80意外と知らない銀行口座の使い方
2019年9月14日から、これまでオンラインバンキングで使われてきた「iTAN(紙に印刷されたTAN番号)」の使用が禁止になりました。ログインは今まで通りユーザー名とパスワードのみで利用できる銀行もありますが、振り込みなどの際にはSMS(ショートメッセージ)で送られてくる「mTAN」やスマホアプリを使用する「photoTAN」などの2段階認証が必要な銀行もあります。まだスマホのTANアプリなどを登録していない場合は、オンラインまたは電話で申請、郵送で届くコードを使用して登録します。
「PSD2(Payment ServicesDirective)」と呼ばれるこのEU基準は、実は2018年1月からすでに始まっています。PSD2ではセキュリティーを高めるとともに、これまで銀行が独占していたサービスを、銀行ばかりでなくノンバンクであるフィンテック(ファイナンス・テクノロジーの略)も提供できるようにし、競争によって消費者のための利便性向上を図っています。
● セキュリティーと利便性
セキュリティーが高まれば濫用されるリスクは減りますが、ログインや振込の手間は増えることになります。スマホのアプリでログインする口座の場合、スマホを変えたり紛失すると口座が使えなくなってしまいます。大抵の銀行では複数のスマホアプリを登録できるので、古いスマホなどに予備のアプリを入れて登録しておくといいでしょう。なお、共同口座でなくても配偶者のスマホを登録しておくこともできます。
● 引き落としの取り消し
自動引き落としの金額が間違っていたり、二重に引き落とされた場合などは、8週間以内であれば引き落とし先に連絡をしなくても引き落としを取り消して返金処理が可能です。その場合は銀行に申し出るか、オンラインバンキングで取り消し申請をします。万が一8週間以上経ってしまっても、引き落とし先に直接返金依頼をすることができます。
● 間違った振り込みをしてしまった場合
正しいIBANを入力しなければエラーが出て振り込みは実行されませんが、間違えて入力したIBANがたまたま誰かの口座だった場合、お金は振り込まれてしまいます。振り込み直後であれば、すぐに銀行に電話をして取り消しができるかもしれませんが、先方に着金してしまった場合は自分の銀行を通じて振り込み先の銀行に返金を依頼します。この手続きには10~20ユーロほどの手数料がかかることに加え、処理がスムーズにいくとは限りません。
● クレジットカードの支払いチェック
クレジットカード口座もオンラインログインを有効にしておくと便利です。毎月の明細が届いたら必ず内容をチェックしましょう。自分に覚えのない支払いがある場合は、実際にお金が引き落とされるまでの期間内に、オンラインで簡単に返金申請が可能。申請はMasterやVISAではなく、そのカードの発行元に対して行います。このケースで少しややこしいのは、明細に記載されている名称や場所が、必ずしも実際に支払いをした店舗名やその店舗の所在地と同一とは限らないことです。日付と金額で確認しましょう。
ちなみに旅行先でクレジットカード払いをするときは、現地通貨決済にするのが無難です。自分の普段使っている通貨でも決済できますよ、と言われることがありますが、そうすると多大な手数料を取られることがあるので、注意してください。