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旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

東京と姉妹都市30年。ベルリンの甘酸っぱいビール

ベルリンと東京が姉妹都市であり、2024年の今年は締結30周年の記念年であることをご存じだろうか。双方の街は第二次世界大戦で甚大な被害を受けたが、戦後急速に復興を遂げた共通の歴史がある。東西ドイツ統一から4年後の1994年5月14日に姉妹都市として提携が結ばれ、さまざまな文化交流を通して親交を深めてきた。

ベルリンを訪れたならぜひ飲みたいのがベルリナーヴァイセ。ナポレオンから絶賛され、「北のシャンパン」との異名を持つベルリンの伝統的ビアスタイルだ。このビールが誕生したのは17世紀半ば。発酵にはビール酵母だけでなく乳酸菌や野生酵母などを用い、複雑な香りとレモンやヨーグルトのような酸味が特徴。ラズベリーやヴァルトマイスターなどのシロップを加えて飲むのが一般的だ。

ラガービールの流行に伴い一時は衰退したものの、クラフトビールの潮流により、大手にはないビールの価値が見直され、国内外の醸造所で造られるようになった。ここベルリンでも再びベルリナーヴァイセが復古している。今回ご紹介するのは新進気鋭のクラフトビール醸造所Brauerei Lemkeのものだ。S バーンのハッケシェ・ヘーフェ駅から徒歩3分ほどの高架下に1999年にオープンして以降、個性的かつ味わい豊かなクラフトビールを造り続けている。現在醸造所は規模拡大のため移転し高架下にあるのはレストランのみだが、古いレンガの壁や電車の音が古き時代を連想させ、躍動感のあるベルリンの街を肌でも舌でも感じることができる。

「HIMBEER WEISSE」はシロップではなく、本物のラズベリーを漬け込んでいる。人工甘味料とは一線を画す上品なフルーティさと強烈な酸味でビールの概念が覆される。ほかにも季節の果実を漬け込んだものや、オーク樽で熟成させたものもあり面白い。古くて新しいベルリンの味だ。

www.lemke.berlin

vol.88
HIMBEER WEISSE

HIMBEER WEISSE

 
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