Dr. Horst Köhler 1943年2月22日、現ポーランド・ルブリン地方ス キエルビエスゾフ(当時ドイツ統治領ハイデンシュ タイン)生まれ。04年5月から連邦大統領。 (C)Wolfgang Kumm/DPA/PA Photos) |
連邦大統領になって4年。党を越えて国民に方向性を示す特別な存在として、社会構造改革を遅らせる政府を批判し、他方では国民の国家依存症に辛口の警告を発してきたが、有権者による政治家人気投票では常にトップ。来年5月の任期終了まで残すところ1年になった先頃、2期目続投に意欲があることをビルト紙に語った。
1943年、ドイツ軍占領下にあったポーランドのルブリン地方で出生。両親は、ベッサラビア地方(現モルドバ)から同地へ強制移住させられた東方開拓ドイツ人である。一家はその翌年にソビエト軍から逃れるため、まずライプツィヒへ避難し、さらに53年、旧西ドイツへと亡命。各地の難民収容施設を転々とした後、57年にシュトゥットガルト近郊のルートヴィクスブルクに落ち着いた。
貧困を身をもって体験し、テュービンゲン大学経済学博士課程までの教育を働きながら終了。大蔵省に職を求めたのは、「世界の平和は貧困の克服にかかっている」との確信ゆえ。欧州連合(EU)マーストリヒト条約の作成に参加し、ユーロの発足に威力。以後、ドイツ貯蓄金庫・振替銀行連合会、欧州復興開発銀行、国際通貨基金の総裁を歴任し、政治に無知との批判を背に04年、連邦大統領に選ばれた。
しかし、すでに二つの法律の公布をストップさせ、歴代で最も政治的な大統領だと言われる昨今。盲目の娘を持つゆえ、障害者への理解も深く、国民からの人気は抜群。政治家には痛し痒しの大統領でもある。
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