ニュースダイジェストの制作業務
Mon, 22 June 2026

メイド・イン・ブリテン Made in Britain 英国ブランドの物語

#60 タルタルから進化したフィッシュ&チップスの新定番

Heinz / Fish & Chips Sauce

ハインツ/フィッシュ&チップス・ソース
Heinz / Fish & Chips Sauce

£2.90 400ml
https://heinztohome.co.uk

家でフィッシュ&チップスを食べるとき、何を付けるか。モルト・ビネガーと塩はもちろん、タルタル・ソースも欠かせない ─ そう思っていた人に届けたい1本が、ハインツ社の「フィッシュ&チップス・ソース」だ。ガーキン、パセリ、ディルをブレンドしたハーブの爽やかでクリーミーな味わいが特徴で、テスコなどの大手スーパーマーケットで手に入る。

ハインツ社といえばベイクド・ビーンズが有名なので、英国の企業だと思われがちだが、実際にはピッツバーグ発祥の米国企業。ただ英国との縁は深く、ベイクド・ビーンズが初めてロンドンのフォートナム&メイソンに並んだのは1886年だった。その後1905年にロンドン南部のペッカムに最初の英国工場を開設し、33年頃には英国で販売されるほぼ全ての製品が英国内生産に切り替わった。現在、ウィガンに構える世界最大のベイクド・ビーンズ工場では毎日300万缶近くが製造されている。さらにサラダ・クリームは、ハインツが英国市場のためだけに独自開発した最初の製品で、1914年にロンドンのハーレスデン工場で誕生した英国版ランチドレッシングだ。つまりハインツは、英国人の味覚に寄り添いながら、ときに英国の食文化そのものを作ってきたブランドでもある。

そのハインツが英国向けに長年展開してきたのが「タルタル・ソース」。ケッパーと卵黄を効かせた酸味の強いクラシックな味わいで親しまれてきたが、2022年に姿を消した。代わりに25年5月、発売されたのがこのリニューアル版だ。新レシピはビーガン対応で、卵黄とケッパーが除かれ、ハーブの清涼感を前面に出したマイルドな仕上がりになった。実際に試してみると、従来のタルタル・ソースというより、どこかサラダ・クリームを思わせる甘みがある。ハインツ自身が「タルタル 2.0」と銘打ったこの変化には、一部の年配層から「伝統破壊」との声も上がったものの、独自調査では18〜34歳の90パーセントが「フィッシュ&チップスのための新しいソース」というアイデアに関心を示したという。果たして英国でフィッシュ&チップスの新たな定番となるのか、その行方が注目される。

 
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