ジャパンダイジェスト

パスワードをめぐる不毛な戦い from UK

パスワードをめぐる不毛な戦い
ロンドン市内に建つロイズ銀行の支店
渡英したばかりの日本人が、まず驚くのが英国の顧客サービスの悪さだ。特に銀行、電話、水道といった日常生活の基盤となるサービスを手掛ける会社のいい加減さといったらありゃしない。「間違った請求書が届いた」「注文の対応が数カ月遅れた」といった話はザラである。そもそも、客を客として扱う気など端からないのではないか、と思ってしまうほどだ。

イングランド中部シュルーズベリー出身のスティーブ・ジェトリーさんは先日、英銀大手ロイズ銀行のテレホン・バンキング口座を開設した。ところが、口座開設と共にパッケージになって付いてきた旅行保険の詳細をめぐって、同銀行とのトラブルを経験。平均的な英国人であればここで長々しい抗議文を送るのだが、スティーブさんは腹いせにこの口座のパスワードを「Lloyds is pants(ロイズのバカ)」と設定した。

少し陰湿にも思えるスティーブさんのいたずらも、この時点で終われば笑い話として済んでいたであろう。ところがロイズ銀行のスタッフは、無断でこのパスワードを「No it's not(ロイズはバカではない)」に変更。これが戦闘開始のゴングとなった。

「なかなか気の利いた切り返しだと思った」というスティーブさんは、今度はパスワードを「Lloyds is rubbish(ロイズのアホ)」と再変更するよう要請。ところが銀行側から「不適切な用語が含まれている」として却下される。それならば、と競合するバークレイズ銀行の名を出して、「Barclays is better(バークレイズの方が良い)」へと変更依頼すれば「規定によりパスワードは一単語のみ受け付けております」、「では『Censorship(検閲)』に」と言えば「6文字未満じゃないとダメ」と、ありもしないルールを持ち出してはことごとく拒否されたという。

ちなみにこの一連のやり取りについてロイズ銀行は事実と認め、「利用者はパスワードを自由に設定できる権利を持っている」と既に謝罪の意を示している。件(くだん)の担当者は、既に退職したとのこと。スティーブさんの現在のパスワードが何なのかが、ちょっと気になるところだ。

「BBC Online News」 "Man's 'pants' password is changed"



 
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