公立校も入学は大変
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公立と私立ではシステムが異なる
英国では、公立校と私立校で学校の名称が変わります。例えば、公立校では初等教育はプライマリー・スクール、中等教育はセカンダリー・スクール。一方の私立校では、前者がジュニア・スクール(プレパラトリー・スクール)で、後者がシニア・スクール(日本でも広く知られているイートン校やハーロー校といった私立校、パブリック・スクールは、このシニア・スクールの一種です)と呼ばれています。私立学校によっては、入学年が必ずしも一様ではありません。さらに、公立の中等教育は無試験で入学できるコンプリヘンシブ・スクールと、選抜試験を経るグラマー・スクールに分かれています。義務教育の最終段階となる中等教育終了時(16歳)には、GCSEという全国統一試験を受験しますが、この試験結果は、その後の進学や就職に大きな影響を与えます。大学進学を望む者はシックス・フォームと呼ばれる課程に進学(シックス・フォーム・カレッジとして独立しているものと、中等教育機関内に併設されているものがあります)し、同課程での学習内容を踏まえたAレベル試験(高校卒業資格試験)での成績次第で希望の大学に入学することができます。
キャッチメント・エリアとは
英国の小中等教育においては、公立校への入学条件の一つとして、日本の学区に相当するキャッチメント・エリアが定められています。そして、英国の義務教育における各公立校のレベルにはかなりの差があることから、英国で子育てを行う家庭は、このキャッチメント・エリアを重視する傾向にあるようです。各学校ではあらかじめ定員数が決められているため、人気校への入学は非常に厳しくなります。人気のある学校の近くに入学を希望する家族が引越してくることも多く、キャッチメント・エリアが非常に狭い範囲に限定されるということも珍しくありません。また学校によっては、学力や信仰、ハンディキャップ、さらには兄弟姉妹がすでに通学しているか否かなどを入学条件に加味している場合もあります。
日本から来英した場合
英国の公立校に通学する場合には、自宅の住所がキャッチメント・エリア内に含まれている学校の中から希望校を選び出し、居住区を管轄するカウンシルに申請。希望校の中から、空き状況があり、かつ自宅から1番近くにある学校の該当年生として入学することができます。一方、私立校については、各学校が定める基準のみで選抜され、居住地域などは考慮されない場合が多いです。また公立・私立のいずれであるかにかかわらず、現地校に通う日本人生徒の中には、週末などに日本の国語のカリキュラムに合わせた授業を行う補習授業校に通学する人たちも多くいます。
イングランドにおける教育制度の区分
保護者の情報収集が鍵となる
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英国の小中教育機関に通わせる子どもを持つ保護者たちは、たとえ公立校への通学を予定しているとしても、相当な量の情報収集を行わなければなりません。多くの保護者たちは、教育水準局(Ofsted)が毎年発表する報告書を入念に確認しています。
この報告書では、各校の状態を「極めて優れている(outstanding)」から「十分でない(inadequate)」までの4段階で評価。近隣の学校のカットオフ・ディスタンスと照らし合わせながらこの報告書を参照し、第一志望校がすでに定員に達している場合には「ウェイティング・リスト」に登録するか、または新規生徒の受け入れが可能な学校の中から別の候補を探すことになります。現地校のウェイティング・リストに登録されている間や来英後の正式な住所が決まるまで、英国にある日本の私立学校へ子どもを通わせるという措置を取る在英邦人の保護者もいるようです。
教育水準局(Ofsted)の報告書検索ページ
http://reports.ofsted.gov.uk