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Mon, 23 December 2024

百花繚乱の英国小政党

英国の政党を挙げろと言われて、即座にいくつくらい思い出せるだろうか。労働党、保守党、自由民主党……。政治に興味がなければ、これら3大政党以外には、なかなか出てこないかもしれない。確かに全国区のニュースを騒がせるのは、この3党が中心だ。しかし独立、移民など、英国ならではの問題と直結し、国民の心情をストレートにくすぐるのは、実は小政党だったりする。今回は敢えて3大政党をスルーして、小政党にスポット・オン。小政党を知れば、英国政治の裏側が見えてくる!(本誌編集部: 村上祥子)

個性豊かな英国小政党の面々

お堅く手堅いイメージのある英国政治の世界。ここではそんな固定概念が覆されること間違いなしの、十人十色の個性派政党6つをご紹介しよう。

実は「日本がお手本」です
BNP英国国民党(英国民族党)
British National Party (BNP)

Nick Griffin設立年: 1980年
党派: 極右 (同党は極右であることを否定)
党首: ニック・グリフィン

EU拡大の波を受けて移民数が急増している近年の英国。英国人の潜在意識にある移民に対する複雑な思いを反映してか、じわりじわりと支持を集めているのが移民排斥を掲げる英国国民党(BNP)だ。「人種差別政党ではない」と世間に訴えているものの、2004年にBBCの記者がBNPへの潜入取材を敢行した番組「シークレット・エージェント」では「パキ(パキスタン人)を撃て」「国境を封鎖しろ」などと語る様子を録画され、06年には「ガーディアン」紙の記者が同党に潜入取材、BNPのイメージを向上させるためのテクニックを党員に伝授したり、人種差別的活動を行う際には偽名を使うよう奨励するなどといった党の実態が暴露された。06年の地方選挙では大躍進を遂げた同党だが、07年12月には党首の方針に反発し、約50名の議員らが離党、自らをReal BNPを名乗るという騒動に発展した。また意外と知られていないが、BNPの移民排斥主義は、日本の移民政策をお手本にしているというからオドロキ。

こんな人が党員です!

06年「ガーディアン」紙の潜入取材で世の人をあっと驚かせたのが、イングリッシュ・ナショナル・バレエ団のプリンシパル(最高位ダンサー)、シモーヌ・クラークさんがBNP党員であるという事実発覚だった。その後はクラークさんの舞台出演に反対する人々が劇場の外に集結するなどの騒動も。実はこのクラークさん、当時は同団の中国系キューバ移民の男性ダンサーとパートナー関係にあり、5歳になる子供もいた。この一見矛盾する関係性に「???」だったが、やはりというべきか、07年12月にはBNPのハンサムな若手地方議員、リチャード・バーンブルック氏との婚約を発表。なんでも抗議行動が起こった公演にバーンブルック氏が激励に訪れたのがきっかけだったとか。

イラク戦争反対だけじゃない!
RESPECTリスペクト党
Respect (正式名称: Respect - The Unity Coalition)

ジョン・リーズ設立年: 2004年
党派: 左派
党首: ジョン・リーズ

党名の「リスペクト」とは、Respect, Equality, Socialism, Peace, Environmentalism, Community, and Trade Unionismの頭文字を取ったもの。設立当時はイラク戦争反対の姿勢を全面に押し出したため、特定の課題を達成するため活動を行う「特定問題政党」とも言われたが、現在では鉄道そのほか公共サービスの再国有化や環境保護などを唱えている。同党の支持者には、映画監督のケン・ローチ、ノーベル文学賞受賞の劇作家、ハロルド・ピンターなどの知性派著名人も。ちなみに党名にはちょっとしたいわくが。ロンドンでは市長主催で毎年「Rise」と呼ばれるフェスティバルが開催されているが、実はこのフェスティバル、もともとは「Respect」という名前だった。しかしリスペクト党が同名を名乗ったため、名付け親のケン・リビングストン・ロンドン市長は泣く泣く「Rise」と変更したのだとか。

こんな人が党員でした!

同党の設立メンバーの1人には、2006年1月に人気リアリティー番組「Celebrity Big Brother」に出演、レオタード姿で踊っている姿も記憶に新しいジョージ・ギャロウェイ氏がいる。そんな姿からは想像するのも難Gallowayしいが、真の姿は硬派な反戦主義者。03年、当時労働党の議員だったギャロウェイ氏は、国内で論争を呼んでいたイラク派兵に真っ向から反対し、同党を除名。翌年にリスペクト党を結成した。07年には同党の状態が「あまりに無秩序である」とするギャロウェイ派と、同党と協力体制にある極左の社会主義労働者党派に分かれ対立し、同年11月にはギャロウェイ派が「Respect Renewal」を結成、同党から脱退した。

マジメにくだらなさを追求します
OMRLPオフィシャル・モンスター・レイビング・ルーニー党
Official Monster Raving Loony Party
(OMRLP)

ジョン・リーズ設立年: 1983年
党派: ?
党首: アラン「ホーリング・ロード」ホープ

くだらなさ、皮肉をこよなく愛する政党。設立者はジャック・ザ・リッパーのコスプレなどで注目を集めた長髪ロッカー、スクリーミング・ロード・サッチ。同氏は1999年に死去したが、その精神は今も同党に脈々と受け継がれている。同党のマニフェストには、「亡命者は面白いジョークを言える限りは英国滞在を許可される」「米語のスペルを使用した者は、罰として1週間、オックスフォード英語辞典(大型版)を携帯する」など、一見バカバカしい政策がズラリ。とはいえ「未成年の選挙権獲得」「パブの24時間営業」など、実現してしまったものもあるのが怖いところ。

ロンドナーの悩み、お聞きします
One Londonワン・ロンドン党
One London

ダミアン・ホックニー設立年: 2005年
主義: ロンドン自治体の権限拡大
党首: ダミアン・ホックニー

ロンドン自治体の権限を拡大することを目的とした政党。英国のEU脱退、反移民など過激な主義を掲げる一方で、ロンドンの混雑税廃止、公共交通機関の24時間運営など、ロンドナーとしては気になる政策もチラホラ。ところでこのOne Londonという党名、どこかで聞いたことはないだろうか。05年のロンドン同時多発テロ勃発の際、リビングストン・ロンドン市長は同名のキャンペーンを組み、多民族の団結を訴えた。それが全く違う主義主張を持つ団体に、名前を使われたということで市長はかなりのご立腹だったそう……。

環境に優しい政党は同性愛にも優しい
Green Party of England and Walesイングランドとウェールズ 緑の党
The Green Party of England and Wales
(GPEW)

デレク・ウォール設立年: 1973年
党派: 左派
党首: なし(2008年より選出予定)
プリンシパル・スピーカー: デレク・ウォール、キャロライン・ルーカス

ヨーロッパを中心に、米国、アジアなど世界各国に存 在する環境政党、緑の党。同党の中心政策はもちろん環境保護。そのほか動物実験反対やフェミニズム、同性愛者擁護などの主義を掲げる。なぜエコ政党が同性愛フレンドリーになるのか。一見不可解だが、そのココロは「自由」。社会的弱者や少数派の人権保護を標榜する同党にとって、同性愛者たちの権利を守るのは、当然のことなのだ。

こんな人が党員です!

世界的に有名なゲイ・パレード「Pride」にも毎年参加するという同党、メンバーにはオーストラリア生まれの過激人権主義活動家、ピーター・ギャリー・タッチェル氏の姿も。「デーリー・メール」紙から「同性愛のテロリスト」 と呼ばれたこともあるタッチェル氏は2007年5月、同性愛者に対する風当たりが強く、市より開催を禁止されたロシアのモスクワでの「Pride」に参加、そこでネオナチらから暴行を受けたが、後に「モスクワに戻って活動することにこれっぽっちのためらいもないね」と語っている。 「Green, but not peaceful」と言うこの自然を愛する過激派に、今後も目が離せない。

保守党のオトモダチ
UKIP英国独立党
United Kingdom Independence Party
(UKIP)

ナイジェル・ファラージ設立年: 1993年
党派: 右派
党首: ナイジェル・ファラージ

英国独立党の生命線とも言える最大の主義は英国のEU 脱退。そのほか、英国内における中央集権の強化をうたっており、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド議会を廃止し、すべての権限を英国議会へ委譲するよう訴えている。「トーリー(保守党)の圧力団体」とも呼ばれる UKIPは多数の元保守党党員を抱え、某政治ウェブサイトの調査によると、調査対象となった保守党党員の半数近くがUKIPを「最も見解が近い党」と認識しているという。党の規律では人種差別を禁止し、極右関係者の入党を禁じているというが、人種差別、移民排斥との関連性を指摘する声は少なくない。

こんな人が党員でした!

UKIPの名物党員といえば、ロバート・キルロイ=シルク氏。元々は労働党の内政スポークスマンとして活躍していたが、左翼組織から嫌がらせを受け、一旦は政界を引退。その後はBBCで自身の名を冠した番組を持っていたが人種差別発言が元でホサれてしまう。しかしメゲないキルロイ氏、次はUKIPに入党し、2004年の欧州議会選挙で見事当選。欧州議会議員となったあかつきに議会で何をしたいかを問われ、「破壊してやる」と答えた恐るべきタフガイだ。その後の活躍が期待(!?)されたが、同氏は党内の勢力争いに敗れ05年に離党。その後、新政党「ヴェリタス」を結成したが、05年の総選挙で大敗したことを受け、同党党首を辞任、離党している。

2大政党制の中の小政党

英国政治は2大政党制と言われる。確かに英国の政治史を紐解けば、過去にはトーリー党(保守党)対ホイッグ党(自由民主党)、労働党対保守党という2大政党の対立図式が出来上がっていた。労働党と保守党という2大政党に、自由民主党が追随する形の現在。毎日のようにブラウン管を賑わせるこれら3党だが、その政策を見ると、一見、どれがどの政党のものだか区別がつかないほど似通っているものが多いことに気付かされる。その理由としては、一つに「小選挙区制」を採用している英国の政治システム、もう一つに現代英国における階級制度の変遷が上げられる。

小選挙区制
小選挙区制とは、定員と同じ数の選挙区を設置し、1つの区に1人の当選者を選ぶ選挙制度を指す。同制度では、最高得票者しか当選しないため、無駄になる票(死票)が多くなる。そのため、自分の票を無駄にしたくないと考える投票者は、本命が世論で人気があれば自票を投じる必要がないと考え、また人気がなければ投票しても無駄だと思い2番手の候補者に投票する傾向にある。そのため小選挙区制を取り入れている国では1番人気プラス2番人気の2政党が票を集めるという、2大政党制が形成されやすいとされているのだ。こうして野党第一党も政権を握る可能性がある2大政党制を持つ英国では、幅広い層からの支持を得るため、各党が打ち出す政策も現実的で実現可能なものとなる傾向がある。

階級制度の変遷
日本と比べると、いまだ国民の生活の中に「階級」という意識が残る英国。とはいえ、以前と比べれば上流階級と労働者階級の間の差異は狭まりつつある。20世紀後半には、労働・保守両党が、労組重視、福祉国家推進の労働党、規制緩和と民営化を推し進める保守党という、各支持層に訴える個性的な政策を打ち出していた。しかし現在では上流階級、労働者階級と簡単に括ることのできない中間層が増加、その新しい層にアピールするため、労働党ではニューレーバー(新しい労働党)を旗印に党内における労組の影響力を弱め、保守党も近年、環境や医療問題を重視するなど、ともに中道寄りな政策を提唱するようになった。

こうして政権掌握を狙う労働党、保守党と、3党政治を掲げる自民党の3党の政策が必然的に類似してくる一方で、政権を取る可能性の限りなく少ない小政党は、自由に自らの主義主張を打ち出してくる。特に英国では総選挙とは別に、北アイルランド、スコットランド、ウェールズ、ロンドン市議会議員選挙などでは、得票率に合わせて議席を配分するため小政党にも勝算がある比例代表制が採用されているため、小政党の活躍振りを見るならこれらの選挙に注目するとおもしろい。

地方議会で活躍する小政党

大政党の影に隠れて、小政党がなかなか日の目を見ることのない中央政治。 しかし独自の議会を持ち、比例代表制が導入されている北アイルランド、スコットランド、ウェールズでは近年、地方政党が大躍進。ここでは各地方の政治システムとともに、有力地方政党を紹介する。

Walesウェールズ
Wales

1536年、イングランドに併合された後は、イングランドとの統合王国となったウェールズ。スコットランドや北アイルランドとは異なるその背景ゆえか、ウェールズ独自の言語、文化を守り続ける一方で、英国からの独立に対してはそれほど高い関心を持っていなかった。1997年にはウェールズ議会(National Assembly of Wales)の設立が提案され、同年9月に住民投票が行われたが、その際にも賛成50.3%、反対49.7%とかろうじて設立が決定。99年より議員選挙が行われるようになった。

政治システム
英国議会下院では40の議席を割り当てられている。独自の議会を持つが、スコットランド議会(Parliament)と異なり、Assemblyであることからも分かるように、法律を制定する権限は持っていない。ただし、地方自治や農業、教育、環境、文化などの分野における二次的立法権あり。議員の任期は4年。小選挙区比例代表並立制(Additional Member System)。

ウェールズ議会議員選挙の結果
第1回(1999年)      
党名
小選挙区
比例代表
労働党
27
1
28
ウェールズ国民党
9
8
17
保守党
1
8
9
自由民主党
3
3
6
無所属
0
0
0

2007年      
党名
小選挙区
比例代表
労働党
24
2
26
ウェールズ国民党
7
8
15
保守党
5
7
12
自由民主党
3
3
6
無所属
1
0
1

(Source: BBC Online)

ソフトに攻める、イマドキの民族主義
Plaid Cymruウェールズ国民党 (ウェールズ民族党)
Plaid Cymru

ユアン・ウェイン・ ジョーンズ設立年: 1925年
党派: 中道左派
党首: ユアン・ウェイン・ ジョーンズ

なんと発音すれば良いのか見当もつかない「Plaid Cymru」という党名。もちろんウェールズ語で、Plaid=政党、Cymru=ウェールズを指す。ちなみに読み方はプライド・カムリ。設立当初はウェールズの言語と文化の保護が主目的だったが、後に自治政府の設立→ウェールズ独立を目指すようになった。しかしそんな流れと反比例するかのように、党のイメージはソフトなものに。2006年には1933年から使用していた、3つの山にウェールズの象徴であるレッド・ドラゴンを組み合わせたロゴから、温かみのある黄色いウェルシュ・ポピーの花のロゴへと変わり、党名も通称をただ「Plaid」とするようになった。07年5月の議会議員選挙では15席を獲得し、労働党との連立政権を樹立。ユアン・ウェイン・ジョーンズ党首がウェールズ副首相の座に付いた、勢いのある党である。

Scotlandスコットランド
Scotland

トニー・ブレア、ゴードン・ブラウンと2代にわたり首相を輩出しているスコットランド。もともとは地方分権に積極的な労働党支持が強いお国柄だが、近年はスコットランド独立を目指すスコットランド国民党(SNP)の支持率が上昇している。スコットランド議会は1707年、イングランド、スコットランド両王国が合邦したことで一旦閉鎖されたが、98年の「スコットランド法」制定により、翌年より新議会が設立されている。

政治システム
英国議会下院では59の議席を割り当てられている。一方で独自の議会(Parliament)を持ち、所得税率を変更するなど、中央とは別に法令を定めることが出来る(ただし、財政や外交など、全国規模の問題を扱うことは不可)。選挙は4年ごと。小選挙区比例代表並立制 (Mixed Member Proportional Representation System)

スコットランド議会議員選挙の結果
第1回(1999年)      
党名
小選挙区
比例代表
労働党
53
3
56
スコットランド国民党(SNP)
7
28
35
保守党
0
18
18
自由民主党
12
5
17
その他
1
2
3

2007年      
党名
小選挙区
比例代表
スコットランド国民党(SNP)
21
26
47
労働党
37
9
46
保守党
4
13
17
自由民主党
11
5
16
スコットランド緑の党
0
2
2

(Source: BBC Online)

ショーン・コネリーも支持する第1党
SNPスコットランド国民党
Scottish National Party(SNP)

アレックス・サモンド設立年: 1934年
党派: 中道左派
党首: アレックス・サモンド

スコットランドの分離独立を目指す中道左派政党。2007年スコットランド議会議員選挙でついに第1党となり、アレックス・サモンド党首がめでたくスコットランド首相の座についた。00年にはSNP議員2名が、英国、ドイツ、南アフリカを中心に争っていた06年サッカー・ワールド・カップ開催地決定に関する公式ウェブサイト上の投票でドイツを推したことで、トニー・ブレア首相(当時)に「反英国的」と批判されたが、「ウェブ上での投票で反英国的とするのはくだらない」と一蹴した。その一方で昨年8月には英国からの独立を問う住民投票に関する白書を発表するなど、独立を実現するための準備を着々と進めているのがウマイところ。世界的俳優、ショーン・コネリーが長年支持している党としても知られる。

Northern Ireland北アイルランド
Northern Ireland

1960年代、それまで差別を受けてきたカトリック教徒と、プロテスタントが中心となっていた北アイルランド政府が激しく対立する、いわゆる北アイルランド問題が深刻化 した同地域。1972年には英国政府による直接統治が始まり、旧アイルランド議会は消滅した。98年には、英国とアイルランド共和国が北アイルランドの和平に関する合意文書に署名(ベルファスト合意)、同時に議会設置も決定された。それが現議会(Northern Ireland Assembly)である。しかしこの議会も、党派間の対立の激化などにより一時機能停止に。2007年3月、プロテスタント系のユニオニスト *強硬派、民主統一党(DUP) とカトリック系のナショナリスト *強硬派、シン・フェイン党の間で自治復活の合意がなされ、同年5月、4年半振りに自治機能が復活した。
*ユニオニスト(英国との連合維持を支持)、ナショナリスト(北アイルランドの独立を支持)

政治システム
英国議会下院では18の議席を割り当てられている。ウェールズ同様、Assemblyである同議会には自治権が委譲されているとはいえ、英国議会が保持している権限(外交や国防、通貨など)や、後に委譲される可能性があるが、現在は英国議会が持つ権限(警察や郵便)も存在する。任期は4年。比例代表制(単記移譲式比例代表制: Single Transferable Vote System)。

北アイルランド議会議員選挙の結果

※ U: ユニオニスト N: ナショナリスト

1998年    
党名
党派
アルスター統一党
U
28
社会民主労働党
N
24
民主統一党
U強硬
20
シン・フェイン党
N強硬
18
同盟党
6
英国統一党
U
5
無所属
U
3
進歩統一党
U
2
北アイルランド女性連合
2

1998年    
党名
党派
民主統一党
U強硬
36
シン・フェイン党
N強硬
28
アルスター統一党
U
18
社会民主労働党
N
16
同盟党
7
無所属
1
緑の党
1
進歩統一党
U
1

(Source: BBC Online)

武器を捨てた闘士たちの行く末は...... 
Sinn Feinシン・フェイン党
Sinn Fein

ジェリー・アダムス設立年: 1905年 (1970年には党が分裂し、暫定派シン・フェイン
(現在のシン・フェイン党)が設立された)
党派: 極左
党首: ジェリー・アダムズ

アイルランドのゲール語で「我々のみ」という名を持ち、世界中の多くの国からテロ組織として認定されている民兵組織IRA(アイルランド共和軍)暫定派の政治組織であるシン・フェイン。しかし2005年にはIRAに武装解除を勧告し武装闘争の終結を宣言させることに成功、昨年は犬猿の仲であるDUPに歩み寄り、自治復活を実現させるなど、近年ややソフト路線に転じている(ように見える)。一見インテリ学者のような風貌のジェリー・アダムス党首は、捕虜の虐待が明らかにされ問題となったイラクのアブ・グレイブ収容所の惨状を描き出した写真を見ても、「私も拷問写真に写ったことがある」と言ってのけるツワモノ。また北アイルランド議会副首相の座についたマーティン・マクギネス氏は、自治復活時の知的な好々爺といった雰囲気とは裏腹に、IRAのトップにまで上りつめ、「IRAのゴッドファーザーの中のゴッドファーザー」とまで呼ばれたバリバリの闘士である。彼ら過去の武闘派が、平和な北アイルランドの未来を築くことができるのか、今後に注目だ。

プライド・カムリのスポークスマン、
アラン・エヴァンズ氏にインタビュー

── 現労働党政権の強みと弱みはなんだと思いますか。

現政権の強みと言えば、以前まではメディアをコントロールする能力だったと言えるでしょう。とはいえ最近ではなんの強みも見せることができずにいますが。弱みと言えば、すべてを統制したがるという点でしょうか。常に中央政府の権限を強めようとしていますが、彼らにそんな能力などないのです。もっと地方議会に権限を委譲すべきです。

── プライド・カムリと現政権の政策における一番大きな違いはなんですか。

ウェールズ政府と中央政府の違いということで言うならば、ウェールズNHS(国民保険サービス)におけるPFI(公共サービスの提供を民間に委ねる手法)の不採用、農民に対する迅速な支援、公共交通機関の改善、そしてウェールズ語の保護などが挙げられます。我々(プライド・カムリ)の長期的な目標としてはウェールズ独立の実現があります。

── 英国の政治システムは2大政党制と言われます。この点についてどう思いますか。

地域によって変わると思います。ウェールズやスコットランドでは、4党制が確立していますし、北アイルランドでは、政党の様相はそのほかの地域とは全く異なります。ですが原則として英国政治のシステムは2、または2.5大政党制と言って差し支えないのではないでしょうか。その理由は小選挙区制です。もし比例代表制、または単記移譲式比例代表制になるようなことがあれば、議会はより民意を反映するものとなるでしょう。

── 英国は比較的小さな国です。にもかかわらず、ウェールズやスコットランド、北アイルランドの人々が独立を求めるのはなぜでしょう。文化や言語の保護以外に理由はありますか。

独立を求める原動力となっているのは、ウェールズの持つ独自の政治的風土なのです。ウェールズでは伝統的に中道左派政党を支持する傾向にありますが、イングランドにより決められた右派政権に苦渋を強いられることが多々あります。1980年代、90年代の保守党政権は、ウェールズにおいて全く支持を得ることが出来ず、また我々にとっても独自の生活様式が壊滅的状況に追いやられるという事態に陥りました。多くのナショナリストたちは、二度とこのようなことが繰り返されてはならないと決意し、右派寄りの政策から我が身を守るため、ウェールズの自治/独立を求めるようになったのです。

 

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*本文および情報欄の情報は、掲載当時の情報です。

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