~1506年)の連作「カエサルの凱旋」(The Triumphs of Caesar、1506年)6点が観られる貴重な機会。1630年に時の国王チャールズ1世が購入して以来、ロイヤル・コレクションとして400年近くにわたりハンプトン・コート宮殿が所蔵してきた。現在、同宮殿内のマンテーニャ・ギャラリー修復工事のため、昨年9月から2年間だけナショナル・ギャラリーに貸し出されているところで、同シリーズがこれほど長期間ハンプトン・コートを離れるのは初めて。

古代ローマ時代、ジュリアス・シーザーの凱旋パレードの模様を民衆の視点から生き生きと描いた連作で、「ガーディアン」紙は「トランペットの音が聞こえ、ゾウの糞の匂いまでしてきそうな」ほどの躍動感と評した。

Discover Degas & Miss La La
2024年6月6日(木)~ 9月1日(日)

Discover Degas & Miss La LaNG4121 Hilaire-Germain-Edgar Degas Miss La La at the Cirque Fernando, 1879 Oil on canvas 117.2 × 77.5 cm © The National Gallery, London

あまり知られていない傑作を新たな視点で紹介する「発見シリーズ」の第3弾として、フランス印象派の巨匠エドガー・ドガ(Edgar Degas、1834~1917年)による「フェルナンド座のララ嬢」(Miss La La at the Cirque Fernando、1879年)に焦点を当てたエキシビション。パリのサーカス団フェルナンド座の花形曲芸師であったララが、革のマウスピースを付けて空中にあがっていく姿を描いた同作のほか、ララを主題にした未発表作品、当時のララの写真なども併せて展示。

ドガはほかの印象派の画家とは異なり、屋外ではなく屋内の光や動きに惹かれ、「踊り子」シリーズをはじめ、19世紀末のパリの大衆演劇やオペラ座の舞台裏の様子が分かる作品を多く制作した。

Van Gogh: Poets and Lovers
2024年9月14日(土)~2025年1月19日(日)

Van Gogh: Poets and Lovers 左)NG3862, Vincent van Gogh, Van Gogh's Chair, 1888 Oil on canvas, 91.8 × 73 cm, © The National Gallery, London
右)NG3863, Vincent van Gogh, Sunflowers, 1888 Oil on canvas. 92.1 × 73 cm, The National Gallery, London. Bought, Courtauld Fund, 1924 © The National Gallery, London.

わずか10年足らずの活動期間中に、約2000点の作品を制作した後期印象派の画家フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Van Gogh、1853~90年)。今回の大規模なエキシビションでは、37年の短い生涯の最後の2年にあたる、南仏アルルとサン・レミで制作したゴッホの思想に焦点を当てる。この時代、「愛」に関連した詩的な想像力とアイデアがゴッホを制作に駆り立てた。その創造の源とは何だったのかを、オランダやフランスをはじめとした世界中の美術館や、個人コレクションから集めた50点以上の作品で振り返る。

多くの貸し出し作品に加え、ナショナル・ギャラリーが所蔵するゴッホの代表作「ひまわり」(Sunflowers、1888年)と「ゴッホの椅子」(Van Gogh's Chair、1888年)も展示。同館が1924年にこれらを購入してから100年の節目でもある。

Discover Constable and The Hay Wain
2024年10月17日(木)~ 2025年2月2日(日)

Discover Constable and The Hay Wain NG1207, John Constable, The Hay Wain, 1821
Oil on canvas, 130.2 × 185.4 cm, © The National Gallery, London

ザ・サンレイ・ルーム(The Sunley Room)で開催されている「発見シリーズ」の第4弾は、19世紀に活躍した英国の風景画家、ジョン・コンスタブル(John Constable、1776~1837年)による1821年の作品「ヘイ・ウェイン」(The Hay Wain)に焦点を当てる。200年以上経った現在でも、この絵は伝統的な英国の田舎のイメージと考えられているが、当時の観客の反応はどうだったのか。産業革命で刻々と変わりつつあった、そのころの英国における風景画の意義とは。本作や同時代画家による作品から、英国の風景画の社会的、政治的、芸術的な意味を探る。

また、「ヘイ・ウェイン」を制作した時点のコンスタブルのキャリアや、数年にわたって制作されたスケッチから最終作品を構成するプロセスにもスポットを当て、当時の画家たちに与えた影響なども紹介する。

Parmigianino: The Vision of Saint Jerome
2024年12月5日(木)〜2025年3月9日(日)

Parmigianino: The Vision of Saint Jerome NG33, Parmigianino 'The Madonna and Child with Saints John the Baptist and Jerome', 1526‒-7, Oil on poplar, 342.9 x 148.6cm © The National Gallery, London

展示室46で観ることのできるのは、マニエリスム初期のイタリアの画家パルミジャニーノ(Parmigianino、1503~40年)による、「聖母子と聖人たち」としても知られる「聖ヒエロニムスの幻視」(The Vision of Saint Jerome、1526~27年)。同作品は長年修復作業が続いていたが今回が10年ぶりの一般公開になる。パルミジャニーノが描いた多くの関連スケッチも併せて展示され、同作品制作までの過程を追う。

パルミジャニーノは伊北部パルマ出身で、幼いころから絵画を得意とし神童といわれた。21歳でローマに移り教皇に感銘を与え、「ラファエロ再来」と賞賛を受けた。今回展示される祭壇画は、パルミジャニーノのローマでの最初の大作といわれている。

Siena: The Rise of Painting 1300-1350
2025年3月8日(土)~6月22日(日)

Siena: The Rise of Painting 1300-1350 NG1139: Duccio Maestà - Panels, 1308-11 - The Annunciation Egg tempera on wood, 44.5 x 45.8 cm © The National Gallery, London

14世紀初頭の伊中部シエナには、ドゥッチオ(Duccio、1255/1260~1319年ごろ)、シモーネ・マルティーニ(Simone Martini)、そしてピエトロとアンブロージョ・ロレンツェッティ兄弟(Pietro and Ambrogio Lorenzetti)といった芸術家たちが次々に現れ、シエナ派と呼ばれる黄金時代を形成していた。このエキシビションでは、ゴシックからルネサンスへの橋渡しを果たしたシエナ派の魅力に迫る。特に中心人物のドゥッチオは、チマブーエ、ジョットとともに西洋絵画史上重要な画家の1人。ドゥッチオの代表作であるシエナ大聖堂の祭壇画「荘厳の聖母」(Maesta)には、上部の尖塔形部分や最下部にも板絵がはめ込まれていたが、現在では分割されて、ほかの美術館の所蔵になっている。今回のエキシビションではそれらの板絵が再結集し、一堂に展示される貴重な機会だ。

 
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