もうバーで美味しいお酒をたしなむことも出来なくなるのか……
2007年の統計によると、交通事故が原因で死亡した人は平均で1日13人。特に若いドライバーによる無謀な運転が悲劇を招くケースが多い。そのうち、飲酒運転による死亡事故は実に全体の34.5パーセントを占めるという。そんなことから、環境大臣のジャン=ルイ・ボルロー氏は、深夜2時以降まで営業をしているバーやディスコなどにアルコール検知器(エチロテスト)の設置を義務づける政令を発表した。対象となるバーは全国で約4万5000軒となる見通しだという。
でもこれって、レストランで肥満度指数を計測したり、カジノで預金残高の確認を促されるようなもので、興冷めすること間違いなし。というかそもそも飲酒問題を起こすような人は、そこら辺に置いてある検知器などにはきっと目もくれないだろう。
バー経営者の反応も様々で、「お客さんが店を出る前にアルコール摂取度を検査するシステムができれば、私たちは(飲酒事故などの)責任から逃れることができる」と肯定的に受け止める意見がある一方で、「いきなりこういった政令が発表されるのには我慢ならない」と不満を漏らす人もいる。
さらなる問題が、検知器の設置には高額な経費が発生するということ。購入せずにレンタルをすることも可能らしいが、レンタル代が週に360ユーロもするというから驚きだ。特に田舎で、地元のおじさんが集まる小さなバーなどでは、アルコール検知器を置きたくてもなかなか手が出せないのが現状だろう。バーでの喫煙禁止が始まったかと思ったら、ほとんど間をあけずに通知されたアルコール検知器導入の義務。バーの経営者にとっては泣きっ面に蜂である。
フランスの酔っ払い諸君には、厳しい時代となった。
「Figaro」紙
"Ethylotests dans les bars de nuit début janvier 2009" ほか