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都市ガイドシリーズ⑫

グリム童話でおなじみのハンザ都市ブレーメンの魅力再発見!

16の個性豊かな州からなるドイツ。歴史や文化はもちろん、言葉も食もそれぞれ異なる。そんな魅力たっぷりのドイツ各地の都市を、一つずつスポットを当てて紹介していく「都市ガイドシリーズ」の第12回目は、グリム童話「ブレーメンの音楽隊」で有名なブレーメン。ハンザ都市として栄えた歴史を持ち、国際的で多様性に富んだ街として発展した。文化や商業の伝統を守り、ビジネス拠点としても、観光地としても人気が高い。今号では、そんなブレーメンの魅力をご紹介する。
(文: ドイツニュースダイジェスト編集部)

ブレーメンの魅力再発見!

ブレーメンってどんな街?

都市名:ブレーメン 人口:57万7026人(2023年12月31日時点)
面積:326.17km2(2022年12月31日時点)

ブレーメンは1035年、皇帝コンラート2世から春と秋に市場を開く権利を与えられたことで都市として発展。秋の市場は今日まで存続しており、フライマルクトとして知られている。1358年にはハンザ同盟に加盟。ブレーメンを流れるヴェーザー川は北海へとつながっているため、ブレーメンの商人たちはオランダやベルギー、英国、スカンジナビアと盛んに貿易を行い、経済的、政治的に力をつけた。

その後も経済が発展し、16~17世紀には美しい街並みが建設された。ブレーメンの発展に貢献してきた商人たちは、大聖堂と市庁舎の立つマルクト広場にギルドハウス「シュッティング」を創設。どちらにも引けを取らない見事な北方ルネサンス様式で、大司教や市参事会員と同じ立場であることを示すためにこの場所を選んだといわれている。

第二次世界大戦中は合計173回の空襲を受け、街の大部分と港が ほぼ破壊された。戦後は1947年に「自由ハンザ都市ブレーメン基本 法」が制定され、1949年にドイツ連邦共和国の都市州となった。その後、道路、鉄道、水路、空路の交通インフラが整備されていることを活かし、戦後ドイツの重要な経済都市の一つとして成長した。

アクセス

ブレーメン中央駅
Bremen Hauptbahnhof

● ミュンヘン中央駅から
ICEで約5時間30分

● フランクフルト中央駅から
ICEで約4時間

● ベルリン中央駅から
ICEで約3時間

● デュッセルドルフ中央駅から
ICEで約2時間40分

www.bahnhof.de

お得なカード※2024年9月時点の価格

ツーリスト向けブレーメンカード
Bremen Card

ブレーメンカード

カードの使用開始日の前日の18時から、カード有効日の翌朝3時まで、市内の交通機関が無料になるブレーメンカード。ほかにもガイド付きツアー、劇場、美術館、ボートツアーなどの料金が最大50%割引になるなどたくさんの特典が付いている。料金は大人1人+子ども2人までが11.50ユーロ、大人2人+子ども2人までで13.50ユーロ。購入場所はツーリスト・インフォメーションのほか、オンラインでも購入可。
www.bremen.de/tourismus

ブレーメンのおすすめスポット

ブレーメンのおすすめスポット

ブレーメンに旅行で来たり、引っ越してきたりした人はぜひ訪れるべき、おすすめスポットをご紹介。

Bremer Rathaus und Roland① マルクト広場の市庁舎とローラント像

マルクト広場の市庁舎とローラント像

1405年に建設されたゴシック様式の市庁舎と1404年に建てられたハンザ同盟都市の権利と特権を象徴するローラント像。両者は2014年から世界遺産に登録されている。ローラントとは、カール大帝に仕えた武将。像は悪や不正を正して正義を行う剣と侵略者から身を守る鎧よろいを身に付けている。市庁舎地下のレストラン「ブレーマー・ラーツケラー」は600年の歴史があり、世界最大級のドイツワインセレクションも備えている。

Am Markt 21, 28195
www.rathaus.bremen.de

Die Bremer Stadtmusikanten② ブレーメンの音楽隊の銅像

ブレーメンの音楽隊の銅像

年老いた動物たちが音楽隊を夢見てブレーメンを目指すという、グリム童話の一編「ブレーメンの音楽隊」。銅像は物語で語られるように下からロバ、イヌ、ネコ、ニワトリの順に乗っている。物語では動物たちは旅の途中で立ち寄った村にそのまま住み着いてしまったため、ブレーメンには到着していないが、憧れの地で銅像となって、今や街のシンボルに。ちなみにロバの足を両手で持つと幸運が訪れるそう。ぜひトライしてみよう。

Schoppensteel 1, 28195

Böttcherstrasse③ ベットヒャー通り

ベットヒャー通り

マルクト広場から黄金のレリーフがかかる道へ進むとベットヒャー通りへ。土産物や特産品、工芸品など、小さな専門店が軒を連ねている。この通りはコーヒー商人でカフェインレス・コーヒーの発明者でもあるルートヴィヒ・ローゼリウスによって建設された。建設期間は1922~31年。建物はローゼリウスと親交が深かった彫刻家ベルンハルト・ヘトガーが手掛け、表現主義の建築物としても一見の価値あり。

Böttcherstraße, 28195

St. Petri Dom④ 聖ペトリ大聖堂

聖ペトリ大聖堂

789年に木造聖堂を建設。その後何度か破壊と再建を繰り返した後、1500年頃に現在の後期ゴシック様式の教会に改築された。内部には美しいステンドグラスや12~19世紀にかけての北ドイツの芸術家たちによる祭壇画が飾られている。高さ90メートルを超える二つのせん塔のうち、南側の塔には登ることができるため、ブレーメンを一望できるチャンス。 併設の博物館では、大聖堂の歴史や建築の記録、神聖な美術品などを見ることができる。

Sandstraße 10-12, 28195
https://stpetridom.de

Schnoorviertel⑤ シュノーア地区

シュノーア地区

シュノーア地区は素朴な工芸品店やアンティーク雑貨店、居心地の良いカフェやレストランがずらり。かつては漁師や船乗りが住んでいたエリアで、現在も残っている最も古い建物は14世紀に建てられたものである。地区の名前「シュノーア」は、北ドイツの方言で「糸」を意味し、一部の道は両手を伸ばせば両側に触れられるほど狭く、曲がりくねった通りが続く。ブレーメンの歴史を巡る旅ができる博物館「Bremer Geschichtenhaus」も必見。

Schnoor, 28195

Kunsthalle Bremen⑥ ブレーメン美術館

ブレーメン美術館

14~21世紀までの広範な美術コレクションを所蔵。デューラー、クラナッハの重要な作品に始まり、17世紀のオランダ絵画の大規模なコレクション、さらにマネ、モネ、ゴッホ、ドイツ人画家のリーバーマンやコリントなどの作品も展示。特に銅板彫刻の所蔵作品は22万点を超え、16~18世紀にかけてのドイツ、オランダ、イタリア各派の素描や版画、19~20世紀のフランスやドイツの美術が保管されている。

Am Wall 207, 28195
www.kunsthalle-bremen.de

Die Glocke⑦ ディー・グロッケ

ディー・グロッケ

ドイツでも一流のコンサートホールとして知られているディー・グロッケ。聖ペトリ大聖堂の隣にある修道院が、19世紀に改装されたコンサートホールだ。世界的指揮者カラヤンがグロッケを欧州の3大コンサートホールの一つに数えていたほど、高い評価を得ている。洗練されたクラシック音楽はもちろん、ファミリーコンサート、演劇、朗読、シャンソン、キャバレー、ジャズなど幅広いジャンルのイベントが開催されている。

Domsheide 6-8, 28195
www.glocke.de

Universum Bremen⑧ ブレーメン科学博物館

ブレーメン科学博物館

クジラの形をしたブレーメン科学博物館では、人間、自然、テクノロジーの三つをテーマに子どもから大人まで科学の世界へ飛び込むことができる。実際に物を動かしながら光の屈折を学ぶ展示や、ハイスピードカペラを使って映像を撮影できるブースなど、五感を使って体験。5000平方メートルもある屋外エリアでは、クライミングウォールやせまい渓谷など、思いっきり体を動かしながら探検できる。

Wiener Str. 1a, 28359
https://universum-bremen.de

Bremer Bürgerpark⑨ ブレーメン市民公園

ブレーメン市民公園

市民公園は隣接する北部の森と合わせて200ヘクタールもある都会のオアシス。街の中心部にありながら、うっそうと茂った森の中を歩き、自然を楽しめる。庭園には19世紀から20世紀初頭の建物が点在し、建築ファンは必見。子ども向け遊具はもちろん、ミニゴルフや手こぎボート、ミニ動物園も備えている。年中イベントが開催されており、特に夏場は音楽イベントや演劇公演が行われている。

Parkallee, 28209
www.buergerpark.de

ブレーメンを堪能!おすすめのイベント

Bremer Freimarktブレーマー・フライマルクト

ブレーマー・フライマルクト

ビュルガーヴァイデと市内中心部の2カ所で開催されるフライマルクトは、1035年以来続く市民のお祭り。現在のフライマルクトでは、遊園地のような乗り物や屋台が並ぶほか、ビアホールやコンサート、さまざまなプログラムが実施される。初日のハイライトは、壮大な花火大会。折り返し地点の第2土曜日には豪華なパレードが開催され、カラフルな衣装を着た集団が街を練り歩く。

2024年10月18日(金)~11月3日(日)
Bürgerweide, 28215 / Am Markt 21, 28195
www.freimarkt.de

Musikfest Bremenブレーメン音楽祭

ブレーメン音楽祭

ブレーメン音楽祭は、1989年以来毎年夏の終わりに開催されているフェスティバル。オペラ、交響曲、合唱曲、室内楽、ジャズに至るまで、音楽のスタイルの多様性を重視したプログラムが組まれている。音楽祭の幕開けを飾るのは、イルミネーションに彩られたマルクト広場周辺の会場で行われるコンサート「アイネ・グローセ・ナハトムジーク」。その後、3週間毎日音楽で聴衆を熱狂させる。

第36回:2025年8月16日(土)~9月6日(土)
www.musikfest-bremen.de

現地で味わいたいおすすめのグルメ

Kohl und Pinkelグリューンコールとピンケルソーセージ

グリューンコールとピンケルソーセージ

冬が始まると、ブレーメンとその周辺地域のレストランや家庭の皿やメニューにグリューンコール(ケール)が登場する。伝統的なブレーメン料理といえばグリューンコールとピンケルソーセージの組み合わせだ。グリューンコールとゆでたソーセージ、くん製にした豚ロース肉、ベーコンなどをじっくりと煮た料理で、ビタミン豊富で滋養たっぷり。お好みでマスタードを添えて。

Bremer Klabenブレーマー・クラーベン

ブレーマー・クラーベン

ブレーメンには名物のお菓子が豊富。代表的なのは、冬の焼き菓子である「ブレーマー・クラーベン」。レーズンがぎっしり入ったシュトレンのようなケーキで食べ応えも抜群。ほかにも、スティック状のミント風味ののどあめ「ブレーマー・バベラー」や、スライスしたパンに砂糖とシナモンをまぶしたトーストの「ブレーマー・カフェブロート」など。ブレーメンならではのものなので、お土産にぴったり!

ブレーメンからちょっと足を伸ばすならBremerhaven
ブレーマーハーフェン

ブレーメン州を構成するもう一つの街である「ブレーマーハーフェン」。ブレーメンと同様に港街として発展したこの街は、海辺の保養地としてだけでなく、さまざまな魅力的な博物館を訪れることができる。ブレーメンを訪れるなら、ぜひこちらにも足を伸ばしてみよう。

ブレーマーハーフェン

ブレーマーハーフェンってどんな街?

ブレーメンから約50キロ、ゲーステ川とヴェーザー川の合流地点に位置する港街。ブレーマーハーフェン中央駅へは、ブレーメン中央駅からREで約30分。街の名前は「ブレーメンの港」という意味であり、ブレーメン州に飛び地として属している。ドイツで最も重要な貿易港として発展し、近年では風力発電の拠点としても注目を集めている。2009年に再開発された人気エリア「ハーフェンスヴェルテン」(Havenswelten)には、さまざまな観光スポットやレストランなどが集まり、多くの観光客でにぎわっている。

海の動物園 Zoo am Meer

Zoo am Meer

1912年にオープンしたドイツで最も小さな動物園であり、名前の通り海の動物に特化した「Zoo am Meer」 。ホッキョクグマやアザラシ、ペンギン、ホッキョクギツネ、オオヤマネコ、カワウソ……などなど、主に北海や北極圏、南極圏の動物が飼育されている。各エリアは高い檻おりや柵がない設計で、洞窟の中の窓から水中を泳ぐ動物を観察するなど、海の動物たちを身近に感じることができる。

Hermann-Henrich-Meier-Str. 7, 27568
https://zoo-am-meer-bremerhaven.de

クリマハウス・ブレーマーハーフェン Klimahaus bremerhaven

クリマハウス・ブレーマーハーフェ
クリマハウス・ブレーマーハーフェ
クリマハウス・ブレーマーハーフェ

1万2000平方メートルを超える広さの「気候」に特化したミュージアム。南極の凍つくような寒さ、南洋の楽園のような温かさ、アフリカの熱帯雨林の夜やサモアの豪雨など、地球のさまざまな気候帯を五感で体験することができる。気候変動に大きなウェイトが置かれており、世界各地の生活が気候変動によってどのように変わってしまったのか、地球環境を守るためにはどうすればいいかなどについて、インタラクティブなゲームなどを通して学ぼう。

Am Längengrad 8, 27568
www.klimahaus-bremerhaven.de

ドイツ移民博物館 Deutsches Auswandererhaus

ドイツ移民博物館
ドイツ移民博物館
ドイツ移民博物館

ブレーマーハーフェンの港からは、19〜20世紀にかけて720万人もの人がアメリカ大陸へと旅立った。そうした移民の歴史をたどる「ドイツ移民博物館」が2005年にオープン。展示室に足を踏み入れると、そこは19世紀後半の乗船待合室。自身も移民の一人となって、狭い船の客室や米国での入国審査などを追体験していく。ドイツから渡航した人々のデータバンクや、ドイツへの移民にまつわる展示も見どころ。

Columbusstrasse 65, 27568
https://dah-bremerhaven.de

ドイツ船舶博物館 Deutsches Schifffahrts Museum

ドイツ船舶博物館

ドイツの船舶交通の歴史を学ぶことのできる博物館。船舶の技術の歴史にまつわる展示をはじめ、漁船や蒸気船、木造ヨット、中世の難破船などの実物が数多く展示されている。また館外に展示されている潜水艦ヴィルヘルム・バウアー号は、第二次世界大戦末期にドイツ海軍の調査船として使われていたもので、内部を見学することができる。

Hans-Scharoun-Platz 1, 27568
www.dsm.museum

 
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