85死んだらどうなる? お金のこと
「死」に関することは、どうしても避けてしまいがちですが、新型コロナウイルスに罹患すると、重症で入院した場合は面会が許されず、亡くなっても棺しか見られないというような現実も。心構えのみならず、お金関係でも準備しておいた方がいいことがたくさんあります。
● 書類をまとめる
自分の死後に遺族が必要となる書類は、1冊か2冊のファイルにまとめておきます。保険や年金保険の証書、銀行・証券口座、ローン関係、賃貸などの契約書類のほか、年金通知や納税通知も大切です。また、遺族が銀行口座残高を受け取るには申請が必要なため、どこに口座があるのかを確認しておきましょう。
● デジタル情報をまとめる
特にネットバンクやネット保険会社、またビットコインなどの場合は紙の書類が一切ない場合があります。大事な内容はプリントして保存するか、ソーシャル・ネットワーク(SNS)なども含めてログイン情報をパスワード管理ツールに保存して遺族に共有、もしくは死後にアクセスできるように設定します。また、最重要のパスワードや貴金属類は銀行の貸し金庫に共同名義で入れる方法もあります。
● 銀行口座
個人名義の場合は、生前に委任状を銀行に出しておくといいでしょう。遺書があっても執行されるまでは口座は凍結、相続人全員の署名が必要です。相続人が複数で国外にいる場合は時間がかかる上、さらに相続証明の発行にも最低6週間ほどかかります。
遺族も知らない口座が存在する可能性がある場合は、Bundesverband deutscher Banken(BdB)で確認します。しかし、口座は全て相続すればいいというわけではなく、負債を抱えた個人口座を相続する義務はありません。一方、共同名義口座で借金がある場合は相続する必要があります。
● 死後に必要なお金と資産の確認
自分や配偶者が亡くなった時に必要な金額と、事前にできる対策を確認しておきましょう。葬儀関連費用、家賃や住宅ローン、子どもの残りの養育期間によって必要な金額は異なります。死後の収入には、法定年金の遺族年金、個人年金の死亡一時金などがありますが、足りなければ追加で生命保険(死亡保障)に加入するなどの方法があります。死亡補償保険は、例えば健康な35歳である場合、補償額20万ユーロ・保証期間が20年で、毎月の保険料はおよそ10ユーロとなっています。
年金受給者の場合は死後3カ月は継続受給、その間に16ページもある申請書を提出して55%の遺族年金を申請します。遺された者が45歳9カ月(2020年時点、2029年まで毎年1カ月ずつ延ばされる)に満たない場合の遺族年金は25%で、2年間しか受給できません。ただし、遺族年金のルールは実際にはもっと複雑です。
● 遺書
遺書は内容も全て直筆で記せば有効ですが、内容が複雑な場合はもちろん公証人に依頼したほうが確実です。公証人費用はその資産額により定額で、資産25万ユーロの場合は535ユーロとなります。資産の分配に関してのみならず、どのような葬儀をしてほしいかも指定することができます。
これを機会に、ぜひ家族で話し合ってみてください。