カリフラワー·チーズ
Cauliflower Cheese
英国に来てから知ったおいしいものの一つにチーズがあります。なかでもチェダー・チーズが英国人の暮らしに欠かせないものだというのは、スーパーに行けば一目瞭然。マイルド、マチュア、エクストラ・マチュア、ビンテージなど、チェダーの中でもさらに種類が分かれています。そして、それらが350グラムとか550グラムとか、まるでレンガのようなサイズで大量に売られているのです。
こんなにもチェダー・チーズを大量消費する国ですから、それを使った料理もたくさんあります。特に感心したのはカリフラワー・チーズ。といっても、カリフラワーで作ったチーズではありませんよ!
カリフラワーといえば、日本では花キャベツなどとも呼ばれる美しい野菜。でも、シンプルすぎる、味気のない食べ物なのは誰もが認めるところ。子供のころは、ゆでてマヨネーズをつけるという食べ方くらいしかしていませんでした。なので、初めてカリフラワー・チーズを口にしたときには「こんな料理法を考えるだなんて、英国人もやるな~」と、衝撃的ですらありました。
これは、日本風に言うところの「カリフラワーのグラタン」です。ゆでるか蒸すかしたカリフラワーに、チーズ入りのホワイト・ソースをかけます。それを表面にこんがり焦げ目がつくくらいまで焼き上げれば出来上がり。カリフラワーにはほとんど味はないので、焼けた香ばしいチーズ・ソースがおいしさの決め手。ソースに絡まった柔らかな歯ざわりのカリフラワーは、ほとんど噛む必要もないくらいに口の中で一緒にとろけていきます。
ところで、私のカリフラワー・チーズ初体験は、友人に招待されたサンデー・ディナーのテーブルでした。そのとき彼がロースト・チキンの付け合わせとして、ロースト・ポテトやパースニップ、ゆでた人参などとともに出してくれたのです。
また、この料理はサイド・ディッシュとしてだけでなく、メイン料理としても登場します。「結婚したてのころ、家計が苦しいときには、カリフラワー・チーズにゆで卵とベーコンを加えてメイン・ディッシュにして食べていた」とひねりを効かせたレシピを教えてくれたのは義母。確かにおいしそうだし、それひと皿で十分お腹も膨らみそうです。
最近ではベジタリアン用のメイン・コースとしてレストランやスーパーのレディー・ミールでも人気です。
古くは1845年に出版されたイライザ・アクトンによる料理書「Modern Cookery for Private Families」に「カリフラワーとパルメザン・チーズ」という名でよく似たレシピが紹介されています。ここで使われているのはパルメザン。でも、やっぱりチェダーを使った方がおいしい気がするのは、英国暮らしが長くなったせいでチェダー中毒にかかっているからかもしれません(?)。
カリフラワー・チーズの作り方(4人分)
材料
- カリフラワー ... 1個
- バター ... 40g
- 小麦粉 ... 40g
- 牛乳 ... 450ml
- チェダー・チーズ ... 110g
- イングリッシュ・マスタード(粉) ... 適量(好みで)
- 塩・胡椒 ... 適量
作り方
- 塩を入れたお湯でカリフラワーを柔らかくなり過ぎない程度にゆでる(蒸しても)。
- なべにバターを溶かし、小麦粉を加えて焦がさないようによく混ぜる。
- いったんなべを火からはずして少量の牛乳を加えて混ぜる。
- ❸を中火にかけて少しずつ牛乳を加えていき、ホワイト・ソースを作る。
- 好みで❹にイングリッシュ・マスタードを加える。
- 2/3の量のチェダー・チーズ(細かく削ったもの)を❺に混ぜる。ここで味見して必要なら塩・胡椒を加える。
- 耐熱皿にカリフラワーを並べ、上から❻をかける。
- 残りのチェダー・チーズを❼の上に散りばめ、表面に焦げ目が付くまでグリルで焼く。
memo
チーズはチェダーでなくても、好みのものでお試しください。トッピングだけパルメザンにするのもおいしいです。