ジャパンダイジェスト

大連立、移民政策をめぐり議論
CSUの覚書に非難が集中

今年1月1日からルーマニアとブルガリアからの移民に対して労働市場が完全に開放されたことを受け、キリスト教社会同盟(CSU)が手厚い社会保障制度による生活保護の受給を目的にドイツへ来る「貧困移民」の急増に警鐘を鳴らし、物議を醸している。4日付のヴェルト紙が伝えた。

論議の火種となったのは、CSUが年明けに発表した「詐欺を働く者は飛ばされる」と題された覚書。その中でCSUは、新政権はEU市民の権利である域内移動の自由を濫用し、ドイツに来て職に就くことなく生活保護受給する、いわゆる「社会保障詐欺」を働いた移民に対して、再入国禁止などの罰則規定を設けるべきと主張している。また、ブローク欧州議会議員(キリスト教民主同盟=CDU)は「社会保障詐欺師」の再入国を防ぐため、ルーマニアとブルガリアからの入国者の指紋採取を提唱した。

これに対し、野党・自由民主党(FDP)のリントナー党首は「CSUは支持者に話のネタを提供したいか法的基盤を知らないかのどちらかだ。移民流入を警告するのではなく、受け入れ体制を整えることが必要」とコメント。CSUの母体であるカトリック教会の慈善福祉団体カリタスのネーアー代表も、「経済的に豊かでない南・東欧諸国の人々も、故郷以外の場所で自身と家族のために生きる手段を探している」とした上で、CSUの主張は大衆扇動的で移民に対する偏見を助長するものだと非難している。

内務省の統計によると、国内に616万人いる長期失業者向け生活保護手当ハルツ4の受給者のうち、ルーマニア人は1万8000人、ブルガリア人は2万人で、合わせても受給者全体のわずか0.6%。同手当や児童手当などの社会保障が彼らによって濫用されている事実は報告されておらず、ネーアー氏は「貧困国からの移民の大多数が就業していることを無視してはならない」と主張する。

一方で、移民が集中する地域の自治体の負担増が問題となっていることから、連邦・州による支援強化が不可欠との声も上がっており、CDU・CSUと社会民主党(SPD)は内務省と外務省、労働省の次官らから成る移民問題の作業部会設置を決定。想定される社会保障制度濫用への対策の必要性や内容について話し合うとしている。

 
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