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旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

大転換を遂げたハンブルクの醸造所

コロナウイルスによる世界的なパンデミックで、ドイツのビール醸造所でも閉鎖を余儀なくされたり、路線を変更したりするところもあった。ハンブルクのブデルシップ醸造所も、ここ数年で大きな変化を経験した。

ブデルシップは、2014年にサイモン・ジームスグリュスによって缶詰工場の跡地に建てられた醸造所。「醸造の自由」を掲げ、多種多様なクラフトビールを造り販路を広げていた。ところが2020年、醸造所のある建物が突如取り壊されることになり、立ち退きを余儀なくされる。さらにコロナによる行動制限でビールが売れなくなり、醸造所は窮地を迎えたのだ。これを機にサイモンは流行を追うのではなく、自分が本当に造りたいビールとは何かを考えるように。たどり着いた結論は、「伝統」と「革新」の両輪だった。

一つ目の「伝統的なビール」を造るために、郊外にロストホライズン農園を設立。ここでは穀物や果実、ハーブ、スパイスを自家栽培し、野生酵母でビールを醸して木樽熟成させるなど、ビールの原点に回帰するような醸造を行っている。

今回ご紹介するのは、もう一方の「革新的なビール」。Pilsは製造ごとにホップを変え、それぞれの個性をうまく引き出し、ホップの最適解を求めたビールだ。

リニューアルに伴い、これまでガラス瓶が中心であったビールを缶に変更した。缶は遮光性、気密性に優れており、品質を劣化させる光から守ってくれる。また缶全体にデザインを施せるので、消費者の目を引くことができる。瓶から缶への移行は世界的な流れだ。ドイツではコロナ禍の行動制限中に消費者がリユース瓶を自宅にため込んだため、工場で瓶が不足したこと、ウクライナで瓶の製造がストップしたことも後押している。

Pilsでは、ホップの種類はドイツ国産のものに限らず、柑橘系の香りが特長の米国産や、新種のホップにも挑戦。毎回の製造ごとに、異なる風味を楽しめる。

www.buddelship.de

vol.85
Pils

Pils

 
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