こだわり出すと実は奥が相当深いコーヒーの世界。本当においしくコーヒーを飲むためには、炒りたて・挽きたて・淹れたての「3たて」がそろわなければならないとされる。このうち「挽きたて」そして「淹れたて」は大抵のカフェで飲むことができるが、肝心の「炒りたて」を出すための焙煎機を備えた店はそう多くはない。そこでコーヒーにこだわりを持つ人々を引きつけて止まない、ロンドンで自家焙煎を行うカフェを紹介する。(大久保詩子、本誌編集部)
ロンドンのトレンド最先端に立つ人気店
Caravan
近年、大規模な再開発計画が進められているセント・パンクラス駅付近にオープンしたばかりの多目的施設グラナリー・スクエア内に、巨大カフェ「キャラバン」が出現した。店内は平日の午前中から若者でいっぱいで、週末ともなると入店に際して順番待ちとなることも珍しくない大人気店。まるで打楽器を演奏するかのように噴射のリズムを奏でる噴水近くのテラス席も良いが、来店客たちの楽しげな会話がこだまする開放感たっぷりの店内席も捨てがたい。そして店の奥まで足を延ばせば、無造作に積み重ねられたコーヒー豆入りの麻袋と大型の焙煎機が置かれた作業場のような空間に行き着く。常に2種類以上を用意しているという日替わりのフィルター・コーヒーを飲むのであれば、一つ聞けば十以上教えてくれる店員にお勧めを尋ねるのが一番。取材時に複数の店員に尋ねたところ、一番人気はコスタリカ産の「ブラック・パール」だった。ブラックで飲んでもクリーミーさとフルーティーさを知覚できる異色のコーヒーだ。

| 店名 | Caravan |
|---|---|
| 住所 | 1 Granary Square, London N1C 4AA |
| TEL | 020 7101 7661 |
| 最寄り駅 | King's Cross / St. Pancras駅から徒歩5分 |
| Website | www.caravankingscross.co.uk |
| オープン | 月・火 8:00-22:30、水・木 8:00-23:00 金 8:00-0:00、土 10:00-0:00 日 10:00-16:00 *Exmouth Marketに姉妹店あり |
客席よりも作業場の方が大きい本格派
Nude Espresso Roastery
あらかじめその場所を知らなければ辿り着くのは困難と思われる、まさに隠れ家的な存在のコーヒー焙煎所。旧オールド・トルーマン・ビール蒸留所の向かい側にある、トラック1台がやっと通過できるほどの狭い門がその目印だ。この門をくぐり、小道を通り抜けると行き着く駐車場の隅でその焙煎所はひっそりと営まれている。敷地内の大部分は焙煎作業用のスペースであり、カフェはあくまで「おまけ」といったような扱い。急ごしらえをしただけといった印象を与えるカウンターで注文すると、店の外に統一感の全くないテーブルを置いただけの席でコーヒーを飲むことができる。優雅な雰囲気など望むべくもないが、コーヒーに関する店員の知識とこだわりは別格。天気が良い日には、十数時間を費やして熱湯ではなく冷水で淹れたという世にも珍しい「コールド・ブリュー」を試したい。アイス・コーヒーというとミルクと砂糖をたくさん入れて飲みたくなるが、ここでは濃密なコーヒーそのものの味を冷たくさっぱり味わってみたい。

| 店名 | Nude Espresso Roastery |
|---|---|
| 住所 | The Cooperage Yard, Old Truman Brewery, 91-95 Brick Lane, London E1 6QL |
| TEL | 07756 303 537 |
| 最寄り駅 | Liverpool Street駅から徒歩10分 |
| Website | www.nudeespresso.com |
| オープン | 月~金 9:30-17:00 *Hanbury Street、Soho Squareに姉妹店あり |
あらゆる方式でコーヒーを味わえる
Ozone Coffee Roasters
周辺の道路にまでコーヒーの香りを漂わせる店内に入った途端、カウンター越しに響く「コーヒー・イズ・アップ!」の声。来店客には笑顔を振りまきながらも、いざコーヒーを淹れるとなると真剣な眼差しに変わる店員の目の前には、コーヒーを淹れるためのあらゆる機器が並べられている。常に数種類用意しているというエスプレッソ・マシンによるコーヒーに加えて、ペーパー・ドリップ、エアロプレス、サイフォンなどお好みの方式で淹れてもらうことが可能。店のこだわりを感じたいのであれば、料金が若干割高で時間もかかる「ソフト・ブリュー」をお試しあれ。化学の実験で使うような機材で淹れたエチオピア産コーヒー「グジ・シャキソ」は、飲み口は爽やかなのに口の中で徐々に苦味が広がっていく。「コーヒーを味わうだけでなく、香りを嗅ぐ、豆をすくう音に耳を澄ませる。そうやって身体全身でコーヒーを体験できるのが自家焙煎所の醍醐味」という店員の言葉を信じて、焙煎機を忙しなく稼働させている地下ものぞいてみてほしい。

| 店名 | Ozone Coffee Roasters |
|---|---|
| 住所 | 11 Leonard Street, London EC2A 4AQ |
| TEL | 020 7490 1039 |
| 最寄り駅 | Old Street駅から徒歩3分 |
| Website | www.ozonecoffee.co.uk |
| オープン | 月~金 7:30-17:00、土・日 9:00-16:00 |
ロンドンのショッピング街にある希少な焙煎店
Tap Coffee
2012年にオープンしたばかりの新店舗。大型チェーン店が乱立するロンドン中心部オックスフォード・ストリート近くで、こだわりのコーヒーを提供する希少な場所となっている。その特徴は、自家焙煎店としては珍しい機能性を兼ね備えたバランス感覚だ。入口近くのバー・エリアに並べられたサラダやサンドイッチを注文し、ナイフとフォークをつかんで着席するまでほんの数分。そんなファストフード店にも負けない簡易で迅速なサービスを提供しながらも、コーヒーの質では決して妥協しない。全部で20席前後しかない店内の突き当たりにある小部屋に置かれた焙煎機が、そのこだわりを物語っている。ジャム瓶に注がれる「ジャム・ジャー・アイス・ラテ」は、家庭的な見かけとは裏腹に、引き締まったシロップとミルクの甘味がコーヒーの苦みに溶け込む様がもはや職人芸。店内はリラックスした雰囲気が醸し出されており、Wifi環境も整っているので、ノート・パソコンを開いて仕事や勉強するにもぴったりだ。

| 店名 | Tap Coffee |
|---|---|
| 住所 | 193 Wardour Street, London W1F 8ZF |
| TEL | 020 7580 2163 |
| 最寄り駅 | Tottenham Court Road駅から徒歩3分 |
| Website | www.tapcoffee.co.uk |
| オープン | 月~金 8:00-19:00、土 10:00-18:00 日 12:00-18:00 *Tottenham Court Road、Rathbone Placeに 姉妹店あり |
初秋にフルーティーなコーヒーを
Workshop Coffee Co.
地下鉄バービカン駅とファーリンドン駅の間に位置するカフェ。黒いシンプルな外観の店舗に一歩足を踏み入れると、中は奥行きがあり、意外なほど広めの造りとなっている。中央にカウンターを構え、照明を暗くした店内はカフェというよりバーのような雰囲気。男女2、3人で集いミーティングをする姿や男性同士でコーヒーを楽しむ姿が目立つ。お勧めはエチオピア産のオーケ・ビレ。軽く焙煎した豆から淹れたコーヒーは色が薄く、一見紅茶であるかのような印象を受ける。カップに注ぐとほのかにオレンジの香りがし、コーヒー本来の香りと相まって心がほっと癒されるよう。飲んでみるとかすかに酸味があり、口当たりが爽やか。フルーティーな味わいのこのコーヒー豆は、生産者から直接買い付けたものだとか。合わせてフードを頼むならフォカッチャ。ボリュームのあるパン生地に新鮮であっさりとした味付けの赤ピーマンやキュウリを挟み、コーヒーの爽やかな風味を損なわない一皿となっている。店奥の巨大な焙煎機も一見の価値あり。
*このお店は閉店しました。ロンドン市内の他の支店は営業中です。詳細はウェブサイトをご確認ください。

| 店名 | Workshop Coffee Co. |
|---|---|
| 住所 | 27 Clerkenwell Road, Clerkenwell London EC1M 5RN |
| TEL | 020 7253 5754 |
| 最寄り駅 | Barbican/Farringdon駅から徒歩10分 |
| Website | www.workshopcoffee.com |
| オープン | 7:30-22:00(月は18:00まで) 土・日 8:00-18:00 |



在留届は提出しましたか?





























こぢんまりとした建物と建物の間に、きゅっとむりやり押し込められたかのように納まるさらに小さい真っ赤な家。ここコンウィには、英国で一番小さいといわれる家がある。ギネスブックにも載っているというこの家、間口約1.8メートル、高さ約3メートルという極小サイズ。2階建てで、1階のキッチン & ダイニングには小さなテーブルとイスが2脚にコンロ、2階にはベッドが一つ、窮屈そうに置かれている。閉所恐怖症ならばとても住めないような圧迫感を覚えるが、この家に最後に住んでいた人物は、何と190メートルを超える大男の漁師だったというから驚きだ。


西ヨーロッパにおける最も高いビルとして、2012年のオープン時には大きく話題を集め、新しくロンドンの観光名所の一つに仲間入りした高層ビル「ザ・シャード」。イタリアの著名建築家レンゾ・ピアノが設計した高さ310メートルの建物における事実上の最上階となる72階から、ロンドンの眺めを一望することができる。通常ならば入場に際して24.95ポンドという決して安くない料金を払わなければならないが、オープン・ハウスでは特別に無料。ただしこの特典を得られるのは、先に紹介した首相官邸と同じく抽選の当選者のみ。興味のある人は9月13日の締切日までに、公式ウェブサイトから申し込みを。







毎晩、周辺にまで立ち飲み客が溢れ出る人気店。同店が立つロンドン中心部ホルボーン地区にはかつて「ウィペット犬」と呼ばれる狩猟犬が出場するドッグ・レースの競技場があり、周囲に立ち並ぶインディペンデント系の各店が街の賑わいを支えていたことから、当時の活況を蘇らせたいとの思いを込めて「ホルボーン・ウィペット」という店名が付けられた。小学校の校庭にある水飲み場のように並んだ小さな蛇口から注がれるビールは多種多様で、しかも来店する度にその種類が変わる。最近のお勧めは、バナナのようなほどよい甘味と、清涼感を含み込んだ「ロートハウス・ヴァイスビア」。フルーツ風味のこのビールと、ハーブ入りの挽きの細かいビーフを挟んだ「ブルームズベリー・バーガー」の組み合わせは、パブでの食事とはにわかには信じられないほどに爽やかな口当たりをもたらす。割高な傾向のあるクラフト・ビール店で、食事付きで15ポンド以内に収まるお得な料金設定もうれしい。
週日は露店が軒を連ねるレザー・レーンの北側に位置するパブ。何の変哲もないその外観は、英国中で見かけるそのほかの一般的なパブとさして変わりないが、店内に入ってカウンターの隅から隅まで並べられたビール・サーバーの数を見れば違いは一目瞭然。それぞれのポンプに貼られた目新しいラベルの数々には思わず見入ってしまうはずだ。スナック以外に食事は提供していないが、その代わりメニュー表にはビールの銘柄がずらり。英国人が大好きな樽内熟成の「リアル・エール」から、喉越しの良い味となる傾向の強いケグ式、さらには瓶詰めされたビールまで何でもそろっている。思わず興味をそそられるのが「エレクトリック・ナース」。直訳すると「電撃的な看護婦」となるその不思議な名前が暗示するかのように、キレとほのかな甘みが共存する個性派ビールだ。ロンドン南部ブリクストンや同北部イズリントンにも支店があり、またオンラインでも各種ビールを購入可。

2007年にスコットランド北東部アバディーン出身の20代の若者たちによって設立された醸造所「ブリュー・ドッグ」が運営するパブ。露店として始まり、今や日本を含む世界中に展開するその急成長ぶりは、ビール好きの間では伝説のようにして語られている。ロンドン東部ショーディッチほか各地に店舗を構えているが、スタッフの顔と名前を店内の壁に落書き風に書き出して紹介するファンキーなスタイルは、ロックの聖地と言われるカムデン地区の雰囲気にぴったり。スタッフが「バノフィー・パイ(バナナやキャラメルが入った英国のお菓子)の味に最も近いビール」と独特の表現で勧めてくれたのが「アブストラクトAB:14」。また注文する際に少し照れてしまう名前の「ハロー・マイ・ネイム・イズ・イングリッド」は、飲んだ瞬間にホロムイイチゴの味が口の中全体に広がる。グレープフルーツ、ライム、バジルなどを混ぜ合わせて透明感を際立たせたビールのカクテルもある。

金融街シティからアクセス抜群で、その名の通り赤い牛の絵が店内に飾られたこの店は、仕事帰りの銀行員らしき人々や近隣のオフィスに勤めているのであろう若い女性たちで賑わう。お勧めはドイツ産の「シュレンケルラ・ラオホビア」。ダークな色合いのこのビールを一口飲むと、滑らかな舌触りに加え、ベーコンのような風味にびっくり。ブナの木を燃やした薫煙で乾燥させた麦芽である「スモークド・モルト」を使用しているだけあって、まるで煙を飲んでいるかのような独特の味わいがクセになる。チーズの盛り合わせと一緒に飲めば、より一層深いコクが口の中に広がり、思わずもう一杯頼みたくなること間違いなし。歯ごたえのあるお肉と酸味の利いたソースの相性が絶妙のカモのステーキや、辛味のあるソースととろけるチーズがかかったイカの小皿など料理のメニューも充実。週によって仕入れる種類がガラリと変わるビールについての情報はウェブサイトに随時アップされている。

ロンドン屈指の食物市場であるバラ・マーケット。このマーケットの北側出口付近に設置されたビールの露店を訪れたことがある人は少なくないはずだ。ビール好きなら、実に700種類もの瓶ビールが一堂に並べられた棚を物色するだけで時間が飛ぶように過ぎていく。さて、この露店の運営元はパブの経営も行っている。そのパブの名が「ザ・レイク」であり、立地は何とバラ・マーケットの駐車場内にあるトイレの裏。店内も小部屋のようなスペースしかない、まさに知る人ぞ知る隠れ家的な名店となっている。ほぼ日替わりのような頻度で変わる約10のビール・サーバーが注ぎ出す生ビールも魅力的だが、やはり目玉は130種類にも及ぶ瓶ビール。カウンターのすぐ脇から出入りできる地下の貯蔵室に保管されている種類も多くあるという。露店ではお土産や自宅への持ち帰り用に購入、パブでは買い物の休憩と試し飲みを兼ねての一杯と、ビール党にたくさんの楽しみを与えてくれる店だ。





























ウィリアム王子とキャサリン妃の第1子が誕生した翌日、同妃が入院していた病院から住居であるケンジントン宮殿へと向かう際に、父であるウィリアム王子がベビー・シートを車に取り付け、自ら運転する姿に、王室がまた一つ、新しい扉を開いたと感じた人も多かったのではないだろうか。できる限り自分たちの手で子育てをしたいという意向を持っているとされる2人は、子供に専属の乳母をつけず、子育てを含む身の回りの世話を担当するパートタイムの家政婦を雇った。夫妻は新生児とともに数週間をキャサリン妃の実家で過ごす予定となっており、今後は同妃の両親であるマイケルさんとキャロルさんが子育てに深く関与することになるともいわれている。いずれにしても、英国空軍パイロットとして多忙な日々を送るウィリアム王子と、王室メンバーの一員として海外訪問を含む公務をこなしていくことになるキャサリン妃の子育てには、当人以外の人々の存在が不可欠となることは想像に難くない。ある世論調査では、大多数の国民が、ロイヤル・ベビーは一般的な育児・教育を受けるべきとする一方で、実際のところ実現させるのは難しいだろうと考えていることが明らかになっている。
アトピー対策になる
全身をモコモコに
暖かく優しく
口と目と耳を楽しませる
何でもお子様用の椅子に
床にこぼさず
食べ物アレルギーが
家庭内逆バンジー・
伸縮自在の
安心してプールに行ける
リバティ柄のよだれかけ
母親のキャロルさんと選んだ
英国の著名セレブたち
ケンジントン宮殿の
英王室コレクションの
クマのプーさんの
































1853年、ペリー提督率いる黒船の来航によって、200年以上にわたって鎖国を続けてきた日本は開国を強いられました。それから10年間、幕府の混乱に乗じて列強各国から不平等条約を押しつけられ、さらなる開港を求める外圧にさらされていた日本では、外国を排斥しようとする攘夷思想が燃え上がります。1862年に薩摩藩の行列を横切った英国人を斬りつけた生麦事件、1863年には長州藩士による英国公使館焼き討ち事件が起こるなど、西欧列強対日本という全面戦争の恐れが高まっていったのです。









カラフルな風船で覆われたかのような天井の装飾に楕円型のホール――おとぎ話にでも出てきそうな舞台で繰り広げられる音楽会は、お子さんたちにとっても、きっと忘れられないひとときとなるはず。
世界最大級の規模だからこそできる、特定の作曲家を大々的にフィーチャーするプログラムの数々も逃せない。目玉は何と言っても生誕200周年を迎えるワーグナー関連プロムだ。序夜と3日間からなる4部作で、合計上演時間は15時間近くに及ぶ「ニーベルングの指輪」全作(
このほかにも
毎年壮絶なチケット獲得戦が繰り広げられるラスト・ナイトだが、その苦労を補って余りある特別な一夜を楽しめる。
毎年大人気なので、通常とは購入方法が異なる。主な手段としては、事前に5つ以上のそのほかのプログラム・チケットを購入し、抽選に参加する「The Five-Concert Ballot」がある(締切は5月23日(木))。しかしこれに失敗してもまだ購入手段は残っている。






