在独日本人医師に聞きました! ドイツで受診する際や
健康に暮らすためのヒント
いくら自分は健康……と思っていても、ドイツ生活ならではの体調不良やトラブルに見舞われることは少なくありません。なかには、事前に知っておくことで予防できることも。引き続き、ドイツで診療する内科、歯科、産婦人科の日本人医師の方々に、ドイツで受診する際に気を付けるべきこと、健康に暮らすためのヒントを教えていただきました。
産婦人科 Gynäkologie
信頼できる産婦人科医院を探そう
妊娠を望む・望まないにかかわらず、信頼できる産婦人科医院(Gynäkologie、Frauenarzt)を見つけておくと安心です。口コミも大切ですが、それぞれ相性があるため、受診をしてから決めるのがいいでしょう。特に公的保険では、初診で見てもらった医師との相性が合わずに病院を変えたくても、四半期ごとの区切りまで変更することが難しくなっています。次の期になるまでの間に別の産婦人科を受診する場合、自費になる可能性があるので留意してください。また、新たに患者を取らない医院も増えており、検診の予約が何カ月も先になることも少なくありません。
年に1度の検診を
ドイツでは20歳以上の女性は年に1回婦人科検診(Vorsorge)を受けることが推奨されており、公的保険で無料検診が受けられます。また風しん・麻しんの抗体を持っていない場合、これらのワクチンは妊娠中に接種できないため、妊娠前に打つことが推奨されています。
生理不順や不正出血があれば受診
ドイツに来たばかりのタイミングで、環境の変化によるストレスから生理不順になる人が多くいます。予定日よりも遅れていたり来なかったり、または不正出血があったりなど症状はさまざまです。特に不正出血を伴う場合は何かしらの病気の可能性も考えられるため、一度受診することをお勧めします。
40歳までは不妊治療は保険適用
ドイツでは、女性は40歳まで(男性は50歳まで)は不妊検査や不妊治療が公的健康保険適用範囲内です。不妊検査は無料、人工授精など次のステップに進む場合は半額自己負担となります。
出産費用も公的保険でカバー
ドイツでは、出産までに最低限必要とされる費用は全て公的保険でカバーされます。有料となるのは、胎児の染色体異常のスクリーニング検査や規定以上の超音波検診などの追加で行う検査、入院の際に個室を選んだ場合や家族も宿泊する場合、規定以上の産前産後のケア(ヨガや鍼治療など)を受けた場合などです。
無痛分娩という選択
ドイツでは、無痛分娩(硬膜外麻酔=PDA)も保険でカバーされます。お産当日、どうしても陣痛に耐えられないという場合は、病院での出産であれば対応可能です。分娩予約の際などに、PDAについての書類をもらっておきましょう。またPDAを強く希望する場合は、入院後早めにそのことを助産師に伝えておきます。ただし、お産の経過によってはPDAを受けられないこともあります。
お話を聞いた医師・監修
中川フェールベルク美智子先生 産婦人科中川医院の産婦人科医。1988年に日本産婦人科認定医として認定を受ける。1990年にドイツに移住し、1996年から診療を始める。産婦人科にまつわる診療をはじめ、出産準備教室、女の子のためのからだのはなしなど、定期的に教室を開催。ドイツで出産を迎えるためのアドバイスや妊娠中の問題など、さまざまな治療や指導にあたっている。産婦人科中川医院はプライベート保険のみ対応。
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