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Sun, 22 December 2024

Life at the Royal Ballet バレエの細道 - 小林ひかる

第15回 城と団子

4 August 2011 vol.1312

多国語
ぶどう畑に囲まれた、ソミュール城にて

先月のコラムでは、語学のことをお話ししました。現在、バカンス中で久しぶりにフランスに来ており、自分のフランス語がどれだけなまっているか、身に染みて感じているところです。やはり語学というものは、その国に滞在していないとうまくならないですね。

今月はここフランスから、古城巡り+ワイン・テイスティングについてお話ししようと思います。

英国にも古城はたくさんありますが、なぜか私は、英国では古城巡りをしたいとは思いません。この旅でその理由が、やはり食べ物のせいだと言うことが分かったのです……。

今回訪れたのは、ロワール地方。お城でとても有名な地方ですが、ワインでも名高く、たくさんのワイナリーがお城とともに連なっています。お城見学の後、ワイナリーでテイスティング、気軽にフレンチ・ビストロで食事、というようなことは、英国ではできませんでしょう?

ワインが大好きな私は、お城だけより、「城と団子」の方を選んでしまいます。もちろん英国にも素敵なお城の近くに素晴らしいレストランがある場所はありますが、そこへ行くには中身がずっしり詰まった財布を持って行かなければならないので、気軽に、とはいきません。ですがフランスでは、当然のことながらワイナリーなので、自分の希望するワインを試してみてから購入することができるので失敗はしませんし、価格も驚く程お手頃なので、気に入ったワインに出会うと、ケースごと買いたくなってしまいます。


また、ワインとくればチーズで、レストランやビストロに入れば必ずあるといってもいい多種類のチーズの載ったお皿。フランス人の食習慣ではデザートとして出されるこのチーズの存在をすっかり忘れていた私は、立ち寄ったレストランで、メインまででお腹いっぱいにしてしまい、店長さんに「フランスに来たらチーズまで食べないと!」と無理矢理食べさせられてしまいました。でも不思議にワインと一緒に味わうと、お腹に無理なく入 ってしまう——これが怖いのです! バレエ団が夏休み中のため、運動量が著しく減っている私は、太る体質ではないとはいえ、気を付けなければと思い、途中でやめました……。

話が食べ物の方に集中してしまいましたが、もちろんお城も忘れてはいません。いくつか訪れたお城のうち、特に気に入ったのは、アンボワーズ城、シュノンソー城とソミュール城 。どれも、圧倒される外見に比べると、意外に内装が質素だと感じたのは、金ぴかのベルサイユ宮殿のようなお城をイメージしていたからでしょうか?

アンボワーズ城は、レオナルド・ダ・ヴィンチのお墓があることで有名ですが、なんとシュノンソー城は、イタリアからフランスの王室に嫁いだ際にフランスへバレエをもたらした、メディチ家のカトリーヌ・ド・メディシスが住んでいたお城だったのです。

全く知らずに訪れたお城が、バレエ発祥の地だとは知らず、喜びを覚えました。バレエの物語の主人公たちは、こうしたお城に住んでいることが多いのですが、舞台の背景幕に描かれたものとしてしかなじみがなかったので、本物のお城を目の当たりにして、その迫力に圧倒されました。お城を眺めながら、物語に出てくるお姫様方はこのような場所に住んでいたのかと思い、空想に浸っていた私です。

 

小林ひかる
東京都出身。3歳でバレエを始める。15歳でパリ、オペラ座バレエ学校に留学。チューリッヒ・バレエ団、オランダ国立バレエ団を経て、2003年から英国ロイヤル・バレエ団に入団。09年ファースト・ソリストに昇進した。
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