63関税について(空港編)
「今までも国外に持っていっていた自分のパソコンなのに、 いきなり呼び止められて関税を払わせられた!」なんて話しをたまに耳にします。ドイツに住んでいて何度も出入国をしているのに、制度がよく分からずに失敗してしまうことがある関税。感覚的には「自分の持ち物や中古品は関税がかからない」と勘違いし、関税を取られるとむしろ理不尽に感じてしまったりします。しかし、個人のものや中古品であろうと他国(EU外)から持ち込めばそれは立派な輸入になります。そして輸入品には「関税」と「輸入売上税」が、自己申告をしなければさらに罰金が掛かり得るのです。
ノートパソコンの場合は、正確には関税(Zoll)は0%で、課せられるのは輸入売上税(Einführumsatzsteuer) の19%です。輸入売上税は国内同様、通常は19%、本やアートは7%です。関税は商品により異なり、バッグは3~9.7%、洋服12%、靴16.8~17%、中国産の自転車はダンピング防止のために48.50%となっています。関税は郵便物についても課せられますが、今回は旅行時の携行品に関してご説明します。
旅行の荷物自体には関税はかかりませんが、それ以外の時計・パソコン・デジカメや、職業上の撮影機材などは申告が必要です。ただし職業上使用する楽器の一時的輸入は現在は申告の義務はありません。
申告の対象となる物品が総額430ユーロ以上(15才未満は175ユーロ以上)であれば申告が必要です。商品によって免税範囲は、紙巻きタバコ200本、ワイン4L、ビール16L、医薬品は滞在中に服用する範囲内など、規定が異なります。現金は日本出国時には100万円以上で、EU入境時には1万ユーロ以上の現金の持ち込みで申告が必要ですが、自分のお金であれば課税されるわけではありません。その場合は、自分名義の口座から引き出したことを証明できる書 類も携帯しておくと良いでしょう。
ドイツの空港の税関は無申告者用の緑のゲートと申告者用の赤のゲートがあり自己申告制になっていて、誰もいないように見えますが、申告するものがある場合はもちろん、 申告するものがあるかないか分からない場合も、空港の税関では要申告者用の赤いゲートを通ったほうが良いでしょう。もし緑のゲートを通った後で呼び止められて申告物品があった場合には、「知らなかった」といっても通用しません。そうなると税金はもちろん罰金も課せられることがあります。赤いゲートをくぐれば少なくとも罰金はないので安心 です。経由便の場合など必ずしも居住国ではなく、最初にシェンゲン協定域内に入った空港で申告します。
なぜか赤色のゲートを通っても係員がいなければそのまま素通りして審査を受けないので、必要な税を払わずに済んでしまいます。ノートパソコンや時計など、その後も何度 か出入国をするかもしれないものは、請求書など購入価格 を証明できる書類を携帯しておけば、止められた時にもスムーズにことが運びます。申告して関税・輸入消費税を支 払った場合は、その証明書を携帯します。
旅行者と同じルートで事前・事後に送付した旅行荷物(別送品)も、入国時に携行した旅行荷物と同じ税関規定の適用を受けます。しかし、郵便で事前・事後に送付した荷物については、携行荷物の扱いとはならず、郵送物として税関 規定の適用を受けます。
日本に住んでいる方が旅行に来て持ち帰るものであっても、物品によっては「輸入」ではなく「一時的輸入」として申告が必要な場合もあります。その場合は、持ち帰ることが前提で非課税ですが、税関による監視状態にあり、それを誰かに譲り渡したりした場合には課税対象となりますので、 出国時に申請します。