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旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

お城のビールは将軍様のビール

深みのあるシックな青地にゴールドのワッペン。ロゴマークには、馬上で前を指し示している紳士のシルエット。そして「SCHLOSSBRAUEREI」(城の醸造所)の文字。今回は、ラベルからさまざまな興味を沸き立たせてくれるビール「Fürst Carl Pils」をご紹介しよう。

馬上の人物は、19世紀初頭にバイエルン王国の元帥であったカール・フィリップ・フォン・ヴレーデ。日本ではほとんど知られていないが、南ドイツでは高名な将軍だ。ミュンヘン中心部にあるフェルトヘルンハレには彼の青銅像が置かれ(写真右)、オクトーバーフェスト会場のルーメスハレ(栄誉の殿堂)にも胸像が収められている。

醸造所があるエリンゲンは、バイエルン州のニュルンベルクの南約50キロに位置する。ドイツで観光名所として知られている古城街道からは少し外れているが、バロック様式の邸宅が並ぶ美しい街だ。エリンゲン城とその庭園もバロック様式の豪華な造り。醸造所と直営レストランは城内広場の一角にある。醸造所の歴史は古く、少なくとも1690年には旧城の前庭でビール造りを行っていたことが確認されている。日本なら生類憐みの令で知られる徳川綱吉の時代だ。

現在のフュルスト(王子)・カール醸造所と名乗るようになったのは1815年のこと。カールが当時の国王マックス・ヨーゼフからエリンゲン城と領地を譲り受けたことに始まる。初代への敬意を込め、ヴレーデ家の長男は代々カールの名を継承。現在エリンゲン城はバイエルン州によって管理されているが、ヴレーデ家の6代目と7代目が共同で醸造所やレストラン、アウトドアパークの運営などを行う会社のオーナーを務めている。

「Fürst Carl Pils」は澄んだ麦のうまさをベースに、ホップの上品な香りとキリリとした苦味が美しく描かれている。後口が軽くキレが良い。一口目から喉が開き、飲む手が止まらなくなる。

www.fuerst-carl.de

vol.84
Fürst Carl Pils

Fürst Carl Pils

 
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