ボルシアMGで活躍する日本人サッカー選手たち 板倉滉選手&福田師王選手
近年、ブンデスリーガで活躍する日本人選手はますます増えているが、「ボルシア・メンヒェングラートバッハ」(ボルシアMG)には、現在2名の日本人選手が所属している。サッカー日本代表でもおなじみの板倉滉選手と、高校卒業後すぐに渡独した福田師王選手だ。ブンデスリーガ2024-2025シーズンが盛り上がるさなか、板倉選手と福田選手に会いに、スタジアムへと足を運んだ。(文:ドイツニュースダイジェスト編集部、写真:Borussia Mönchengladbach/Christian Verheyen)
インタビュー当日、スタジアムをバックに板倉選手(右)と福田選手(左)
板倉滉DF
1997年神奈川県生まれ。サッカー日本代表。川崎フロンターレ、ベガルタ仙台を経て、2018年にマンチェスターシティ(イングランド)に移籍。2019年にFCフローニンゲン(オランダ)、2021年にFCシャルケにそれぞれ期限付き移籍した後、2022年に現在のボルシアMGに完全移籍した。対人プレーに優れ、攻守両面での能力の高さが評価されている。
福田師王FW
2004年鹿児島県生まれ。神村学園サッカー部所属中は、全国高校サッカー選手権大会にて優秀選手のタイトルを3年連続で獲得した。U-16から日本代表として国際試合に出場している。高校卒業後、2023年にボルシアMGに加入。セカンドチームを経て、2024年1月にトップチームに昇格した。身体能力の高さとゴールへの嗅覚に定評がある。
10月のとある日、メンヒェングラートバッハ中央駅からバスに揺られること30分弱。閑静な住宅街を抜けて現れたのは、ボルシアMGのホームスタジアム「Borussia-Park」だ。その日は平日昼間で、スタジアムの周りではランニングをする人やイヌの散歩をする人を数人見かけたくらいだったが、試合の日にはここは5万人以上の観客で溢れかえる。
さっそくスタジアム内に入ると、普段は限られた人しか入ることのできないVIPルームの一つに案内してもらう。しばらくすると、午前中の練習を終えた板倉滉選手と福田師王選手が現れた。ブンデスリーガ1部で戦うお二人を前に少し緊張したものの、気さくな板倉選手とその弟のような福田選手のやり取りに、すぐに場の雰囲気は和やかになった。
スタジアムを埋め尽くす「Fohlen」たち
板倉選手はボルシアMGに来て2年、福田選手は1年がたちますが、お二人にとってボルシアMGはどんなチームですか?
板倉選手(以下、板倉) 歴史あるチームですよね。こんなに何もないところにあるスタジアムなのに、基本的に試合日は満席になる。そこが日本と大きく違うところの一つかな。
福田選手(以下、福田) こんな田舎に5万人も集まるのはすごいですよね。昔から強いっていうのを知っていましたし、チームメイトもサポーターも温かいなと感じますね。
ボルシア・メンヒェングラートバッハ
Borussia VfL 1900 Mönchengladbach
1900年にメンヒェングラートバッハで、13人の若者によって設立された。会員数10万人を越えるドイツ最大のクラブの一つ。1960~70年代には「攻撃サッカーの殿堂」と呼ばれ、ブンデスリーガで5度の優勝、DFB ポカールで3度の優勝、UEFA欧州選手権では2度の優勝を果たしている。1965年に勢いのあった若手選手たちが「仔馬のよう」と評されたことから、現在もボルシアMGのサポーターたちは親しみを込めて「Fohlen」(仔馬)と呼ばれている。
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日本とドイツのサッカーの違いは、どんなところにあると思いますか?
板倉 まず、フィジカル的に大きな違いがありますよね。身体の使い方もゲームの進み方も日本と全然違います。それからブンデスリーガには世界を代表する選手たちがそろっているので、いろいろな国の選手と戦えることがドイツでプレーする楽しいところの一つだと思います。
福田 自分の場合は高校を卒業してすぐドイツに来て、Jリーグを経由していないので比べるのは難しいですね。日本の高校サッカーと比べたら、フィジカルもプレースピードも全部レベルが違うので。
板倉 師王(福田選手)、高校時代はモテモテだったらしいですよ。これ、ちゃんとインタビュー記事に書いてくださいね!
福田 いやいやいやいや、滉くん(板倉選手)には叶わないっすよ。
板倉 いやお前、そもそも俺の高校時代を知らないだろう(笑)。
お二人はとても仲が良さそうですね。お互いどんな存在だと感じていますか?
板倉 U-19、U-23と師王の成長過程を見てきたし、高校を卒業してすぐにこっちで戦っているのはすごいと思います。僕はこっちに来た当初、全然楽しくなかったので。楽しくなったのは、試合に出始めて、やっと周りからも認められるようになってからでしたね。師王のことは、素直にこれからが楽しみだなと思います。
ボルシアMGで存在感を示す板倉選手
福田 (板倉選手のことは)素晴らしい存在だと思っています。日常生活でもサッカーでも常日頃からお世話になっていて。自分は言語が全然なので、そういうときも頼りになったり、人としても優れているなと思います。それから、サッカーは相手の逆をつくことが多いなと。
板倉 あとは?あとは?
福田 あとは、コーヒーが好き(笑)。
板倉 コーヒー好きがここで出てくるんだ(笑)。でもたしかにコーヒーは好きですね。カフェによく行くのと、最近チームメイトからいいコーヒーマシンをもらったので、ちゃんと豆から挽いて入れて。アメリカーノをよく飲みます。師王はまだまだかな。
福田 コーヒーはまだ目覚めてないですね。
板倉 師王がトップチームになってから、スケジュールが一緒じゃないですか。だからオフの日も一緒に過ごすことが多いですね。サウナに行ったり、家でご飯を食べたり。友人たちとバーベキューもよくやっています。
ドイツ生活で大変だと思うことはありますか?
板倉 オランダのFCフローニンゲンにいた頃、最初の半年弱くらいは堂安選手(現フライブルク所属)が一緒だったので、まだ良かったんです。でもそこから2年以上は1人で……。さみしすぎて、ヒツジと会話していました(笑)。僕はそのときに英語をやって、ドイツに来てからはドイツ語のレッスンにも行っていたんですけど、もう全然で。でも、師王のドイツ語はだいぶ成長してると思います。
福田 自分は聞く方が苦手で。言いたいことを話すのはできるんですけど。
板倉 普通は逆なんだけどね。ドイツに来た頃は午前中に語学学校行って、午後は練習して、結構激しかったよな。
福田 最近は英語を独学でやっています。あとは滉くんの英語をよく聞いて、ああ言えばいいんだなって。すごいですよ、何でもしゃべれるんです。
板倉 いやいや、全然そんなことないですよ。あとドイツ料理っておいしいですけど、毎日は重たいなと……ドイツのステーキ屋さんにも行くし、いろいろトライはするんですけど。基本は和食ですね。
福田 やっぱり日本のごはんは恋しいですね。ウナギとかおいしい寿司とか食べたいですし。でもデュッセルドルフが近いことはポイントが高いですよね。
お二人の出身地でおすすめのものはありますか?
板倉 師王は鹿児島出身だし、めっちゃいっぱいありそう!
福田 砂むし温泉。
板倉 砂むし温泉?そんなのあるの?
福田 砂を被るんです。自分もちっちゃい頃にしか行ったことがないから、どういう仕組みか分からないんですけど、あったかいんですよね。それから温泉は夏によく入ってましたね。高校の時は練習が終わってからみんなで海行くぞ!って飛び込んで、そのあと温泉に入るんです。神奈川は?
板倉 神奈川は箱根とかになるのかな。やっぱり温泉ですね。こっちはサウナしかないので、日本の温泉はやっぱりいいなって思います。このスタジアムにもサウナが付いていて、今も入ってからここへ来たんですけど、だいたい練習が終わったらサウナに入って汗を出していますね。
福田 ドイツの人におすすめしたいのは、お酒ですかね。
板倉 たしかにそれもあるね。ちなみに、僕はチームメイトとよくデュッセルドルフの日本食レストランに行きます。デュッセルドルフの隣のメアブッシュに住んでいる選手が多くて、焼き肉屋さんとか、結構みんな気に入って通っていますよ。
インタビューに答える板倉選手と福田選手
現在の目標や近い将来の夢があれば、ぜひ教えてください。
板倉 まずはFIFAワールドカップが2年後にあるので、そこは間違いなく目標にしていて、ずっと頭の片隅に置いています。ただ、もともとそこまで目標を決めるタイプではないんですよね。毎試合でちゃんと力を発揮するということをやっていけば、いいのかなと。日々の積み重ねだと思います。
福田 今の目標は、試合に出て活躍すること。ゴールを決めることが一番の仕事だと思うので、やっぱり5点は決めたいですね。5点決めたら何か買ってあげるぞって、滉くんが約束してくれていますし(笑)。あとは、ワールドカップは自分の価値を示す大会だと思っているので、絶対にいつか出たいと思いますし、日本のために頑張りたいです。サポーターの方たちには、ぜひ自分のゴールを見てほしいですね。自分の成長を見守ってくれたらありがたいです。
7月25日、フォルトゥナ・シッタート(オランダ)との試合でプレーする福田選手
インタビューが盛り上がってきたところで、終わりの時間に……。板倉選手と福田選手は再びトレーニングへと戻っていった。終始お二人の掛け合いが楽しく、仲の良さが目に見えて分かったと同時に、互いに尊敬し合っていることが伝わってくる時間だった。
ブンデスリーガ2024-2025シーズンは、まだまだこれからが本番。異国の地で戦うお二人をこれからも応援したいという人は、ぜひボルシアMGの試合を観にスタジアムに足を運んでみてほしい。「Fohlen」の一員になって、ボルシアMGをサポートしよう!
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